シリコンバレー式やる気を出すマネジメントーなぜ日本企業のサラリーマンはモチベーションが低いのか

「進化する組織」の基本となる人材は?
Casey Wahl

働くモチベーションが低い日本人

国際的な調査会社ギャラップが集計した、"State of the Global Workplace(2013)"によると、日本ではモチベーションの高い社員は7%、低い社員は69%、非常に低い社員は24%となっています。世界平均では13%、63%、24%、アメリカでは30%、52%、18%ででした。

また、人事コンサルティング会社のウイリス・タワーズワトソンが公表している意識調査では、「自社が働くに良い会社だと人に推薦できる」と回答している日本人の社員は22%、米国では64%でした。。

なぜ日本企業で働く人はモチベーションが低いのか?

私は日本人のモチベーションが低いという調査結果を見て、なるほどと思いました。

会社ではたらく日本人の多くのサラリーマンは、「自分から行動する」というよりは、上司に言われたから、お客様に言われたから、、、といった動機によって行動している人がいかに多いか。

なぜなら「出る杭は打たれる」という言葉に象徴されるように、日本では人と違った行動をとる異分子を徹底的に叩いてやろうという集団心理が、初等教育から植えつけられていると考えられます。

実際には、トップダウン型の組織では、チームの中で「こうしたい」「こうしたほうがよくなるのではないか?」と改善点を思いついても、一人がなかなか言い出せないということがあります。

稀に、「出る杭」となって組織を変えようと動く社員もいます。しかし、そのような人たちが口を揃えて言うのは、「ひとりの提案」を「みんなの意見」にしていくまで、非常に長い道のり、苦労があった、ということです。

日本の多くの会社では、このような「あるある」が、モチベーションの低さと組織のエンゲージメントの低さに繋がっている一つの要因ではないか、と考えられます。

シリコンバレーのバズワード

ではどのようにすればよいでしょうか?

組織をマネジメントする上での全体観を持ったホリスティックな人材、言い換えれば誰もが自分自身の価値を見出し、相手の価値を見出して仕事をする人材で構成された組織は、組織全体が生き生きした状態になります。

そのような人材マネジメント手法がヨーロッパやシリコンバレーでは注目されています。

昨今、日本でも注目されている「ティール組織」という概念でいえば、脅しによる目標達成ではなく、「1:存在目的」「2:自主経営」「3:全体性」といった要素を会社文化としてトライし実現し進化する組織、いうことになります。

「やる気」を出す「エンゲージメント」への注目

これら「進化する組織」の基本となる人材は、どのようなものでしょうか。

端的に言えば、モチベーションが高く、組織としてのエンゲージメントを高めあい、かつ成績も残せる人材ということになります。

人材の流動性の激しいシリコンバレーでは、社員のエンゲージメントが低い組織では、絶えず優秀な人材が流出し、ビジネスを早く回すことができません。

ホリスティック(全体最適)を重視するマネジメントの指標として、「エンゲージメント」に注目が集まる理由はそこにあります。

人心の掌握に長けているとはいえない、組織マネジメントにうとい若いマネジャーたちが、構成員のやる気を出させ、組織のエンゲージメントを高めるには、人と組織の状態をデータで見える化し、マネジメントをする必要があると私は考えています。

データでエンゲージメントを見える化

エンゲージメントとは、誤解を恐れずに単純化してしまえば「社員が満足して働けているか」ということになります。

満足度の高い組織では、アウトプットの質や量が高まるということは容易に想像できます。これは、「報連相」を基本として100%部下を管理し、プレッシャーをかけて仕事をすすめるスタイルの仕事とは異なります。

私たちの数年にわたる心理学研究により、さまざまなモチベーションをもった個人のモチベーションをひもとき、さらにそれらを分析することで組織文化を見える化ができることがわかりました。

さらに、組織文化の中での個人の満足度をデータ化することで、組織のエンゲージメントを見える化することが可能になったのです。

必要なのは、"組織のPDCA"

組織のエンゲージメントを高めるには、個人ごとに異なるモチベーションをパーソナライズして高めることを通じて、組織全体としてのエンゲージメントを高めるPDCAを回すことが有効です。

これには、話し方や態度の問題だけではなく、「技術」が必要です。

例えば、個人面談や細かい仕事へのフィードバック、チームミーティング、プロジェクトミーテイングのやり方などあらゆる現実にあったやり方を通じて、組織のエンゲージメントをPDCAによって向上させる取り組みが必要なのです。

採用の重要性と組織のメンテナンスの重要性

さて、有名な書籍『ビジョナリーカンパニー』で紹介されている会社では、「企業文化」とそれにあった人材の採用が大事であると紹介されています。

例えば、サウスウエスト航空の例では、採用時に「卓越した利他の心を持つチームプレイヤー」という価値観を持った人材を採用しています。

そして、同社では業績評価は、成果だけではなく「どのようにアプローチしたのか」によって評価されるとのことです。

同社のサービスレベルは世界から称賛されており、ときには個人が任された範囲を超えて裁量を発揮でき、満足度を高く働いており、それは組織のエンゲージメントが高いことによってもたらされていることと両輪の関係にあります。

そのためには、あらかじめ企業文化にあった価値観(モチベーション)を持つ人材を採用し、かつ採用しっぱなしではなく、エンゲージメントを高めるPDCAを実践しているといわれています。

採用も変わる必要がある

こうして考えてみると、異なるモチベーションを持った一人ひとりの個人と、それらから構成された組織文化とは、微妙な違いが生まれてくることがわかります。

モチベーションを高めることとエンゲージメントを高めることは、微妙に違うということです。

逆にいうと、現状の多くの会社では、スキルや経験で採用が行われていることが多いのですが、あらかじめ組織文化に適した人材を採用することで、個人のモチベーションとエンゲージメントの向上が同時に可能となると考えられます。

さらに言えば、組織文化に合わない人にはやめてもらう必要があるかもしれないのです。

現場のマネージャが取り扱える組織PDCAとは

私はこれらの組織のPDCAに関わる問題を解決するため、AttunedというSaaS型サービスの開発に力を入れています。

これまで高価な人材マネジメントのコンサルティングサービスで提供されていたような、エンゲージメントに関するデータの取り扱いと分析を、現場のマネージャーでも気軽に使ってもらうためのサービスを提供します。

Attunedはすでに英語圏でサービスを開始しており、スタートアップ、自動車会社、メーカー、石油会社、プロフェッショナルサービス、病院、教会のような組織に至るまで、ありとあらゆる業界で利用されています。

日本でも、先に挙げたような業種だけでなく、繊細な心配りが必要な職場のマネジメントが非常に難しいと報じられていますので、いますぐ科学的な活動を進めるべきではないでしょうか。例えば、介護や保育、サービス、ホスピタリティ、ものづくりの現場などあらゆる場面にいえることです。

Casey Wahl

組織のPDCAによって得られるメリット

Attunedは経営側にとっても、やめそうな社員を把握できるというメリットがあります。

さきほども申しましたが、会社文化にフィットした人材を採用できていれば、個人のモチベーションを上げることに会社が投資をすれば、エンゲージメントが高めることができるのです。

Attunedは、経営者や現場のマネジャーがどのようなフィードバックを与え、投資をすべきかについて、GoogleやAmazon、ハーバードやスタンフォードなど世界最先端の研究結果をもとにしたアドバイスを提供します。

これが組織のPDCAに役立つことはいうまでもありません。

日本発のAttunedで世界中の「働き方改革」を後押しする

私は日本の「働き方改革」にはいろいろと思うことはありますが(それについては別の機会に語ります)、政治の具に終わらせるのではなく真の改革となるよう、後押ししたいと考え、具体的なアイデアをAttunedに込めました。

それに、「未来をつくる起業家」を上梓してから、日本発の世界に通用するサービスをつくりたいと、思いを抱いて来ました(いまのところ、誰もが扱える手頃でホリスティックなサービスは世界中でもAttunedだけなのです!)。

世界中の「働き方改革」を、Attunedは、後押しします!

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