サイボウズ式:もしも普通の大学生が、1日8時間社会人と机を並べてみたら──誰も教えてくれない長期インターンの現実

学生にとって、リアルな社会を体感できる機会の1つが「長期インターンシップ」。短期のものとは違い、社会人と机を並べて就業体験ができるものです。

サイボウズ式 長期インターンシップに参加中の伊藤麻理亜(左)、石川涼子(中)、中川健吾(右)。インターン歴はそれぞれ1ヶ月・5ヶ月・3ヶ月

実際のオフィスで仕事を体験したい、社会人が何を考えて日々どんなことをしているのかもっと知りたい──。そう考えている学生は少なくありません。しかし、バイトと遊びと授業に悩殺されがちな学生にとって、リアルな社会を体感できる機会はなかなかないのが実情です。

その1つの答えとなるのは「長期インターンシップ」。短期で決まったプログラムをやり遂げるものとは違い、社会人と机を並べて就業体験ができるものです。

サイボウズ式の長期インターンに参加し、一足先にビジネスの世界に飛び込んだインターン歴1・3・5ヶ月の3人が得たものとは? 編集部の一員として体験した取材や編集会議、社会人とともに過ごすことで感じた「企画」の違いや見えてきた将来像について、編集長の藤村とともに本音で話してみます。

「9時出社18時退社」にしばられず、学業も両立できる

藤村:ようこそサイボウズ式編集部へ。みなさんは大学3年、4年生ですね。それぞれのタイミングで「長期」インターンシップをはじめた理由ってある?

石川:明確な理由はなく「直感」です。そもそものきっかけはサイボウズのマーケティングセミナーで直接インターンに誘っていただいたから。セミナーに参加した時点ではインターンをしようとは一切考えていなかったです。

でも、社員さんとお話しした時にその方の事実と解釈を混同しない本質的なものの考え方が尊敬できるなと思い、はじめることにしました。

中川:正直にいうと、最初「楽しくお金を稼ぎたい」と思っていたんです。バイトの退屈な時間がすごく苦手なので、バイト以外の方法でお金を稼ぎたくて。

同時に学生視点ではなく、社会人視点で企画をやってみたいなと思っていました。この2つの軸を両立できるのがサイボウズだった。

伊藤:私も直感に近く、「なんか面白そうだな」と思ったのがきっかけです。今まで参加したいと思った長期インターンは毎日9時から18時までの参加が必須なものが多く、授業との時間が合いにくかったです。サイボウズは週2日からでよかったので、学業との両立ができると思い、応募に踏み切りました。

石川:私もそうだ! インターンのために丸1日時間を取れなかったから、自分の時間にあわせて調節できると聞いて。学業と両立できることは大切だよね。

オンライン中心のやりとりが、チームを強くする会話を生みだす?

藤村:長期インターンに参加して、予想と違ったことはありますか?

中川:「サイボウズ=チームワーク」のイメージがあったので、常にチームで直接会話しているのかなと思っていたんですけど、意外にパソコンを使ったオンラインのやりとりが多いなと思いました。

伊藤:真横にいてもチャットでやりとりをしたりしますもんね。

石川:すっかり慣れちゃったけど(笑)

パソコンに向かうインターン生の3人。チームで活動していますが、タスク自体は個別で黙々と取り組むことが多い

中川:パソコンで業務を進めることが多い分、対面で話す時のコミュニケーションの質がめちゃめちゃ高いと思いました。

石川:パソコン越しに文字だけでコミュニケーションすると誤解が生まれやすく、すごく気を配ってやらないといけないから、それを通じてコミュニケーションの質が上がると思う。

基本的にパソコンでやりとりしていると「せっかく顔合わせて話すんだから、パソコン上では確認できないことを話しあおう」と気分が高まるし、いいすみ分けができているんだろうね。

藤村:グループウェア上で事前に文字のやりとりをしながら意思疎通をして、打ち合わせで理解を深めていくという感じですね。会社の雰囲気はどう?

石川:「ビシバシ働け!」といった感じでないから、すごく自立していられるし、心の余裕を持てます。

伊藤:人として尊重されていると感じます。上司・部下関係なく互いに「〜さん」と呼び合っていて、素敵だなと思いました。

石川:社員さんの雰囲気がいいよね。裏表がなく、シンプルな考え方をしている人が多い。

中川:表現はよくないけど、「うわ、面倒くさい」と思うことはないよね?

石川:そう! 事実と解釈を混同して話していないから、意見を否定されても人格を否定されたと思い込むような面倒なことがなく、余計な気を使うことがない感じがして、「いいな、私もそうなりたいな」と思います。

「インターンで大変なこと? ありません」の理由

藤村:長期インターンを通じて、一番印象に残っている場面ってある?

中川:僕、つっこまれるのが結構好きで、記事を藤村さんやインターン生に見てもらい、グッとくるコメントをもらえる時にすごく興奮します。

企画を進めていく中で自分と正反対の意見が出ることがあるんです。それを受け止めるだけでなく「なんでそう思うのか?」と10回聞いてしまうくらい興味を持ち、より良い企画を作ろうとする真剣な姿勢があります。

普段一緒にいる友人と違い、共通の目的を持って取り組むインターン生や社員さんの意見は、多様ですごく刺激があって、自分は興奮しますね。

石川:「会社に属しているからこそできる体験」が楽しいと思うな。「サイボウズ」という会社が持つブランドイメージや実力・実績のおかげで、学生ではできないことを体験できるのが一番の魅力だと思う。

NTTぷららさんの出版記念パーティーにインターン生の私1人で行けたのは、まさに「おったまげた」という感じだった。

中川:伊藤さんは? まだ1ヶ月だけど。

伊藤:見るもの全部が「新しくて面白い」という感じです。オフィスに通うこと、編集補助などの就業体験、社員の方やインターンの方とお話しするのもそうですし、社員さんの様子も。授業を受け、決められた枠組みの中で学ぶ学校とは全然違う感じです。

藤村:前向きだ......。長期インターンで一番大変だったことは?

中川:僕はないですね。すごく一貫しているんですけど、自分では気づけない視点からのフィードバックをもらうことに興奮していて、企画が楽しすぎてあまり大変と感じないですね。企画をやるためにサイボウズ式のインターンやっているようなものなので(笑)

伊藤:慣れるのは大変です。パソコンのセットアップ、編集作業の補助、反響解析、編集会議への参加、記事企画など、学校やサークルでやったことのない新しいことをするので、基本的なやり方を覚えて実践することにまだ慣れないですね。

フィードバックをいただきながら、新しいことを短いスパンでぐるぐる繰り返しながら学んでいくのは、大変だけど面白いって感じです。

石川:大変なことって、頑張った分だけ新しい学びを得られるからわくわくするよね(笑)

私も大変という意識はあまり持ってないタイプ。大変だけど楽しいから大変じゃないみたいな。作業的に大変なのはパソコンかな?

中川:僕たちの答えだと、サイボウズのインターンはあまり大変なことがないように聞こえる(笑)

藤村:正解のない問いに対して、自分で考えてもらう時間が多いからね。それを楽しいと思える人が向いていますね

撮影用に、サイボウズ日本橋オフィスにあるハンモックにゆられてみました(笑)普段はまじめにデスクに向かっています

「飲み会の企画」は企画じゃないと気づけるか?

藤村:大学の活動と会社の就業体験の違いってある?

石川:私が大学のイベントやサークルで使っていた「企画」と、サイボウズでの「企画」の認識がまったく違ったんですよね。

サークルで「飲み会を企画しよう」とよく言うけど、その企画はだいたい決まったグループの中で「飲み会に来れる人だけ来て」と呼びかけることだった。

サイボウズで企画を考える場合は、コンセプトを作って、誰に何を届けるか考えて、新たな価値を提供するわけじゃない? なんだかもう毛色が違いすぎて、最初は違和感がありました。

中川:飲み会の企画は、「場所と日程調整」と言った方が正しいんじゃないかな。

石川:ほんとそれ! サイボウズの企画だと自分のしたいことを起点に、それが社会にとってどういう価値になるかを考える。意義のある企画ができる点では、全然違うよね。

伊藤:「企画」という言葉を使って、遊びじゃなくて意義のあることをやっている気分になりたいんですかね。

石川:誰だろう(企画という言葉をサークルに)持ち込んだひと(笑)

中川:1年生の時とかはあまり使っていなかったよね。

石川:サークルの運営に携わり始めてから企画という言葉を使い始めた気がする。

自主性の先を考えられるか?──学生と社会人の決定的な違い

石川:違いって、社会を動かす側だという意識かな。実際に企画を作る中ですごく実感したのは、学生は受け取る側だけど、社会人は仕掛ける側だということ。見えているものも目指しているものも全然違う。

単純にモチベーションや何を大事にしているかがまったく違う社会人と一緒に過ごせることが、インターンのすごく大切なポイントだと思うな。

中川:サイボウズの人は優しいので、「やれ」とあまり言われたりしないんですけど、逆にそれが大変だなと。同じ時間の中でどれだけ貢献できたのか、インターン生としてサイボウズにいる意味を自分で見い出さなきゃいけない

前回のインターン生座談会の話で「自主性をもっていなと苦労する」という話があるんですけど、サイボウズの長期インターンでは「自主性の『その先』」を考えないといけないなと。

藤村:その先?

中川:決まっていることを自分から言われないでやる「自主性」に対して、何も決まっていない状態から自分で作っていく「主体性」があると思うんです。

サークルやバイトだと自主性があるだけでほめられるけど、インターンは何か決まっているのかも怪しい中で「その先どうなっていたいか」「どういう影響があるのか」を考えて主体的に動かなければいけない。そこがサークルやバイトとは違うとこかな。

伊藤:答えがないというのはあると思います。社会の場合はそれをやっておけば大丈夫という過去問がないんですよね。

正解がわからないから100点をとるのも難しいし、100点を取り続けても停滞してしまうから、常に101点を目指さなければならないんだろうなと感じています。

伊藤麻理亜。インターン1ヶ月目。この記事がデビュー作です

中川:そこで無理に答えを見い出そうとしてぐるぐる思考していると、なんで悩んでいたのかわからなくなって「なんで生きているのか」と考え始めてしまうんだよね。

石川:なるなる。それ2ヶ月くらい前に越した(笑)

中川:サイボウズのインターンも、スケジュールが組まれるわけじゃないし、「なんで生きているんだろう」とまでいかなくても「なんでインターンやっているんだろう」という意味づけをするとすごく楽しいと思う。

藤村:哲学者かよ!

お膳立てなし、身1つで社会を経験。見えてきた将来の働き方とは?

藤村:一足先に就業体験をしたからこそ見えてきたものはある?

中川:僕は石川さんの存在が大きいですね。議論をなんとなくで終わらせないような「うっ」とくる意見を言ってくれるんで僕の興奮にもなるし、でも「ん? これは本当そうなのか?」と思うところもある。

「これで本当にいいのか?」「これを記事として出して本当に読んでくれる人がいるのかな?」といったちょっとした不安感を元に真剣に議論をしていると、ビジネスで必要とされる成果を出すためのチームワークが見えてくる感じがします。

将来何をやりたいか、まだはっきりと決まっていないんですけど、企画系のことをやりたいなと思いはじめました。

サイボウズLive上での石川と中川の議論の様子。サイボウズの長期インターンでは「サイボウズLive」を用いてインターン生の情報共有の場を作り、時にはソフトに、時には激しく議論する

伊藤:働くことに対する先入観はなくなったように感じます。実際にマーケティングを少し体験してみて、考えてアウトプットを出すことが想像以上に面白いなと思いました。

何もお膳立てされずに身1つで社会の中に飛び込んでみて、とりあえず経験してみたら、案外社会って「社畜」や「ブラック企業」という言葉に表現されるような恐ろしい場所でもなかったのかなと。

また、今まで見えていなかった記事や企画の前にある「考える作業」を体感することで、体を動かすより考える方が好きだと改めて感じました。

石川:やっぱり入ってみないとわからないことはたくさんあるよね。外側から見たらだいたいの形はわかるけど、中身は全然見えないから、外から見たうえで中に入って内側から見るとまた全然違う景色が見える。見えて来るってのもあるかもしれない。

実際に就業体験をしてみると、「やっぱり向いていなかった!」といったことが社会に出る前に気づけるからすごくありがたいなと思った。同じようなことが将来的に起きたとしても対処法がわかるわけだし。

石川:それに、サイボウズのインターンはつめつめで作業をするのではなく、自分について考えることができる余裕を作ってくれている。

そのおかげで「自分は何をしたいのか」「自分はどうすればモチベーションあがるのか」といった、自分自身がどういうものなのかがくっきりしてきたかな。自分の中で価値判断の基準が明確になってきた

だから就職する上でも、私はどういう環境の会社がいいのかはっきりしたね。実際に就業体験をして、自分の目で見て肌で感じると全然違うから、私が当初思い描いていた会社像とはまったく違った環境の会社に決めたよ。

ある日の予定。やることが決められているわけではないので、空いている時間をどう活用するかを考えられる余裕がある。いや、考えなきゃいけない

中川:自分の中で軸が決まってきたって、すごくうらやましいな。

石川:決まってない?

中川:あまり決まってないんだよね。今すごく困っていて。

石川:大丈夫! 伊藤さんは1ヶ月、中川くんが3ヶ月で、私は5ヶ月インターンをやっているじゃん。私も一時期自分がわからなくなって答えの出ない問題にぶちあたったけど、自分なりの答えが見つかったから2人も大丈夫だよ。

きっとインターンを経験した時間によって似た流れをたどって2ヶ月後には決まるから!(一同笑)

藤村:さすがサイボウズ式で一番長期間、インターンを経験している人の言葉は重みが違うで。

未来のインターン生のきみへ

藤村:長期インターンシップをやりたいと思っている学生に何かアドバイスするとすれば??

中川:いきなり「インターン」をするって、ある意味難しい環境だと思うけど、それを乗り越えてめちゃめちゃ面白い企画をして超興奮したいなと思っているので、そういうことが好きそうな人ぜひ、長期インターンの門をたたいてみてください! みたいな(笑)

石川:メディアのインターンなのがまたいいよね。メディアやブランディングにかかわれるのは超楽しいことだと思うし、時代に乗っていると思う。心からおすすめしたいです!

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本記事は、2015年9月15日のサイボウズ式掲載記事「もしも普通の大学生が、1日8時間社会人と机を並べてみたら──誰も教えてくれない長期インターンの現実」より転載しました。

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