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今、Webで求められている「プロダクトマネージャー」は、組織横断の大切さを教えてくれる

クックパッドを経て、お金のデザインにジョインした梶田岳志さん。キャリアを選択する上で梶田さんが大切にしていること、そして、「Web業界のプロダクトマネージャー」として活躍するための秘訣などに迫った。
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クックパッドを経て、お金のデザインにジョインした梶田岳志さん。どんな軸でキャリアを選択してきたのか。その考え方の根幹、そして「Web業界のプロダクトマネージャー」として領域にとらわれず活躍するための条件・人材要件に迫る。

日本発ロボアドバイザー「THEO」プロダクトマネージャー梶田岳志

いきなりだが「ロボアドバイザー」をご存知だろうか。

簡単にいうとアルゴリズムを用いた資産運用・個人投資のサポート・アドバイス。詳細はサービスによって多様だが、「どんな目的の資産運用なのか、リスクをどこまで許容できるか」こういった方針・ニーズに合わせた資産運用の自動サポートを指すことが多い。

これまで「人」が行なっていた対面での投資アドバイス・ポートフォリオ(どの金融商品を選び、どう組み合わせ、どのくらいの割合で投資するか)提案の自動化が含まれることもあり、FinTech(※)の中でも注目される。

その中でも「お金のデザイン」が発表したロボアドバイザー「THEO(テオ)」が話題だ。これまでの資産運用におけるイメージを刷新する。

THEO[テオ]が運営するメディア「Outliers」より。すべての挑戦する生き方をメディアでも支援。サービスのみならず、プロモーションも斬新。

「THEO(テオ)」における大きな特徴はわかりやすさと始めやすさ。

最低投資額は10万円から。スマホアプリで9つの質問に答えるだけで6000以上の世界のETF(上場信託投信)から運用方針に合ったポートフォリオを提案してもらえる。所要時間にして約2分。ブランディングも含めてこれまで投資に縁のなかった若者などにもリーチができそうだ。

そんな「THEO(テオ)」におけるプロダクトマネージャーを務めるのが梶田岳志さん。クックパッドを経て、お金のデザインにジョインした人物だ。

「もともと金融にはまったく興味がなかったんですよ」

そう語る梶田さんは、なぜ「THEO(テオ)」に参画したのか?「食」から「FinTech」を選んだ背景、そして領域をこえて活躍するWebのプロダクトマネージャーにおける条件、人材要件に迫る。

※FinTech…Finance×Technologyの造語。テクノロジーによって「金融」をより便利にしていこうという取り組み・業界。

[プロフィール]

梶田岳志/Head of Product Management

1982年京都市生まれ。大阪大学人間科学部卒業。専攻は現代思想。ゲーム業界を経て2011年にクックパッドへ入社。クックパッドでは「有料会員向けサービス開発事業」において、立ち上げ期から一貫してプロダクト開発に携わる。

クックパッドからお金のデザインへ

― 梶田さんがお金のデザインにジョインされたきっかけを教えてください。

クックパッドに不満があったというわけではなく、「ロボアドバイザー」は世の中にとって重要になりうるし、これから必要とされるコンセプトじゃないか?と思ったからですね。まわりの同世代を見ていると「お金のこと」ってとても不安がっているんです。僕自身も資産運用のことがわからなくて。でも、本当に知らないままでいいのか?というところもあった。預金も増えるわけでもないし、親の老後とか心配ですし(笑)。

資産運用って、いままでやったことがないひとに勧めにくいと思うんですよ。マーケットの未来について確たる未来予測はできないので、「理屈としてはこういう資産運用の考え方が正しい」という説得しかできないんです。でも、やったことのないものを始めろ、損するかどうかはわからない、最大どのくらい損するかもわからないって言われたら、怖いじゃないですか。資産運用経験のある人が合理性を共有しようとしても、資産運用経験の無い受け手が「恐怖」や「疑い」の感情を抱いてしまうことは常にあり得るんですよね。

その結果、大学の研究室で投資理論を勉強していたとか、親がやっていたとか、そういう人たちだけのものになっているんじゃないか。必要な人たちに届いておらず、情報の非対称性が生まれているんじゃないか。そのバリアが突破できるとすると非常に重要だと思ったわけです。

それに、話を聞いて自分自身が説得されたんですよね。ということは、今まで知らなかった人に興味を持ってもらって、資産運用をはじめてもらうことも可能だと思ったんです。

Webにおける「プロダクトマネージャー」という存在

― 梶田さんのスキルセットについても伺いたいのですが、クックパッドで働かれていた時は何を担当していたんですか?

いわゆる「ディレクター」ですね。少しずつ役割は変わっていきましたが、基本的にはエンジニアやデザイナーとチームを組んで、調査をし、どんなサービス開発をしていくか、機能開発をしていくか、考えていくというもの。効果検証しながら、そのサイクルをグルグル回すというものです。

― 現在だと職種的にはディレクターから「プロダクトマネージャー」になっていますよね。その違いとは?ご自身の中での定義や捉え方でかまいません。

「プロダクトマネージャー」はもともと製造業にあった職種ですよね。効率化を図って技術、製造、営業といった機能別に組織をわけると、組織ごとに目標なども違うわけですから、意思統一が難しくなっていくと思います。「ひとつの製品」を上手くつくろうとすれば、組織横断で製品の軸を決めて、全体最適化を図ることのできる人がいたほうがいいんじゃないか?といった状況から出てきた職種と聞いたことがあります。

そういった意味でも、プロダクトマネージャーは「製品に一貫性を持たせる人」だと思います。製品が世の中において占めるべき位置を見定めて、実現する価値を理解し、あきらめずに粘り強く取り組む。

― Webの世界でもしばらく前から注目されるようになりました。より重要な位置づけになってきた感覚があります。

憶測ですが、Web業界のひとたちが年齢を重ねてきたことも関係しているかもしれません。僕がクックパッドに入社した時、同社の平均年齢は20代後半でした。それでもWeb業界の中だと高め。そこから数年が経って30代の半ばになった人たちの「次のキャリア」として生まれた職種、そんな側面もあるのかな、とは思っています。

また、これも私見ですが、Webプロダクトの成長のしかたが変わってきたのかもしれません。少し前までWebだとGREEであるとか、mixiであるとか、クックパッドもそうですね。個人がつくった小規模なものからスタートして、コミュニティと一緒にサービスも成長していったケースが多くありました。

今はスマートフォンでインターネットに接続する人たちが増えていますよね。プロダクトもたくさんあるから、はじめからマスをターゲットにしたモノを作らないと相手にされない。「リ—ン・スタートアップ」的に漸進的改善を図る方法論ではなく、はじめから優れたものをリリースするにはどうしたらいいのか、という問題が重要になってきて、製品に一貫性をもたらすと期待されるプロダクトマネージャーが注目されだしたのかなと思っています。

― そういった意味だと、マーケティングのバックグラウンドがある人がプロダクトマネージャーに向いている?

職種で区切るのはむずかしいと思います。そこにはいろんな人のやり方があるんだと思うので。技術がバックグラウンドにある人であれば、技術の使いどころを見出して製品を成功に導くことができるはずです。

僕にはそういうことができないので、ちょっと別のやり方で考えるしかないんですよね。資産運用に触れていない人の気持ちをどうすれば動かすことができるのか。資産運用をしていない原因はなにか。特に原因はなくて、それが「当然」なことだとしたら、その「当然」はどんな環境においていかなる論理で成立するのか。そういうことを考えていって「お、ここつながりそうだな」みたいな箇所を見つけていく。たぶん僕が技術もビジネスもそんなにできないからこういうやり方になる、それだけの話だと思います。

― バックグラウンドはさまざまであると。そのなかでもプロダクトマネージャーがジャンルを越えて活躍するために重要なことはなんだと思いますか?

少しづつでも成果を出していくことでしょうか。何回も外しているプロダクトマネージャーは全く信頼されなくなります。いろいろな方に協力いただかないといけない職種で、信頼を得られないと仕事の進めようが無いので、お客さんに受け入れてもらえる「当たるもの」をつくって周囲の信頼を得ていくことは大切だと思います。

歴史や文脈を踏まえ、状況に応じた「新しいもの」を

― 最後に、梶田さんにとっての「仕事」はどういうものか?伺わせてください。

自己実現みたいな話を仕事に乗っけるのが好きじゃないんですよね。まず、食べていけることが大事じゃないですか。だからそこが一番です。

その上で、できることなら、仕事で扱う領域、僕の場合であれば日本における資産運用ということになるのですが、そうした領域に、何かしらのあたらしい出来事を起こせればと考えています。

少し抽象的になりますが、クックパッドは、毎日の料理を評価される機会が無い主婦がたくさんいる状況や、料理が家庭で伝承されづらくなってきている歴史的経緯、インターネットテクノロジーの発展などが入り混じったなかに「美味しいレシピを探せたひとが、レシピ投稿者へ感謝の気持ちを届ける」という、あたらしい出来事を見出し、優れたプロダクトを生み出したのだと思います。

「日本における資産運用」も、日本人が欧米に比べて投資をしてこなかった歴史や、最新の投資理論、インターネットテクノロジー、将来に不安を抱える若者がたくさんいるといった、さまざまな文脈が錯綜したものです。楽観的ですが、あたらしい出来事が起きても不思議じゃないと思いますし、たぶん、一つ一つの文脈を丁寧に追っていくことで、自然と新しいことが見いだせるような気がしています。

― 何かしらのあたらしい出来事を、「文脈」を踏まえ上で起こしていく。プロダクトマネージャーにかぎらず、さまざまな職種で参考になりそうですね。本日はありがとうございました!

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