いつかは起業を考えている、野心家がすべきこと ~スタートアップ悲喜こもごもをまるごと・映画プロジェクトがローンチ~

なぜ、映画プロジェクトがローンチされたのか?
CASEY WHAL

毎年、世界中を見回すと、何十ものユニコーン企業が誕生している。ユニコーン企業とは、一般的には評価額が10億ドルを達成した、革新的なサービスや商品を武器に急激な成長を遂げたベンチャー企業のことを指す。最近では、UBERやLyft、AirbnbなどのIT企業やTeslaなどのテクノロジー企業がユニコーン企業として上場した。

さて、近年、日本からユニコーン企業入りしているのはZOZOタウンを運営するスタートトゥデイ、ディープラーニングのプリファード・ネットワークスのほかにはない(日経新聞「NEXTユニコーン調査」)。シリコンバレーや中国、世界をみれば、231ものリストができている(CB Insights)。しかし、嘆いていても仕方ない、私たちは前に進むしかない。

私は日本から、大きくチャレンジしたいと思う人の背中を押し、そういった思いを持つ人を増やすため、日本にいる起業家の友人たちに呼びかけ投資してもらい、映画をつくることに決めた。ついにプロジェクトがローンチまでこぎつけたので、ここでいったん思いや背景について知ってほしいと思い、筆をとった。(読了まで約5分)

なぜ、映画プロジェクトがローンチされたのか?

私はヘッドハンティングを生業としているが、2年前に上梓した書籍『未来をつくる起業家』の執筆やプロモーションを通してたくさんの起業予備軍といえるビジネスマンと接してきた(最新刊『未来をつくる企業家 vol.2』もこの3月に発売した)。

Casey Wahl

ところが、彼らはアイデアはあっても実際に動き出すことはほぼない。それだけ、起業はハードルの高いことであるので無理はないし、リスクの大きさ、困難さからいっても、手放しに強くお勧めできるようなことではない。

しかし、それでも起業してスタートアップとして成長し、ユニコーン企業を目指す若者が現れ現実のものとなるまで、私は日本でのスタートアップへの応援をしていくつもりだ。

スタートアップの起業家が直面する困難や出会いなど出来る限り多く、ありのままを描き、スタートアップで働く、または自ら起業することの価値について、日本をはじめとした世界の皆さんと考えたいいう思いで企画したのが、いま制作中の映画「スタートアップガールズ」だ。

起業家の生き方はまさに"アート"だ

私はヘッドハンターとして、日々スタートアップの経営者と接する中で、彼らの生き方が「アート的」であると感じていた。(昨年から「働き方改革」がクローズアップされていたが、ハードな働き方を自らの意思で選んでいる彼らを見ていて、政府やマスコミのキャンペーンには違和感を感じずにはいられなかった)

UBERやAirbnbをはじめとした急成長を遂げたユニコーン企業(もはやスタートアップとはいえないかもしれないが...)は、従業員にとっても働きやすいオフィス環境を標榜・実践している。スーツに身を包み、単純化された作業、長時間労働を旨とする伝統的な企業での働き方とはまるで違う。

経営者はもちろん、社員にも働き方、働いた結果が、ポジティブな考えをもとにエネルギーに変換することが求められている。

スタートアップをつくること、働くことは ITやテクノロジー、クリエイティブの力をつかって、大きな価値を生み出すことはアーティストに近い働き方ではないかということだ。

自分が、どういう働きかたをしたいか、ということだ。伝統的なエリート社会で働きたいのか、アーティストのようにスタートアップで働き、いつかはそれを自ら成し遂げたいと思うかの違いだ。

映画を通じて伝えたいこと

メンタリティや文化的な影響に関する考察は別の機会に譲りたいが、私がこの映画づくりに熱を上げ、これを通して社会貢献したいと考えている理由は二つある。

一つ目には、映画というメディア・作品を通じて、起業やスタートアップに挑戦することの魅力やすばらしさ、そしてどのような困難に直面するのかといったことを伝えることで、スタートアップに対する理解を深められるようにしたい。

二つ目に、すでに説明したが、スタートアップがアートそのものであることを伝えることで、それによりもっと多くの優秀な人材がスタートアップに魅力を感じられればより人材の流動生が高まり、願わくば自ら事業を起こすようになる循環をつくることが、日本の将来の産業競争力につながると考えるからだ。

Casey Wahl

映画のプロデューサー3名。実にスタートアップ的な映画プロジェクト。

日本の若者がすべきこと

日本ではベンチャー企業への就職は主流ではない。一方、日本の大手企業は優秀な若者を採用することができる。またベンチャー企業においても人材の流動性は極めて低い。こういった特殊な事情があることも事実だ。

  • 大手企業では手厚い研修、福利厚生があって長年勤めそこそこの暮らしができるが、ビジネスの作り方を教えてくれることはない。
  • つまり大手で働いてもアイデアを出し、実現できる力を身につけられるようになるわけではない

では、スタートアップに就職すべきなのだろうか?

  • 日本では新卒で大手企業に入社することは、出身大学と同じように一生ついて回る自分の名刺のようなものだ。
  • 大手に採用される人材なら、ベンチャーに転職は容易だ。ダメだったら大手に戻ることができるが、その逆はまず考えにくい。
  • 現状、日本のベンチャー企業では給料も十分ではないし、社員にストックオプションを配ることも一般的ではないし、イグジットもかなり遠いのが現実だ。環境が整っているとは言えないが、徐々にこれは変わってくると思う。

よって、野心ある優秀な日本の若者が経験すべきことは、例えば以下のようなことではないだろうか。

  • 大学生の期間にベンチャー企業へのインターンを経験し、どのようなものかを肌感覚として体験する
  • 可能なら学生のうちに起業を経験しておく
  • 大手企業に入社し、ベンチャーではなかなか経験できない、大規模なマネジメントやプロジェクトの経験を積む
  • ベンチャー企業に転職し、手腕を発揮する
  • いずれは自ら起業家となる

人生は短いので時間はあまりない。映画を見ればそのような起業家が直面するさまざま困難や、その価値に触れることができるように設計した。

あらすじを少しだけ紹介する

  • 大学生の主人公は最初に医療ビジネスにチャレンジしようとする。非常に素晴らしいパートナーも得た。しかしコミュニケーションの問題で自分の始めたビジネスから外されてしまう。
  • 次に大学内で使えるTinderのような出会い系に挑戦するが、本当にやることだとは感じられなかった。
  • 週末ビジネスで始めたアイデアがうまくいく。すばらしいCTOを得て、この仕事が大きく成長していく。

映画プロジェクトは、本で紹介した数人をモデルにしていおり実践的なものになると信じている。IT技術を土台にしたスタートアップの経営者の奮闘を描く予定だ。

「起業人生はジェットコースター」といっていたある経営者がいた。やってみてもうまくいかないことは日常茶飯事だし、お手伝いのつもりではじめたことが事業化し大きく育っていったり・・・。

映画をみていただければ、「起業人生のジェットコースター」を垣間見ることができるだろう。

作品の公開時期などは追ってアナウンスされるので、乞うご期待!

Casey Wahl

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