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「スタートアップには全速力で事業も個人も成長しようとする環境がある」マネーフォワード・丸橋得真の決断

スタートアップに新卒で入社し、すぐさま新規事業の開発に携わったマネーフォワードのリードエンジニア・丸橋得真氏へのインタビューからスタートアップで活躍する若手人材の要件を探る。
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スタートアップが世の中から注目を集める存在になったいま、学生の目には就職先としてどう映っているのか?スタートアップに新卒で入社し、すぐさま新規事業の開発に携わったマネーフォワードのリードエンジニア・丸橋得真氏へのインタビューからスタートアップで活躍する若手人材の要件を探る。

新卒でいきなりスタートアップのリードエンジニア!?

新卒でスタートアップに入社し、即戦力として活躍する例を多く耳にするようになってきた。今回お話を伺ったマネーフォワードのエンジニア、丸橋さんもその1人。

入社後1ヶ月半でベータ版ローンチにこぎつけた『MFクラウド請求書』は機能追加、ユーザーヒアリングを通した細かい改善を繰り返し、5ヶ月で利用事業所数は1万を突破。満を持して10月末に正式版がローンチされた。

入社後すぐにプロジェクトリーダーにアサインされた丸橋さんは、なぜ新卒の就職先にスタートアップを選び、任された新規事業の開発から何を学んだのか。

彼へのインタビューから、スタートアップで活躍する若手人材の要件、新卒の立場から見たこの業界を探ってみた。

【プロフィール】

マネーフォワード 新規事業本部 エンジニア

丸橋得真 Eruma Maruhashi

在学中から独学でプログラミングを習得し、数々のスタートアップでインターンを経験。フリーランスエンジニアとしても創業期のスタートアップを支援する。大手企業、WEB・ITスタートアップなどから複数の内定を得た後、2014年4月マネーフォワードに入社。MFクラウド請求書の開発に携わる。

スタートアップの面白さに取り憑かれた学生エンジニア

― 新卒でスタートアップに入っていきなり新規事業開発担当とは...。やっぱりエンジニアとしてのキャリアも長いんですか?

いえ...(笑)。小学生の頃にVisual Studioが家で扱えてちょっと遊んだ経験があっただけで、プログラミングはほとんど大学時代に自分で習得しました。あるきっかけでベンチャー企業の社長さんとお会いした際、「プログラミングができるので雇ってください」とほらを吹いてしまったのがすべての始まりなんです。

できるといった以上やらなきゃいけなくなって。素人同然のスタートから、毎晩Googleにお伺いを立てる日々を過ごしながらちょっとずつできるようになっていった感じです。

それから、いま急成長しているスタートアップの初期システム設計と動画配信プラットフォーム基盤を開発するチャンスに巡りあって、数万規模のユーザー数までエンジニア1人でやりくりしていました。ローンチ初日にサーバーを落としてしまったのは忘れられない思い出です(苦笑)。

― いきなり濃い経験をされてきたんですね。それからスタートアップで働く魅力にとりつかれたんですか?

そうですね。学生時代になにか面白いことをしたいと思っていて。当時はいまほど国内のスタートアップは世の中から注目されている存在ではありませんでしたが、お手伝いさせていただいたり、遊びに行かせてもらっていて。

入社後研修なんてしてる場合じゃない

― スタートアップに新卒入社するのは、丸橋さんの中では既定路線だったんでしょうか。

いろんな業界の大手企業から小さな企業までいろいろと見て回りました。行く行かないは別にして、就活でしか見れないものもあると思ったので。

― 複数社から内定を得ながら、どうしてスタートアップ、更にはマネーフォワードへの入社を決めたんですか?

WEB・IT業界、スタートアップで一番魅力的だったのは、終身雇用なんて会社も従業員もほとんど意識していないこと、転職・キャリアチェンジが当たり前という雰囲気があったことです。僕が言うのもおこがましいですが、学生時代に回ったスタートアップには、「ぶら下がり人材」なんて呼ばれる人は1人もいなかった。

誰もが自ら仕事を生み出し、全速力で事業も個人も成長しようとしている環境がスタートアップにはあると思って、そこに自分も身を置きたいと。

そんな中でもマネーフォワードに入社した理由は、一緒に働く人と雰囲気がとても魅力的だったこと、いま一番面白いFinTech領域であること、入社後の自分の役割が明確だったこと、この3つです。

マネーフォワードには各分野のプロフェッショナル、多様なバックグラウンド持った人がいて、とてもダイバーシティのある組織です。例えば元1つ星レストランのシェフや公認会計士、MBA取得者が当たり前にいたり。そして何より、「正論」が是とされている環境なんです。年齢関係なく、プロダクトに対して真摯に皆で考えて前に進められます。

また、テクノロジーを使ってイノベーションをおこせる領域の中でも、金融分野は一番インパクトの大きな仕事ができるんじゃないかと思いました。例えば銀行振り込みの時間が15時から16時まで延びた(※銀行振り込み、午後4時まで延長 通販需要など対応―日本経済新聞)っていうのが大きなニュースになるぐらいドメスティックな業界。スマホやネットに触れてきた僕たちの世代からしたら、「なぜ社会インフラとなっているサービスを24時間いつでも受けられないんだ」と感じる人も多いと思います(笑)。それくらいイノベーションを起こす箇所はいくらでもあるんじゃないかと。

そして、一番大きかったのが入社後に任せられる仕事が明確だったこと。例えば大企業に総合職で入社すると、数ヶ月研修があって、まずは下っ端として仕事を覚えて...となると思いますが、この業界でキャリアを積んでいくと決めている自分にとって、目の前にやりたいチャレンジングな仕事があるのはとても魅力的でした。

ただ入ってみて気づいたのですが、新卒の同期がいないのはちょっと寂しいですね(笑)。

スタートアップのビジネスフェーズ全てに携わる

― なるほど(笑)。続いて、入社から開発を主導している『MFクラウド請求書』について質問させてください。プロダクト開発するのは同じだと思うんですが、入社前後で変わった部分といえばどんなところでしょうか?

『MFクラウド請求書』は会社として取り組みたい概要だけ伝えられて、一人で開発しはじめました。それから中途入社のエンジニア2名とデザイナーの計4人を中心にプロダクトを任され、さらにマーケターやカスタマーサポート、営業を巻き込みながら開発を進めています。自分はリードエンジニアとしてマネジメントしたり、自分で手を動かしたり、ビジネスモデルを構築したりしています。

入社前後で一番違うのがプレッシャーですね。スタートアップの新規事業という、身の丈以上のミッションをいただいて、実現のために自分が何でもやる環境にいる実感はすごくあります。ベータ版をローンチしてから半年で1万事業所の利用、累計請求額は50億を突破し順調に成長していますが、正式版を10月にローンチしてからはいよいよマネタイズもシビアに考えなければいけないフェーズになってきて。

― 入社1年目で本当にエキサイティングな仕事をしているんだなぁとしみじみ感じます。それでは最後に、今後の個人的な目標やイメージするキャリアがあれば教えてください。

まずはMFクラウド請求書の利用者を個人事業主の方と中小企業にフォーカスして、一層ユーザーに寄り添ったサービスにすること。そしてマネーフォワードの新しい事業の軸に育てることです。

個人的にはまだわからないことだらけですね。ただ僕はエンジニアでもあり、マーケティングや事業開発まで携わらせていただけているので、開発スキルをどんどん上げながら、自分が最も価値の発揮できる場所を探せていけたらと思います。

― 新卒でスタートアップに入り、様々な経験をしている丸橋さんのお話は、これから新卒採用を検討しているスタートアップや学生に新しい気づきを与えられたんじゃないかと思います。ありがとうございました!

[取材・文] 松尾彰大

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