〈生活と想像力〉をめぐる"ある種の"ライフスタイル・マガジン『生活考察』、最新号のテーマは「食」!

私が作っている『生活考察』という雑誌の、主にコンセプトにあたる部分について書かせていただきました。今回は、ちょっと前に新しい号(Vol.05)が出たこともあり、その内容を紹介させてください。

前回、私が作っている『生活考察』という雑誌の、主にコンセプトにあたる部分について書かせていただきました。

今回は、ちょっと前に新しい号(Vol.05)が出たこともあり、その内容を紹介させてください。

と、その前に。

弊誌は、誌名の通り、「"生活"について考えること」をテーマにしています。

基本的な構成は、エッセイ・・・70%、対談や鼎談などの会話もの&その他の企画・・・30%、といったところでしょうか。

特徴として、エッセイが多めですね。

ほら、よく雑誌に生活エッセイって載っているじゃないですか。

私は、ああいう読み物のがすごく好きなのですが、通常1冊の雑誌のなかで、生活エッセイに割かれるスペースはさほど多くありません。

ならば、あまりメインになることのない、そうした読み物をメインコンテンツにしてみたらどうなるか? そんなことを考えたのです。

言うなれば、鮭の中骨缶のようなもの、でしょうか(あれを発明した人は本当に偉大だと思います。中骨大好き)。

そんなわけで、連載エッセイ&単発エッセイを中心に作られている『生活考察』ですが、それ以外の30%は、ある意味、作っている私の気分や、その時の興味が強く反映されているように思います。

と、ここでようやく最新号の話になります。

弊誌は通例、特集を組まない方針をとっているのですが(絶対に、ということではなく、現段階では何となくそうなっている、という感じです)、今号は、結果的に「食」に軸足を置いた内容になりました。

偶然、エッセイにも食ネタが多かったのですが、それ以外にもこんなコンテンツを収録しています。

1. オカヤイヅミ×佐藤和歌子×辻本力「悦楽自炊道」

昨年、自炊漫画『すきまめし』(マックガーデン)の著者にして、現在WEBで歌人・作家の加藤千恵さんと共作で『ごはんの時間割』(講談社コミックプラス)を連載中のオカヤイヅミさんと、ひとり焼肉のバイブル『悶々ホルモン』(新潮社)の著者にして、現在季語と晩酌をテーマにしたコラム集を執筆中の佐藤和歌子さんをお招きし、"自炊"をテーマにトークイベントを開催しました。

この記事は、その時の模様を再構成したものです。

自炊――いわゆる家メシについての放談なのですが、「より豊かな自炊ライフを目指して」というテーマのもと、オススメの食材や調味料、便利な調理器具や保存食、面倒な調理の克服方法などについて、わいわいと話し合っています。

読めばそのまま台所に立ちたくなることうけあい!(私自身、超刺激を受けました)

垂涎必至の自炊エンタメ鼎談です。

2. 阿古真理×吉田アミ「ごちそうさまが、よみたくて~本から見えてくる日本の食文化~」

こちらも『生活考察』が企画した、同名のトークイベントの模様を再構成したものです。

本対談は、本における食の描写を読み解くことで、私たちの食生活が、昭和~平成にかけてどのように変化してきたか検証します。

出演は、時代時代の出版物・テレビ番組・映画などにおける食卓の変遷を追った『昭和の洋食 平成のカフェ飯――家庭料理の80年』(筑摩書房)の著者・阿古真理さんと、マンガに造詣が深く、レシピ本についても一家言ある前衛家・文筆家の吉田アミさん。

料理写真の撮影角度はいつ変わった? 「女性はアボカド好き」という言説はいつ生れた? やたらと温泉卵をトッピングする風潮が生まれたワケは? ...etc.

とにかくお2人の持つ情報の豊かさ(量・質ともに!)に圧倒される対談です。

「食」に関心のある全ての方、必読!

3. BOOK GUIDE「"食"本考察」

総勢61名の豪華選者が、「食」をテーマに選書・コメントした、読み応え満点のブックガイドです。

これは、昨年『生活考察』Vol.04(前号)の刊行を記念し、ジュンク堂書店 吉祥寺店にて開催した同名のブックフェアが元になっています。

一筋縄にはいかぬメンツゆえ、「食」をちょっと面白い視点から捉えた本がずらり。

「誰が何を選んだか」という楽しみはもとより、「え! これも食の本?」「確かに"食"ではあるけれど......」――そんな驚きと困惑とニヤニヤをご賞味あれ。

そうそう、この企画をやって面白かったのは、ほぼ本がダブって選ばれることがなかったことです(すでに選ばれている本は選べない、というルールだったのですが、選書が被ったのは、確か1冊だけだったと記憶しています)。

一言に「食」と言っても、人それぞれ、捉え方も、考え方も違うということの表れでしょうか。

そして、それは同時に、「食」というものの懐の深さを表しているように思います。

<選者(敬称略)>青木淳悟、阿古真理、朝倉かすみ、朝吹真理子、石原壮一郎、伊藤健史、戌井昭人、岩崎太整、内海慶一、海猫沢めろん、円城塔、円堂都司昭、大澤聡、大谷能生、大森望、大山くまお、岡崎武志、オカヤイヅミ、荻原魚雷、小澤英実、小田雅久仁、小山田浩子、春日武彦、かとうちあき、加藤千恵、かないみき、岸本佐知子、木下古栗、栗原裕一郎、小橋めぐみ、佐々木中、佐々木敦、佐藤和歌子、柴崎友香、柴田元幸、柴幸男、須藤輝、滝本誠、田中秀臣、千野帽子、塚越健司、辻本力、DJみそしるとMCごはん、豊崎由美、中嶋大介、蓮沼執太、林哲夫、速水健朗、平松洋子、平山夢明、福永信、藤野可織、北條一浩、松田青子、峰なゆか、森山裕之、柳下毅一郎、山内マリコ、吉田アミ、吉田隆一、米光一成

というわけで、『生活考察』Vol.05、好評発売中です。

興味を持たれたら、ぜひ書店などで手に取ってみてください。

取扱店など、詳細はコチラ

どうぞよろしくお願いします。

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