フォルクスワーゲン、排出ガス不正問題で中国の環境団体からも訴えられる

CBGDF(中国の生物多様性保護と緑化に関する基金)という団体が、VWの排出ガス不正ソフトウェアに対して訴訟を起こした。

排出ガス不正で批判の渦中にあるフォルクスワーゲン(VW)が、思いもよらない相手から攻撃を受けてしまった。ロイターは、中国紙『チャイナデイリー』の記事を引用し、CBGDF(中国の生物多様性保護と緑化に関する基金)という団体が、VWの排出ガス不正ソフトウェアに対して訴訟を起こしたと伝えている。"ディフィート・デバイス(無効化装置)"と呼ばれる不正なソフトウェアが搭載されているVWの車両は全世界で約1,100万台が販売されたと見られているが、VWによれば、そのうち1,950台が中国にあるという。

CBGDFによれば、この訴訟は公共の利益のために起こしたものであり、VWは「利益を追求するために問題のある車両を生産し、中国の法律を不当にくぐりぬけた。このため中国の大気汚染はさらに悪化し、人々の健康と権利が損なわれている」と訴えている。CBGDFは8月に天津港で起きた爆発事故でも訴訟を起こしており、この事故では数日間爆発が収まらず、現場近くで保管されていた自動車メーカー各社の車両も被害に遭ったが、皮肉なことに、その中にはVWの車両も多く含まれていた

CBGDFは今年6月、グローバルなビジネスと多様な生態系の整合を目的とした国連グローバル・コンパクトに加入している。国連グローバル・コンパクトのサイトによれば、CBGDFの職員は10人、公共の利益を目的とした訴訟は今回が初めてではなく、7月には米国の石油会社2社を相手に、2011年に渤海で起きた石油漏れに関する訴訟を起こしているようだ。中国政府も、国内の他のNGOと同様にVWの問題を深刻にとらえており「フォルクスワーゲンは中国の環境を破壊した責任を取るべきだ」と述べている。一方、米国の大気汚染の研究機関の調査によれば、中国のスモッグが原因で「死が早まった人の数は2010年だけで120万人にものぼる」という。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

(2015年12月23日「Autoblog Japan」より転載)

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