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田舎暮らしはスタートアップとクリエイティビティを加速させる。《tixee》松田晋之介の「自分らしい生き方」

タイ、シンガポールに進出し、注目されるスマホチケットサービス《tixee》。同サービスを展開するLive Styles代表が松田晋之介さんだ。渋谷生まれ、六本木育ちの松田さんだが、留学を経て帰国後、神奈川県逗子市にある海岸近くの家で暮らすことを決めた。松田さんが選んだ自分らしい生き方とは?
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タイ、シンガポールに進出し、注目されるスマホチケットサービス《tixee》。同サービスを展開するLive Styles代表が松田晋之介さんだ。渋谷生まれ、六本木育ちの松田さんだが、留学を経て帰国後、神奈川県逗子市にある海岸近くの家で暮らすことを決めた。松田さんが選んだ自分らしい生き方とは?

■自然に囲まれた逗子での生活。スタートアップへの好影響とは?

ライトが煌煌と街を照らし、夜でも多くの人でごった返す若者の街、渋谷。そんな街で1984年に松田晋之介さんは生まれた。少年時代に渋谷から六本木に引っ越したものの、ずっと東京の大都会で育ってきた。

「東京のド真ん中に住んでて凄くスレた子どもだったし、アメリカに留学した時も、ロサンゼルスの田舎がすごく嫌でマンハッタンに移り住んだんですよね」

...が、マンハッタンでの生活は遊び中心。そんな状況に危機感を持ったという。

「このままだと本当に腐ってしまう。だからもう一度、ロスの田舎に戻ることにしたんです。そこで初めて自然の良さであったり、そこで得られるシンプルな思考を見直しました」

そして、帰国後、生活の拠点に選んだのは、東京ではなく、神奈川県逗子市。海岸沿いにある家だった。

仕事では、2010年にCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)に入社し、代官山プロジェクトに携わるなど活躍。2011年には自身でLive Stylesを立ち上げ、スマホチケットサービス《tixee》で一躍注目される存在となった。

《tixee》が急成長している現在も、生活の拠点は逗子。Live Stylesは渋谷にオフィスを構えており、通勤は決して便利でないし、情報や人が集まるのも東京といったイメージはある。

なぜ、松田さんは「田舎に暮らし、都会で働く」といった生活をするのか。また、スマホチケットサービス《tixee》の躍進にはどのような好影響を与えたのだろう。

■ 都会を離れて暮らしたら、通勤電車がワークスペースになった。

― もともと逗子に住もうと思ったきっかけがあれば、教えてください。

先輩たちが逗子のとなり町に飲食店を出して、そこに行くようになったんですよね。通う頻度が3ヶ月、1ヶ月、毎週末...みたいになっていっそのこと近くに住んでしまおう、と(笑)。

― 実際、逗子に住んで良かったと思うのはどういった部分ですか?

漁師さん、サーファー、大企業の重役だったりが、サンダルと短パンで笑いながら話をしてたりしてて。都内のコミュニティと全然違って仕事でつながっているわけではないから、すごくシンプルだし、人間くさくて心地いいんですよね。道で顔見知りに会うことも多いし、知らない人でもご近所さんだからみんな挨拶する。幼稚園で習うようなことだけど、すごく新鮮だったし、大切だと思ったんです。

まわりの影響って良くも悪くもすごくあって、逗子での会話って半分以上が自然のこと。「今日は風が気持ちいいね」とか「夕日がきれい」とか。「きょうは良い波が来ている」だったり、「あのサーファー、凄くいい感じだね」だったり。

都内にいた時、自分はどんな会話をしていたんだろう?と振り返ることもあるのですが、「あの会社の株価がどうだ」とかすごくギラギラした話ばっかり。そういった意味でも逗子や葉山にいる仲間たちは凄くシンプルで大切なことを教えてくれる存在だと思っています。

― 逆に、ビジネスモードに切り替えるためにはどうしているのでしょうか?

通勤電車で逗子から東京に向かう途中に、どんどんテンションが上がる感覚ですね。1時間くらい電車に乗るんですけど、そこでカンタンな雑務を片付けたり、その日の指示をまとめて出したり。準備を済ませて、会社に着いた時にトップギアで仕事が始められるようにしています。

社長って、ミーティングが多かったり、確認が多かったり、なかなかフリーになれるってことないんですよ。だから、逗子から渋谷に向かう電車内って自分が一人になれる貴重な仕事の時間ですし、ワークスペースだと思っています。PCを開いて、Wi-Fiをつなげたらオフィスと環境は変わらないですね。

■ クリエイティブは、異なる「情報」の掛け合わせで生まれる

― スタートアップを運営する上では、普通だったら「情報」と「人」が集まる東京に住んだほうがメリットがあると感じてしまうのですが...?

Live Styles代表 松田晋之介さん

スタートアップをやってると、どうしても成功者のマネをしたくなるんですよ。でも、いま現在、自分なりの結論としては、その人にはその人なりの勝ち方があるからマネしてもダメ。で、「自分らしさ」を考えたほうがいいと思うんです。その「自分らしさ」と向き合うためにも、余計な情報が入ってこない田舎で暮らしたほうがいいと考えています。

たとえば、世界一の投資家と言われているウォーレン・エドワード・バフェットという方がいるのですが、彼はオマハという田舎に住んでいるんですよ。投資って情報が一番大事じゃないですか。でも、必ずしも物理的な距離を重視しているわけじゃない。

そもそも今って情報過多で、もう全然拾いきれていないし、吸収もできないんですよ。「最新」であることが大切なわけではなく、情報を掛けあわせて、クリエイティブを起こすことのほうが大事なわけで。

渋谷から逗子に移動するだけで空気が全然違うし、街で知らない人とも挨拶をするといった文化が逗子にはあって、渋谷とは「当たり前」が違うんですよね。そういう意味で、それぞれの空気から得られた情報を掛け合わせることで、よいアイデアが生まれてくる。

物理的に距離が離れた「情報」であればあるほど、出会った時のケミストリーが大きい。東京だけに身を置いていると、それ以外の環境における「当たり前」が入ってこないじゃないですか。

遠くにいけばいくほど「当たり前」が違うから、「えっ?なんで?」と必死に考えるようになるし、刺激になりますよね。そこにクリエイティブの源があるんじゃないかなと思っているんです。

― どこにいてもネットで同じ情報は入手できてしまう。それ以外の情報を取るためにも、物理的な距離をつくってみる、というイメージでしょうか。すごくおもしろい発想ですね。

もちろん、合理的に考えたら、東京で働いて、逗子で暮らすって「やらなくていい理由」はたくさんあるんですよ。交通費が余計に掛かるとか、通勤の1時間を仕事につかったほうがいいとか、もう腐るほど「やらなくていい理由」はある。でも、決断って大体が非合理的なんですよね(笑)。

■ 人は「振動」に感動する。

― 確かに「人は何を大切とするか」は言葉にしづらいですし、非合理だったりもしますよね。面白いと感じたのが、『tixee』も音楽ライブだったり、電子もぎり(リンク)だったり、オフラインを大切にするサービスで。松田さんの生き方や大切にしている事と通じていると感じました。

ぼく個人的には、物理的に体が揺さぶられるなど、「振動」ってすごく感動に結びついていると思っていて。

― 振動...ですか?

他の人から生まれた振動を、生身で感じる事って感動的だと。たとえば、こうやって話をしていても、声の振動が耳に届いている。どんなコミュニケーションでも、人と会うと場の空気は振動していますよね。音楽ライブにしても、音で空気が揺れて、体にガンガン来る。そういう振動を通じた感動のきっかけになりたいんです。

合理的ではないかもしれませんが、自分が成功しようが、失敗しようが、死ぬ間際に人生を振り返った時に、後悔の数が減ればいい。

で、その数を減らすための行動指針があるんですけど、「世界一」「圧倒的」「今しかできない」という3つ。それが全部入っているか、いないかで、全てを決断していく。結局、人生後悔したくないなっていうのがあるんですよね。

■ 世界初、Made in Japanのチケットサービスで東京オリンピックを狙う

― 《tixee》についても伺いたいのですが、エンタメ分野で数少ない「アイデア」による日本発のオリジナルサービスですよね。

《tixee》にしても"自分たちらしさ"によって成り立っているサービスで、僕らが生み出す世界初でMade in Japanのアイデアを、世界でのディファクトスタンダードにしたいという思いが強くあります。そして、2020年の東京オリンピックで《tixee》を採用してもらえるようになりたいんです。

1960年のオリンピックって街を変えて、競技場やスタジアムを新しく作り、新幹線も開通して...と、2020年はもっと先に進んで、最初の入り口となるチケットが「電子もぎり」だったら凄くクールですよね。

それをするためにも、まずは、《tixee》は海外でも素晴らしい体験をもたらすということを証明したいんです。海外で一番使われるMade in Japanのチケットサービスは何だ?という時に《tixee》の名前があがるようにする。そうすればオリンピックでも候補に上ってくるのかなという風に考えています。

― 新しいチケット体験がオリンピックで実現されるかもしれない。そう考えると凄くワクワクしますね!ますますのご活躍、楽しみにしています!本日はありがとうございました!

[取材・文] 白石勝也

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