「家族に優しい職場づくり」は贅沢なサービスではない。基本的ニーズである。

家族休暇、保育制度、柔軟性が高い勤務形態、妥当な賃金、そのいずれもが贅沢なサービスではない。基本的なニーズである。それは特別な手当ではなく、最低限の基本であるべきだ。
US President Barack Obama speaks during the White House Summit on Working Families on June 23, 2014 at a hotel in Washington, DC. AFP PHOTO/Mandel NGAN (Photo credit should read MANDEL NGAN/AFP/Getty Images)
US President Barack Obama speaks during the White House Summit on Working Families on June 23, 2014 at a hotel in Washington, DC. AFP PHOTO/Mandel NGAN (Photo credit should read MANDEL NGAN/AFP/Getty Images)
MANDEL NGAN via Getty Images

大統領としての私の最優先事項は、勤勉に働く全ての人々が成功するチャンスを与えられるような、経済の再構築である。

それが6月23日に開催された第1回「共働き・一人親家庭に関するホワイトハウス・サミット」の議題だ。ビジネス界のリーダーや労働者の方々をこの場に招き、働く親たちが日々直面している課題や、今後の取り組みについて議論した。

柔軟な働き方。それは子供の学芸会のために数時間仕事を抜けたり、子供が病気の時には在宅勤務ができることである。多くの働く人たちがそれを望んでいるが、実際にそれができる人々の数は十分とは言えない。研究では、柔軟な働き方が働く人の幸福度を高め、離職率を低下させ生産性を向上させるという結果が出ているにもかかわらずである。

また、有給家族休暇を例にあげると、多くの仕事では新生児の世話や親の介護のために十分な休暇が与えられておらず、働く人は家族が最も自分たちを必要とする時にそばにいる余裕がない。アメリカは有給の産休制度がない、世界でも唯一の先進国である。

保育制度について考えてみると、私が知る多くの働く家族は、年間数千ドルもの保育料を支払う余裕がない。しかし実際のところ多くの場合、それほど費用がかかるのだ。私は先日ミネソタに住む女性から手紙をもらったのだが、彼女の子供たちが通うプリスクールは非常に高額で、住宅ローンよりさらに多額の保育料が毎月かかると記されていた。

また最低賃金について述べると、最低賃金が10ドル10セントに引き上げられると、およそ2800万人のアメリカ市民が恩恵を受けるとされている。新卒の若い世代だけが対象なのではなく、最低賃金引き上げによって恩恵を受けるであろう労働者の平均は35才である。その年代の人々の多くが子供を持っており、大多数は女性だ。現在、最低賃金かつフルタイムで働く雇用者の多くは、子供たちが貧困から抜け出せるのに十分な金額を稼いではいない。

家族休暇、保育制度、柔軟性が高い勤務形態、妥当な賃金、そのいずれもが贅沢なサービスではない。基本的なニーズである。それは特別な手当ではなく、最低限の基本であるべきだ。

フルタイムで働く親はさまざまな請求書の支払に十分なだけの賃金を得て、子供たちが良い環境におかれていると知り、毎日安心して仕事に行くべきである。仕事に全力を注ぐ労働者は、柔軟性が求められる場面ではその要求が通ると知っておくべきだ。なぜなら雇用主も、病気の子供を家に抱えていたり、保育先の確保が困難な場合は仕事の生産性が上がらないのを理解しているからだ。また勤勉で才能ある人々が新しい絶好の機会を前にして、家族を犠牲にしてしまうと感じてためらうことがあってはならない。調査対象となった働く親たちのほぼ半数が、その仕事を受けたくないからではなく、家族への負担を考えてオファーを断る決断をした経験があると答えている。国の労働人口の多くが、仕事か家族か選ばなくてはいけないという状況は間違っている。

経営者の中には、家族に優しい職場づくりは優れたビジネス手法の1つだと実感している人もいる。なぜならその政策により従業員の企業に対する忠誠心は高まり、一層の努力をするよう促すからである。 ジェットブルー航空はカスタマーサービス担当者に対して、柔軟性が高い在宅ワークプランを提供している。またグーグルは有給の産休を5か月に延長したが、その結果として女性の離職率は半分に減った。シスコ社は必要に応じて従業員を在宅勤務させ、毎年2億7500万ドルの費用削減を見込んでいる。

より大きな経済的視点から見ると、アメリカ経済の強みは才能ある人材を最大限活用できているか、つまり全市民が国の成長と繁栄に貢献することが可能になるかどうかにかかっている。それがグローバル経済において競争力を維持するカギとなる。現在、仕事への意欲も能力もある多くの人々が脇に追いやられている状況であり、彼らにはいくつもの越えなければならない壁がある。それらの壁を取り除くのが私たちの仕事であり、働く家族のサポートの全てである。

国はすでに対策に乗り出しており、カリフォルニア州、ロードアイランド州、ニュージャージー州では労働者に対して有給家族休暇が与えられる。またコネチカット州、ニューヨーク州では有給の病気休暇が利用可能だ。昨年私は議会に対して最低賃金の引き上げを要求したところ、13の州がそれぞれ引上げを検討している。

しかしながら、全アメリカ市民がこれらの政策の恩恵を受けるべきだ。そのため、私たちはここワシントンで何かしらの行動を起こすべきなのだ。

アメリカの雇用者の機会向上のために、私は民主党、共和党いずれとも協力していくつもりだ。

しかしこの「イヤー・オブ・アクション(行動の年)」では、私個人としても活動を行っていくだろう。

23日に私は、連邦政府の各機関に対して柔軟性の高い勤務形態へのアクセスを拡大し、雇用者にそれを要求する権利を与えるよう指示する、大統領覚書にサインした。

また私はPregnant Workers Fairness Act(妊娠中の雇用者に対する公正法案)を通すよう議会に求めている。なぜなら非常に多くの妊娠中の女性が、自らの健康と仕事のいずれかを選ぶよう強制されているからだ。彼女たちは頻繁なトイレ休憩を理由にした解雇や、妊娠しているという理由で無給の休暇を取らざるを得ない状況におかれている。このような非人道的行為は止めなければならない。

また、さらに上を目指そうとする親のサポートを目的として、職業訓練プログラムの受講を希望する人々をサポートするため、2500万ドルを助成するよう労働省労働長官に指示を出した。しかし現時点ではまだ必要とされる保育サービスは実施していない。

私はこの問題を個人的にとらえている。私と私の妹を育てるために懸命に働いた、たくましい女性たちの息子また孫として。また夫の不在時には、仕事と女の子2人の子育てのバランスを取りながら頑張ってきた聡明な女性の夫として。また可能な限りそばにいたいと思わせる2人の美しい娘たちの父親として。そしてその娘たちが、いつか自らの家族と将来のキャリアを築いていくことを願って。

私たちは歴史から学んでいる。全ての人々が参加すれば、国にとってより良い結果が残せると。私たち1人1人の能力が正しく発揮できてこそ目的は達成できるのだ。それが私の信じるアメリカの姿だ。そのために私は日々戦い続ける。

English

Taco Bell

Companies Accused Of Withholding Worker Pay

McDonald's

Obamacare Haters

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