フォルクスワーゲン、4万円のコスト増を嫌って排ガス不正に手を染めた疑い

VWの原価管理部門は、追加コストが300ユーロ(335米ドル/約4万円)ほど掛かることを理由に、規制対応のための装置の搭載を承認しなかった。
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フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正問題に関する騒動が始まって以来、世界最大の自動車部品サプライヤーであるボッシュ社は、同社の言い分を周知させるのに躍起になっている。ボッシュはVWに、コモンレール噴射システムや排ガスの後処理および計測モジュールなどと併せて、エンジン・マネージメントのテスト用ソフトウェアを供給していた。VWはそれらを使って米国での排ガス規制を逃れてきたのだ。ドイツの新聞『ビルド』紙と『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によれば、ボッシュ社は2007年、まだVWが問題となったディーゼル車の販売を検討している段階で、同ソフトウェアを使用することは不正だと伝えたものの、VWはそれを聞かずに強行したという。

最初の警告は、VWが小排気量ディーゼル車の開発をスタートさせた2年後だった。開発は、当時のブランド責任者ウルフギャング・バーナード氏とエンジニアのルドルフ・クレブス氏により進められており、両氏はこのエンジンを米国排ガス規制に適合させるために、尿素水溶液"AdBlue(アドブルー)噴射"が必要だと上司に話していた。しかし、VWの原価管理部門は、追加コストが300ユーロ(335米ドル/約4万円)ほど掛かることを理由に、AdBlue搭載を承認しなかった。バーナード氏とクレブス氏は、ボッシュ社がソフトウェアについてVWに警告したその年に退職している。該当のエンジンが市販化される2年も前のことだ。

状況があやしくなり始めたのはこの頃からだ。『Automotive News』によればマーティン・ヴィンターコルン氏は2007年にフォルクスワーゲンのCEOに就任した際、ウルリッヒ・ハッケンベルク氏とウォルフガング・ハッツ氏にそのエンジン、つまり "VWグループを窮地に導くエンジン"の開発を、まだ露呈していないだけで問題となるであろうソフトウェアを搭載したまま、続けるよう指示したのだ。その当時、この指示に物申すものは誰もいなかった。しかし今、謎解きゲームのキーワードが全て出そろうかのように、次々と重要な証拠が露見してきている。

VWが受けた警告はボッシュ社からだけではなかったようだ。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の報道によれば、2011年にVW社内の技術者が同じ警告を会社側にしたという報告が監査役会に提出されていたという。その報告に関して、VWもボッシュ社もコメントは出していない。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

(2015年10月3日 Autoblog日本版「VW米排ガス不正問題は、1台あたり4万円ほどの追加コストを避けた結果か?」より転載)

http://jp.autoblog.com/2015/10/03/vw-diesel-fix-would-have-cost-335-per-vehicle/

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