サイボウズ式:創業18年目で企業ロゴを刷新、サイボウズ社長 青野慶久の意思決定と胸の内

サイボウズが創業以来18年ぶりに「企業ロゴ」を刷新する。これまで使ってきたロゴを変える意思決定をもたらしたのは何か? サイボウズ社長の青野慶久に聞く。

18年ぶりに刷新するサイボウズの新しい企業ロゴ

サイボウズが創業以来18年ぶりに「企業ロゴ」を刷新する。これまで使ってきたロゴを変える意思決定をもたらしたのは何か? サイボウズ社長の青野慶久に聞く。

創業18年目で企業ロゴ刷新、その思い

青野:サイボウズにはたくさんの製品やサービスのロゴがありますが、今回刷新したのは「企業としてのサイボウズ」を表現するロゴです。

これまでのロゴはこちら。1997年の創業直後に作成したものです。創業者の高須賀さんの知人経由でデザイナーに依頼して、作ってもらいました。

cybozuの「c」と「y」を組み合わせたロゴタイプに、「b」と「o」の間に切り込みを入れたロゴフォント。色や形のコンセプトは特になく、当時は「かっこいいものを作った」と思っていました。

藤村:そこから企業ロゴを変更することに決めたと。

青野そうです。サイボウズは2011年にクラウドサービス「cybozu.com」を出し、これからは第二の成長期であると考えています。これまでのサイボウズのイメージを一新し、「チームワークを支援する会社」として世界に羽ばたいていきたいと思いました。

例えばMicrosoftさんの企業ロゴは、2012年に変わりました。1987年に決めたロゴから実に25年ぶりの刷新だそうです。サイボウズもロゴの変更にチャレンジすることにしました。

藤村:意思決定をされたのですね。

青野:ええ。でも企業ロゴを決めることは、勇気のいる意思決定です。何を選んだとしても社内からは「えぇーと言われる」でしょうし(笑)。そこでクラウドソーシングでロゴを広く募集してみようとする提案があり、ランサーズさんと組んで3種類の企業ロゴを考えてみることにしました

青野:ランサーズ史上最高の1431件の応募があり、とても驚きました。社内投票を通じて優秀なロゴを5つ選んだんです。選んでみたロゴを見たのですが、正直に言うと強く心が動かされませんでした。「ロゴを選んでみよう」と言い出したけど、「サイボウズが目指すビジョンを満足の行く形でデザインできていないのではないか」と感じたのです。

藤村:なるほど。

青野:そこで、いただいたロゴ1431件をすべて見直し、インスピレーションが湧くかを考えてみました。ロゴデザインを見る中でどのモチーフだと自分が納得できるかを考えました。

モチーフにはいくつかの共通点がありました。そのうちどれがふさわしいかを考え、「サークル(輪)のモチーフ」だと思ったんです。僕達が一番こだわりを持っているのはチームワーク、それを端的に現すものは「サークル」だと。

「サークルをモチーフにする」と決定

藤村:ロゴマークにサークルを使うことを決めたと。

青野:はい。サークルをモチーフにしたロゴを調べてみたところ、意外と少ないなと思ったんです。オリンピック(5大陸)やアウディ(創業者は4人)のロゴが代表例でしょうか。「もしかしてサークルはシンプルすぎて使いにくいのでは?」。選んだ私が一番動揺しました......。

でも止まっていては何も始まりません。外部のデザイナーに依頼をして、サークルをモチーフにしたさまざまなデザインの提案をいただきました。動きがあるデザイン(3つの組み合わせ)、色違い、その他いろいろ作ってもらった中で1つのデザインが目にとまりました。

藤村:それが新しいロゴの基本形をなしているんですね。

青野:ええ。一言で言うと「躍動感」がある。これに可能性を感じました。サークルを大胆に動かしたり、大きいものから小さいものまで、会社の輪、プロジェクト、家族、地域の輪がくっついたり離れたり、重なったり。

青野:色を変えてみると、カラーの違うチーム、個性的なチームも表現できると思いました。

青野:一緒にいただいたデザインのバリエーションにも驚きました。普通ロゴって枠をはみ出さないじゃないですか。でもこのデザインは枠をはみ出している、それでいいんだ、と感じました。

こちらはサンプル画像です

青野:色を入れ替えても見栄えがいい、躍動感があり個性も表現できる。背景が変わればチームも働き方も変わる、そんなサイボウズの目指す方向性を、このロゴだったら体現できると思ったんです。

サークルはどこから見ても同じ形、嘘や隠し事のない「公明正大」の証だと思いました。公明正大とはサイボウズが大事にしている価値観です。これを仮デザインとして決めました。

岡田武史さんが来た! FC今治のユニフォームでロゴ採用

藤村:仮デザインを決めた後は、何か起こりましたか?

青野:数ヶ月を経てロゴマークの商標が取れました。7月のオフィス移転と同時に使用開始するため、準備を開始しています。

そんな感じでいたところ、サイボウズに思わぬ来客がありました。男子サッカー元日本代表監督の岡田武史さんです。四国サッカーリーグ「FC今治」のオーナーになったということで、サイボウズもスポンサーとして協力することになりました。

4月にシーズンインするFC今治のプラクティスウェア(練習着)に、1年間サイボウズのロゴを出せることになりました。シーズン途中で作り直すこともできないので、この件に関しては、予定よりも前倒しで新ロゴを出すことにしました。

FC今治のプラクティスウェアにサイボウズの新しい企業ロゴがプリントされる

青野:改めて、企業ロゴに対する考え方を話します。サークルのモチーフは「どの角度から見ても変わらないという公明正大」という、サイボウズが重視している文化を表しています。

そのサークルを3つ配置したのは、「多様性(働き方)」と「一体性(理想)」「チームワーク」という理想のあり方を体現するためです。この3という数字には個人が大切にすべき「家庭」「会社」「サードプレイス(地域社会など)」の意味合いもあります。

藤村:3つのサークルというところに大きな意味を込めたんですね。

青野:そうです。サイボウズは2015年8月8日で創業18年目を迎えます。企業認知およびブランドイメージの向上を目指し「世界中のチームワークを向上する」というミッションを伝えるべく、新オフィス移転からこのロゴを使っていきます。

移転する日本橋オフィスやWebサイト、その他のさまざまなところでロゴをご覧いただくと思います。これからの新しいサイボウズにご期待ください。

(サイボウズ式 2015年3月30日の掲載記事「創業18年目で企業ロゴを刷新、サイボウズ社長 青野慶久の意思決定と胸の内」より転載しました)

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