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なぜ、あのIT企業には優秀な人材が集まるのか? リクルーティングの新潮流

誰もがインターネットにアクセスする時代、転職のスタイルが変わってきつつあるという。それは採用する側にも言えることだそう。一体どういうことなのか?
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「WEB業界における転職」にスポットをあてた寄稿記事、第二弾をお届けします。今回は、元DeNA人事、佐藤さんが語る人事担当者向けのメッセージです。佐藤さんが勧める「ブランディング採用」とは一体?

"待ち"の採用活動をしているかぎり、企業は人材獲得で失敗する

企業の採用ブランディング事業を展開させていただいております、core words株式会社のCEO、佐藤タカトシと申します。

私は、人材系企業で11年にわたって、100社以上の企業の採用ブランディング活動をサポート。その後、ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)にて3年間、自社の採用活動に従事してきました。

前回の記事にて、候補者側の転職活動が「守り」から「攻め」に、「待遇重視」から「価値観重視」に変わっていく旨をお伝えしました。

今回は、空前の売り手市場になっているIT/Web業界にて、優秀な人材を獲得するために、企業の採用担当者はどのようなことを心がけて行けばよいか、大きく3点に分けてお伝えします。

(1)「待つ採用」からの脱却

(2)「ブランディング採用」への進化

(3)これからの採用担当者に必要なもの

(1)「待つ採用」からの脱却

1点目は、「待つ採用」からの「攻めの採用」への進化です。

人材紹介会社に求人票を提出して、転職メディアに求人広告を掲載、エントリーいただいた候補者を書類選考し面接に呼び込む。このような従来の「待ちの活動」だけでは、優秀な候補者の方にアプローチすることが難しくなってきています。候補者とのカルチャーマッチを図るのも難しく、面接の通過率、入社後の活躍という点でも、少し疑問符がついてしまいます。

さらに、本当に優秀な候補者は、スカウトメールはおろか、仕事上のつながりなどでも日々リクルーティングされている状態ですので、企業側が待ちの姿勢だとほぼスルーされてしまいます。

よって、候補者が「転職したい!」と考えた後に、自社の魅力やカルチャーを伝えるのではもう遅い。採用担当者が待ちの姿勢を捨てて前に出て、転職を考える以前から自社をアピールしておく必要があります。「今の会社を辞めよう」と思った瞬間に、志望企業群に入ってなければならないですし、もっと言いますと、「転職したい」という動機までつくりだせるとベストです。1社でその優秀な候補者を独占できるわけですから。

(2)「ブランディング採用」への進化

そこでポイントになってくるのが、「採用ブランドの強化」です。

具体的には、「あの会社の仕事は面白そうだな」「カルチャーが自分に合いそうだな」と転職を考える前に感じてもらうことを指します。

「会社としてかっこいい」「サービスやプロダクトがイケてる」「成長している」といったような、消費者や株主目線のブランディングではありません。あくまでも「働く」ということに直結した「候補者目線でのいい会社」にしていくことが「ブランディング採用」なのです。よって、やり方次第では、大手企業を中小企業が凌駕することもできます。

具体的な手法として、「勉強会」「オウンドメディア」の2つをご紹介させていただきます。

まず「勉強会」なのですが、自社の「仕事」「カルチャー」を大人数に対して深く訴求できるメリットがあります。ポイントは、いかに参加者の目線に立って企画と運営ができるか、です。

特に、企画内容は、集客数や参加者の属性にも影響するので、最重要と言ってもいいでしょう。エンジニアやデザイナーの関心のあるトレンドを察知し、有益な情報を提供できるスピーカーに登壇依頼を行い、各所と調整しつつイベント全体の流れを設計する、という流れです。

私がDeNA在籍時には、年間30〜40本の勉強会を担当しておりましたが、ブランドの底上げには直結していた実感があります。自社だけの開催が難しい場合は、他社との合同開催という形式でもよいですし、コンテンツを用意するのが難しければ、「現場と語るランチ会」などでも一定の効果を見込めます。まずは、恐れずに1回やってみることが大切です!

次に、「オウンドメディア」の運営です。

自社に興味を持ってくれた方に対して、継続的な情報提供をできるメリットがありますし、イベントや採用の告知に用いることもできるので、非常に有用だと考えています。「Blog」「SNS」にて、自社の旬なネタを発信しましょう。

ここで重要なのは、「採用担当者ではなく、現場スタッフに発信してもらうこと」です。受け手側の論理で考えることもできますし、旬なネタを採用担当者が拾い上げるのは難しい。現場の方の工数が足りない、ということでしたら、採用担当が取材を行い記事を書き起こしても構いません。

また、上記の勉強会のレポートを公開したり、プレスリリースを候補者向けに加工して発信するなど、各種の施策と連動させるのもコツのひとつです。オウンドメディア運営のコツは、以下にまとまっていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

Q.オウンドメディアの成功事例に共通項はある?→「あります」@はてな

(3)これからの採用担当者に必要なもの

最後に、お伝えしたいのは、採用担当者自身に求められるものが変わってきているということ。

転職活動前の候補者に対して自社の魅力を伝えていく司令塔は、現場スタッフではなく採用担当者であるべきだと、私は思います。ここで大事なことは3つです。

1つ目は、「自社の魅力を、"自分自身の言葉"で語れるようになる」こと。転職活動中の候補者に対しては、「選ぶ」ためのコミュニケーションが中心となりますが、活動前の方はそうはいきません。自分自身の言葉があって、彼らははじめて信頼を寄せてくれます。また、勉強会の企画やBlogなどでの発信内容の背骨にもなります。

次に、「"世の中のため"という視点を持つ」ことも大切です。特に、勉強会を行う際には、この視点のある・無しがそのまま参加者に伝わります。自社の採用のためにやっているのが見え隠れするイベントには、参加するのもはばかられるのが実情。世の中や参加者の皆様に何かを提供したい、その「何か」がそのままコンテンツになるのです。

最後に、「長期的なPDCAを回す」です。採用ブランドの向上は、すぐには成果が見えてきません。年単位の時間軸で、いかにブラッシュアップしていけるかが大切で、定性的な成果の見極めも同時に必要になってきます。いかに粘り強く継続できるかがキーになります。これらを実践していくことによって、採用担当者自身がブランドの起点になれると、私は信じています。

企業側が進化すれば、多くの候補者の皆様に素敵な出会いを提供できますし、ひいては日本の国力アップにもつながるでしょう。なにはともあれ、まずは第一歩を踏み出すのが大事です!ぜひ、「ブランディング採用」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!

(おわり)

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本記事はCAREER HACKで掲載した記事を一部編集して掲載しています。CAREERHACKは、「WEB・IT業界で働く人々の人生を少し豊かにするメディア」として、話題の人へのインタビューや気になる会社への訪問レポートなど、"いま注目のヒト・モノ・コト"という切り口の記事をお届けしています。

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