娘に伝えたい16のメッセージ

娘は今週9歳になりました。ということは、娘が現実の社会に出て、自らの手で戦っていく上での準備期間が、あとたったの9年しかないのです。
Christine Burke

9年前、医師は私に、ピンク色をした小さな存在を手渡し、こう言いました。「あなたの娘さんだよ」

医師が実際にそう言葉にしたわけではありませんでしたが、そこには「しっかり育てるんだよ」という意味が込められていたと思います。いえ、確かにそう言う声を心の中で耳にしました。

ピンク色の小さな赤ちゃんが帝王切開の傷口の上に載せられたあの日以来、自信と勇気に満ちた強い女の子を育てなければならないという使命の重みと大きさが、常に私の心を占めてきました。

ソーシャルメディアが盛んな昨今、娘を持つ親は心配の絶えない日々を送っています。いじめが好きな意地悪な女の子たちがたくさんいるようだし、体重が20キログラムしかないように見えるやせすぎのセレブやら、肌が透けて見える服ばかり着る(アメリカの歌手で女優の)マイリー・サイラスやらを目にしない日はありません。

最近私は、幼かった小さな娘が、ひそかに若い女性へと変身を遂げつつあることに気がつきました。そして、正直に言わせてもらうなら、娘のその変化に気づいた私はすっかり不安になってしまいました。娘は今週9歳になりました。ということは、娘が現実の社会に出て、自らの手で戦っていく上での準備期間が、あとたったの9年しかないのです。

わずか9年で、煮込み料理の作り方から、iCloudの管理の仕方、「白馬に乗った理想の男性」と「ダメ男」を見分ける術をしっかりと教え込まなければなりません。

時間はわずかしか残されていないのです。

そう思うと、いてもたってもいられない気持ちになります。

娘に教えそびれてしまったらどうすればいいんだろう。シーツを買うなら、糸の織り込み数を表すスレッドカウントが200以上の上質なものでなければだめであることを肝に銘じてもらう機会を逃したら? 感謝祭で夫の親族が食べる七面鳥の詰め物の作り方を教わることなく独立してしまったら?(その詰め物はひどい味なのですが、娘も作り方をマスターしておかなければなりません)

娘に知ってもらいたいことは、あまりにもたくさんあります。例えば、こんなことも。

  1. 女の子は、「NO」と断った後に謝る必要はありません。ボーイフレンドや上司、PTAのママ友や「バス&ボディ・ワークス」(アメリカの有名ボディケアブランド)のしつこい店員に対しては「NO」と言うべきです。その時は、毅然とした態度で。あなたにはそれが許されているのですから。
  2. 女の子はみな、誰の意見にも左右されず、自分で選んだソファを1つ持つべきです。
  3. あなたは彼をいま愛しているかもしれません。でも、誰よりも先に彼を愛したのはその母親です。その事実をリスペクトしましょう。
  4. 料理を覚えれば、初めての独り暮らしでも、かなり節約できるでしょう。
  5. タンポンはおすすめできません。
  6. 帝王切開の後、初めておならが出た瞬間は、まるで神さまとそれにつき従う天使たち、天国の門を見たような気持ちになるでしょう。
  7. 女性はどんな時でもオーガズム(絶頂感)を感じる権利があります。毎回です。セックスは男性のためだけではありません。相手が違う考えの持ち主なら、さっさと服を着て家に帰りなさい。
  8. 人生は短いのです。安い美容院で髪を切ったり、チープなピンク色のカミソリでむだ毛を処理したりしてはいけません。どちらにも十分お金をかけること。
  9. 女の子なら必ず、しっかりしたピンセットを持ちましょう。あごのむだ毛はちゃんと抜いて。
  10. ジャクリーン・オナシス(元米大統領ジョン・F・ケネディの夫人で、1960年代のファッションアイコン)は、デニムのショートパンツをけっして履きませんでした。見習うべきです。
  11. 結婚する男性は、あなたの隣に立つ人です。前に立つ人ではありません。
  12. 靴とバッグはいつでも似合うものを選びましょう。上質のものを手に入れること。
  13. デキる女性に見せたいなら、仕立ての良いドレスとピンヒールの靴、赤い口紅が一番。しっかり着こなしましょう。お尻が大きすぎると思っても気にしないこと。
  14. あなたを決めつけてきたり、ケンカを売ってきたり、やる気をくじこうとする人が必ず現れます。そんなときには、相手の悪意は無視して笑顔を向けましょう。相手を憐れむのです。
  15. お金がない時は、タンパク質たっぷりのピーナッツバターと、ビタミンCたっぷりのオレンジを食べましょう。それと、たくさんのワインもね。
  16. つらいことがあるときは、母親もきっと同じ経験をしてきたはず。相談してください。

以上は、娘に伝えたいことのほんの一部にすぎません。ストレスたっぷりの1週間を終えた時に「Netflix」でひたすら動画を見るとリラックスできるとか、ミルクチョコレートは必需品であるとか、16歳の頃の太ももには決して戻れないという現実など、話したいことはまだまだあるのです。娘に伝えたいこと、言い忘れてはならないこと、こと細かに言って聞かせたいことは、数限りなくあります。彼女が立派な女性になることは知っているのですが、その道のりを何とかラクにしてあげたいのです。

娘はいま、私の隣に座り、静かに宿題をしています。その姿を見ていると、畏敬の念が湧いてきます。私の目の前で成長していく、この美しい存在を見守るときの気持ちは、ほんとうに、言葉で言い表すことができません。

娘に伝えたいことを思い出せる時間が、あと9年間はある。それはなんて幸せなことでしょう。

[Christine Burke(English) 日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]