"こち亀"にもでてきたスズキ製軽自動車用エンジンを搭載したケータハム「セブン」

イギリスの軽量スポーツカー・メーカーであるケータハムが、以前からお伝えして来た日本のスズキ製軽自動車用エンジンを搭載する「セブン 165」および「セブン 160」について、イギリス本国で受注を開始。同時にこれまでより詳しい仕様や新たな画像、オプション・リストなどを公開した。

先日も人気の少年漫画「こち亀」こと「こちら葛飾区亀有公園前派出所」にもでてきた、ケータハムのセブンについて、今週イギリスの軽量スポーツカー・メーカーであるケータハムが、以前からお伝えして来た日本のスズキ製軽自動車用エンジンを搭載する「セブン 165」および「セブン 160」について、イギリス本国で受注を開始。同時にこれまでより詳しい仕様や新たな画像、オプション・リストなどを公開した。

■ スズキ製660ccエンジンを積むエントリー・セブン

まずはざっとおさらいを。今年9月のフランクフルト・モーターショー初公開されたケータハムの「セブン 165」は、その前身である「ロータス 7」から基本設計を受け継ぐシンプルで軽量なシャシーに、スズキの「K6A」型と呼ばれる660cc直列3気筒エンジンを搭載し、5速マニュアル・ギアボックスを介して後輪を駆動する2人乗りのスポーツカー。同社のラインアップ中、エントリー・レベルの製品として位置づけられる。

日本では「ジムニー」などに積まれているターボチャージャー付きK6A型エンジンは、ケータハムがファイン・チューニングを施すことによって、最高出力が日本の軽自動車では自主規制されている64ps/6,500rpmから80bhp(ということは約81.1ps)/7,000rpmに引き上げられ、最大トルクもジムニーの10.5kgm/3,500rpmより僅かに太く10.9kgm/3,400rpmへ向上。標準仕様なら僅か490kgという軽量な車体を0-100km/hまで6.9秒で加速させ、最高速度は100MPH(約161km/h)に達するという。リア・サスペンションには、ロータス7の時代からケータハムに製造権が移っても1980年代中頃まで全てのセブンで採用されてきた「ライブ・アクスル」と呼ばれるリジッド式を採用。その乗り味は「1950年代にオリジナルであるロータス7が生まれた時代の記憶を呼び起こす」とケータハムでは表現する。

■ イギリスではキット・フォームで購入も可

この新しいエントリー・レベルのセブンには、イギリス国内向けの「160」と、主にヨーロッパ向けとなる「165」という2タイプが設定されている。基本スペックは共通。ただ、セブン 160の方はこれまでの伝統通り、購入者自ら愛車を組み立てることができるキット・フォームという形式で販売されるという。価格は1万4,995ポンド(約239万円)。オーナーの手元に届けられる前に、ケータハムでは20時間掛けてある程度の組み立てを済ませておくため、購入した人は初心者でも60〜70時間の作業で完成させることができるそうだ。必要なものは「基本的な工具類と少しの忍耐、多少のオイル、少量の燃料」だけだとか。組み立てる場所や時間がない人は完成車として購入することもでき、その場合の価格は1万7,995ポンド(約287万円)となる。

ヨーロッパ市場向けのセブン 165は完成車としてのみ販売される。日本でも当然こちらに倣うことになるはずだ。価格は税込みで2万5,000ユーロ(約338万円)と発表されている。日本における販売価格はまだ未定。

■ 幌とウインド・スクリーンはオプション

ただし、上記の価格で買える標準仕様は、上の写真で見られるように小さなエアロ・スクリーンしか装備されないことにご注意いただきたい。"フル"・ウインド・スクリーンと幌、幌骨、ドア(といってもビニール製)がセットになった「ウェザー・イクイップメント」は、イギリスでは1,250ポンド(約20万円)のオプションである。さらにヒーターも装備したいならば300ポンド(約4万8,000円)、カーペット張りインテリア(ラバー製フロアマット付き)を選べば115ポンド(約1万8,000円)、スペアタイヤとキャリアのセットは450ポンド(約7万2,000円)と、日本で乗るためにはぜひ欲しい装備を加えていくだけでも結構な値段になる。もっと欲張って、標準のクロス張りシートを耐候性の高いレザー・シートにアップグレードすれば500ポンド(約8万円)、モトリタ製ステアリング・ホイールをモモ製のクイック・リリースに変更すると300ポンド(約4万8,000円)高くなり、アルミ製「エアロ」給油口キャップを付けたら115ポンド(約1万8,000円)、ステンレス製リア・フェンダー・ガードは40ポンド(約6,400円)追加と、オプション費用はどんどん嵩んでゆく。

外装はアルミ仕上げのボディ・パネル+黒・赤・黄・緑から選べるフェンダー及びノーズ・コーンが標準。写真のクルマのようなオール塗装済みボディはこれまたオプションとなる。14インチ・スティール製ホイールにエイヴォン社の155/65R14タイヤを履き、屋根もドアもなくても(ないから、かも)イモビライザーは標準装備だ。

■ 日本に来るのはいつ!?

このセブン 165およびセブン 160の生産は2014年1月から始まり、最初の納車は2014年春の終わり頃になる予定だという。日本で実車を見ることが出来るのは来年になってからだろうか。セブン一族の中では"エントリー・レベル"とはいえ、購入をお考えなら400万円程度の予算は用意しておいた方がよさそうだ。噂されているように軽自動車として登録可能になったとしても、ホンダやダイハツが発売を予定している"スポーツ・タイプ軽自動車"とは、排気量と乗車可能人数を除けばライバルといえる点はほとんどない。せめて維持費だけでもそれらに近づいたら、と思うのだが...。

By Hirokazu Kusakabe (Facebook)

※こちらは2013年10月22日のAutoblogの記事「ケータハム、スズキ製軽自動車用エンジンを搭載した「セブン」の仕様と新たな画像を公開!」を転載したものです

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