代表就任の5か月を振り返り、新たな決意

私は、国民が長い間の閉塞感から内向きになって、右傾化する安倍政権や一部の野党がもてはやされる現在の日本にあって、民主党は必要な政党だと考えている。

私が民主党の第10代代表に就任してから5か月が経過した。そして、東京都議会議員選挙のスタートまであと10日、参議院選挙のスタートまではあと30日となった。ここで改めて、この5か月間にやってきたことを振り返り、そして二つの選挙に臨む決意を明らかにしたい。

代表就任後、最初に手がけたことは、党の改革創生本部をつくり昨年末の総選挙の総括を行うことだった。それはとりも直さず、民主党が政権与党にいた3年3か月を総括することであった。総括の方法としては、できるだけ多くの党員・サポーター、支援者、惜敗した議員、地域で民主党を支えてくれる自治体議員の声を聞こうと幹部が全国を行脚することにした。

もう一つが、民主党の綱領を改定すること。民主党の綱領は党が誕生した1998年に定めた。目標としていた政権交代を実現したこともあり、新たに作り変えようとの動きが1年以上前からあって、私もその作業メンバーの一人であった。党が生まれ変わるためにも新しい綱領が必要だということで、幹事長を中心に、検討委員会をつくった。

2月24日に開いた民主党の党大会では、それまでの作業の取りまとめとして、新しい党の綱領と政権担当時代の第1次総括を全員一致で採択した。同時に、私はこの大会で全党員に「靴底減らし」運動を提唱した。失ってしまった国民の信頼を取り戻すためには、靴の底を減らして、もう一度、国民の中に入っていくしかない、という考えに基づくものである。そして、党大会後も、全国行脚を続け、大型連休の前に全国47都道府県を一巡し、現在二巡目に入っている。

しかし、こうした作業を続ける間にも、岩手県や香川県などで選挙を控えた参議院議員の仲間の何人かが党を抜けたのは残念なことであった。国会で自分の政策を実現するためには政党はなくてはならない存在だと考えるが、彼らには目先の選挙しか頭になかったのだろう。民主党が逆境の時だからこそ、「党が自分のために何ができるか」ではなく、「自分が党のために何ができるか」を考えてほしかった。

都議選・参議院選まで秒読み態勢になった。民主党の建て直しには、もう少し時間が欲しいところだが、現実は待ってくれない。私は、党大会でもこの二つの選挙は一体のものと位置づけてきた。都議選の投票日から参議院選挙のスタートまでに間隔は1週間しかないため、都議選の結果を受け、参議院選挙に向かって体勢を立て直す時間的な余裕はない。都議選の結果がそのまま参議院選挙の結果につながる。そう考えて、まず都議選に全力を投入する。

もちろん、都議選と参議院選挙では政策課題が異なる。都議選は都政をめぐる政策を掲げて戦い、参議院選挙は国政の課題に対してマニフェストを作成して国民に訴える。安倍政権の暴走を止め、国民の暮らしを守る観点から、実行可能な政策をコンパクトにまとめて近々発表する。

私は、国民が長い間の閉塞感から内向きになって、右傾化する安倍政権や一部の野党がもてはやされる現在の日本にあって、民主党は必要な政党だと考えている。海外の友人から「今度の参議院選挙で民主党が生き残れるかどうかは日本の民主主義の成熟度を測るバロメータだ」と言われた。私もそう思う。また、参議院選挙で大勝した後に、安倍政権が実現を考えている日本の姿を想像すると、この選挙はどうしても民主党が勝ち残って、次の衆議院選挙での政権奪還への足がかりを確保しなければならないとの思いを強くしている。ここは歯を食いしばって頑張るしかない。

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