BMWグループ ジャパン、3代目となる新型「MINI」の日本仕様を発表!

BMWグループ ジャパンは25日、7年ぶりにフルモデルチェンジした新型「MINI」を発表。4月12日に販売開始となる。2013年の東京モーターショーに出展されていたので、すでにご覧になった方も多いだろう。BMWが手掛ける"21世紀のMINI"としては3代目となる新型は、まず基本モデルである3ドア・ハッチバックの「MINI Cooper」およびその高性能グレード「MINI Cooper S」から発売となる。

BMWグループ ジャパンは25日、7年ぶりにフルモデルチェンジした新型「MINI」を発表。4月12日に販売開始となる。

2013年の東京モーターショーに出展されていたので、すでにご覧になった方も多いだろう。BMWが手掛ける"21世紀のMINI"としては3代目となる新型は、まず基本モデルである3ドア・ハッチバックの「MINI Cooper」およびその高性能グレード「MINI Cooper S」から発売となる。

毎度のことながら一見それほど変わっていないように見える新型MINIだが、MINIマーケティング・ディビジョン プロダクト・マネージャーの岡田信之氏によれば、「MINIが持つコンセプト、デザイン・アイコンはキープしつつ、最新テクノロジーを使って一から再構築」されたという。

エクステリアは1959年に誕生した元祖「ミニ」をモチーフに、これまで通りその「アイコニックなデザイン」を継承。しかし初代・2代目では前方にやや突き出ていたフロント・バンパーがボディと一体化され、Ω型に灯るユニークなLEDヘッドライトを採用(Cooper Sに標準装備)するなど、「最新デザイントレンド」を採り入れているとのこと。

その一方で、半世紀以上前からMINIの魅力的な特徴でもあった六角形グリルが縦方向に拡げられ、より懐かしさを感じさせる顔つきとなった。横から見ると、四隅に配置されたタイヤと短いオーバーハングというMINI伝統のプロポーションはキープしながら、フロント・ガラスの傾斜が強められていることも分かる。

リア周りではトランクリッドに付けられたクロームとテールライトが大型化され、力強い印象が強まった。これまで通りCooper Sでは、かつてのチューンド・ミニを思わせるセンターから2本出しのエキゾースト・テールパイプが覗く。Cooperはサイドから1本だが、右側から左に移った。

フロントに横置きされるエンジンは、Cooperが1.5リッター直列3気筒、Cooper Sは2.0リッター直列4気筒。いずれもBMWでお馴染みの「ツインパワー・ターボ・テクノロジー」が投入された新開発のガソリン直噴ターボだ。トランスミッションはいずれも6速MTと6速ATから選べる。

Cooperは最高出力136ps/4,400rpm・最大トルク220Nm(22.4kgm)/1,250-4,300rpmと、自然吸気1.6リッター4気筒を積む先代に比べると大幅(38%増)に向上したトルクが特徴で、0-100km/h加速はMTが7.9秒、ATは7.8秒と先代より俊足になった。しかもJC08モード燃費も改善され、MTは19.2km/L、ATでも17.9km/Lを記録し、どちらもエコカー減税対象となっている。

先代から排気量が400cc増えたCooper Sの方は、最高出力192ps/5,000rpm、最大トルク280Nm(28.5kgm)/1,250-4,600rpmを発揮し、0-100km/h加速がMT6.8秒、AT6.7秒、JC08モード燃費はMT15.8km/L、AT17.6km/Lとなる。走りの楽しさを重視するためか、こちらはMTモデルのみ平成27年度燃費基準を達成ならず。

油圧系など「大幅な改良」を施したというATには、アクセル・ペダルから足を離すとエンジンとトランスミッションを切り離し、惰性走行することによって無駄な燃料消費を防ぐ「コースティング機能」が搭載されており、ドライビング・モードを「グリーン・モード」に切り替えるとこの機能が有効になる。ホットな走りをしたいときには「スポーツ・モード」を選択すれば、スロットルのレスポンスが向上し、ステアリングも重くなるという。

サスペンションは前ストラット、後マルチリンクという構成は従来と変わらないが、剛性が向上し、「ゴーカート・フィーリングが一層高まった」そうだ。電子制御式可変ダンパーも今回初めてMINIに採用された。

インテリアで目を引くのは、従来のセンター・メーターに替わって装備された「センター・ディスプレイ」。インフォテインメント・システムの操作・表示に加え、ナビゲーション・システムの地図やリアビュー・カメラの映像がここに映し出させる。お手持ちのスマートフォンをリンクさせることができる「MINI Connected」は、iPhoneだけでなくAndroid端末にも対応した。ダッシュボード上の透明プレートにナビゲーションの指示や車速が表示されるヘッドアップ・ディスプレイもオプションで用意されている。

全長で約10cm、ホイールベースが約3cm長くなったことにより、後部座席はこれまでより確かに広くなっていると感じた。荷室容量も51リッターほど拡大されたという。全幅は40mm拡がって1,725mmとなり、ついに日本では「3ナンバー」となってしまった。このことが引っ掛かる日本のMINIファンは少なくないと思われるので、岡田氏に訊いてみた。

昔からMINIにとって日本は大事なマーケットだと思うんです。日本側から、もうこれ以上大きくしてくれるな、というような意見を伝えることはなかったのでしょうか?

「色々と意見はもちろん伝えていますが、今回そのことについては特に言っていません。3ナンバーが付くということで、確かに心理的抵抗はあるかも知れませんが、運転してみると5ナンバー・サイズの小型車とほとんど変わらないです。もし今後、1,750mmとか、1,780mmとかにする、ってことになったら、日本側から(反対する要請を)言わなきゃならないと思っています」

日本市場向けは欧州仕様と比べて何か異なる部分がありますか?

「エコカー減税を達成するために、ドライブトレインに調整が施されています。あとETCがルームミラーに組み込まれているとか、主に電装系ですね」

電装系というのは、日本の気候に合わせて信頼性が高められているとかですか?

「そうではありません。昔は確かにそういう問題もありましたが、今では開発するときにシミュレーションで様々な気候に対応できるようにテストしていますから。仕向地によって異なるのは使い勝手の部分ですね」

足回りは?

「欧州仕様と同じです」

日本のMINIファンには、エクステリアにもっとクロームメッキのパーツが増えることを好まれる方も多いのではないかと思うのですが?

「確かにクロームのパーツを好まれるお客様は多いですね。ですから、実は日本仕様のCooper Sはフロント・グリルの下に四角いクロームのパーツが左右に着いておりますが、欧州仕様ではブラックが標準なんです」

日本仕様のナビゲーション・システム(Cooper Sに標準装備。Cooperはオプション)は、専門メーカーから供給を受けて装着しているのですか?

「地図データは供給を受けていますが、ナビ本体は共通で、自社開発です。だからこれだけ一体感のあるデザインに出来るのです」

いただいた資料によると、Cooper SはATの方が低燃費なのに、Cooperでは逆にMTの方が良いようですね。これはギア比の違いによるものですか?

「JC08モード燃費の数字は、あくまでも試験結果によるものですから...。我々としては、CooperのAT(の試験結果)を不本意に思っています」

ということで、現実の路上における実燃費ではまた違ってくる可能性もありそうだ。もっとも、燃費データによってATとMTのどちらを買うか決めるという人は、今ではあまり多くないだろう。

価格はCooperのMTが266万円、ATが280万円。Cooper SはMTが318万円、ATは332万円。発売が4月12日ということで8%の消費税が含まれているが、税抜き価格ではCooperは「実質値下げとなる戦略的な値付け」にしたという。また、税別で7万円ほど値上がりしたCooper SのATも、ナビゲーションが標準装備となった上、エコカー減税により6万円ほど税金が引かれるので、「負担は替わらない」そうだ。

MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏のスピーチによれば、新型MINIは最新テクノロジーと現代的デザインの採用により「変わった」けれど、「MINIのDNAであり、スピリット」である「アイコニック・デザインとゴーカート・フィーリング」は「変わらない」という。この日、会場に置かれていた初期の"クラシック・ミニ"とは大きく掛け離れたクルマになってはいるが、実車に接してみると最新モデルとしての魅力が確かに感じられる。これが「MINI」かと言われたら、その答えは人によって異なるだろう。

MINIだから欲しいという人もいれば、MINIじゃないから欲しくないという人もいるかも知れないし、MINIかどうかなんてあまり関係なく、洒落ている個性的なクルマだから買うという人もいるだろう。20代の頃にクーラーもないミニと5年間ほど過ごした筆者はこう思った。"今回発売される最新の「MINI Cooper」と、1960年代の「ミニ クーパー Mk I」を、同じボディ・カラー、同じルーフ色で揃えて2台並べて所有できたら..."と。

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2013年11月20日のプレスデーに撮影

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