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2018年10月05日 10時53分 JST | 更新 2018年10月05日 10時56分 JST

サイボウズ式:副業10分で50万円? ネット情報の多くは複業の実体験と違いすぎてモヤモヤする

そもそも、もし10分で50万円稼げるなら、私は複業などせずにそれを本業にする。

サイボウズ式


地方でNPO法人を運営しながら、サイボウズで複(副)業している竹内義晴が、実践者の目線で語る本シリーズ。今回のテーマは、複業に関する「情報」と「実際」のギャップについて。その情報、本当に正しいですか。


最近、「副業」や「複業」の話題をソーシャルメディアで見聞きする機会が増えた。

副業とは、「本業>副業」の状態で、副収入を得るために企業外で働くこと。複業とは、「本業がいくつもある」状態で、目的は副収入というよりも、「新たなチャレンジ」や「人とのつながり作り」「自己実現」などのために企業外で働くことである。

目的はどうあれ、働き方の選択肢が増えるのはうれしいことだ。

一方で、「副業」や「複業」の情報をネットで見たとき、「これが、本当に正しい情報なのかな」と、モヤモヤすることが時々ある。なぜなら、ネット上で見聞きする情報と、私が実際に体験している複業の間には、大きな「ギャップ」があるからだ。

例えば、ネット上に流れている情報の9割は、私の体験とは異なる。もちろん、「9割」という数字は実測値ではないが、感覚的には、これぐらいのギャップを感じるのである。

そこで、この記事では「ネットに流れている情報」と「実際の複業とのギャップ」、「複業関連の情報にふれる際に気をつけたいこと」について見ていこう。

世間の複業情報は「お金」か「自己実現」

まず、「ネット上に流れている情報の9割は、私の体験とは異なる」について。

twitterで「#副業」「#複業」などのハッシュタグが付いた投稿を見てみよう。実際にクリックして、流れている情報を見てほしい。

「#副業」は次のような内容が多い。

・「短期で高収入」
・「初期費用なしで稼げる」
・「副業で稼ぐ方法教えます」
・「ネットビジネス10分の作業で50万GET」

一言で言えば、「お金」の話ばかりだ。

「#複業」は、「#副業」の内容に加えて......

・「やりたいことをやって夢を叶えよう」
・「先行き不透明な時代、複業を始めるべき」
・「自己実現のための複業」
・「これからの働き方」

のような、「自己実現系」が多い。

生きていく上でお金はとても大事だし、将来の方向性やキャリアを考えたとき、自己実現に意識を向けておくことは大切だ。

だけど、実際に経験している立場から言わせていただくと、これらの情報の一部は同意しないわけではないが、私は普段、そのようなことは考えていないし、複業で得たものは、そのようなものではないのである。

複業しながら考えている9割は「目先の仕事」

私は普段、仕事をしている中で、考えていることの9割は「目先の仕事」である。「お金」や「自己実現」のことを考えている時間はほとんどない。

私の本業はNPOの運営だ。「次のイベントどうしよう?」「研修のスライド作らなきゃ」「あっ、個人相談(コーチング)の時間だ」と、日々「目先の仕事」のことを考えている。

複業のサイボウズでは、ブランディングと、昨年立ち上がったチームワークを広める事業の広報やコンテンツの研究開発を担当している。こちらも、「次のサイボウズ式の企画、何にしようかな?」「チームワーク総研の認知を広げるためには何が必要だろう?」「記事書かなきゃ」など、そのほとんどが、「目先の仕事」である。

残りの1割は、「未来の仕事」である。

「働く人々が、自分らしく働けるようになるためには、どうすればいいのだろう?」「地方の企業で、都市部の人が複業できたら、人材不足を解決できるのではないか」「それを実現するためには、どうすればいいのだろう?」

「未来の仕事」は、「自己実現」のことと言ってもいいだろう。

9割の「目先の仕事」と、1割の「未来の仕事」の間で、時々「未来の仕事を、目先の仕事に織り込めないかな」と考えている。

複業で得られたのは「特別なこと」ではなかった

次に、複業で得られたことを見てみよう。「お金」や「自己実現」といった内容がないわけではないが、「今、ここ」で得ていることのほとんどは、「お金を儲ける」とか、「夢を叶える」「やりたいことをやる」といったことではない。

複業で得ているのは、次のようなことである。

・組織に所属すること得られる「安心感」や「信用」
・複業前には考えられなかった「人とのつながり」
・複業以外の時間で、本業にチャレンジできる「両立感」
・これまでの経験を、サイボウズのために活かせている「喜び」
・一人では決してできない、チームで仕事をする「醍醐味」
・ある程度の固定給があり、お金のことを気にしなくてもいい「安定感」
・都市部と地方の二拠点で仕事をする「刺激」や「機会」

「複業ならでは」なものも2~3ある。だが、それ以外は、「本業だけ」の働き方でも得られるものも多い

「楽して儲ける」系情報への不安

このように、「世間に流布されている情報」と、「実際に体験していること」には、大きなギャップがあるのだ。

この現状に、私は不安を覚えるときがある。

それは、「将来、複業したい」と考えている人が、実際と異なる情報に、惑わされたり、騙されたり、過度な期待を抱いたりしてしまうのではないか......という不安である。

「ネットビジネス10分の作業で50万GET」といった「楽して儲ける」系の話は、今までもないわけではなかった。それらは今まで、起業を目指すような人に向けられており、一般の人が目にすることは、それほどなかったと言ってよい。

だが、副業解禁の流れで、これらの情報が一般のほうにも一気に流れてきているように思う。

複業研究家の西村創一朗氏によれば、昨年からの副業ブームで、「副業詐欺」にダマサれる人が後を絶たないという。次のように警告する。

「ラクして稼ぎたい!」という人間の心理につけ込んで、「1日たったの5分で30万円の副収入をGET!」みたいな、冷静に考えて「そんなうまい話あるわけないでしょ...」という話にダマサれて、変な情報商材を買わされたり、友人を失ってしまうようなネットワークビジネスに巻き込まれたり、といった「副業詐欺」の被害者が続出しているからです。

複業の情報で気をつけたいこと

本業では、私も一人の経営者だが、これまでの経験では、お金を稼ぐのはそれほど容易ではなかった。そもそも、もし10分で50万円稼げるなら、私は複業などせずにそれを本業にする。すごい!1ヶ月でいくら稼げるんだ?

稼ぐこと自体は、何ら悪いことではないし、突き詰めて、突き詰めて、10分で50万円稼げるビジネスを作るのなら、それはすばらしいことだ。

でも、誰もが「楽して儲ける」ことができるビジネスは、みんながマネするからすぐに価値が無くなり、稼げなくなる。だから、私はやらない。「楽して儲ける」系の情報は、くれぐれもご注意を。

また、複業への「過度な期待」も気をつけたい。

実際に複業してみて、改めて思うのだが、複業をはじめたときは確かに、「これからの働き方」だと思ったし、ワクワクするような気持ちが全くなかった......と言ったらウソになる。でも、仕事として現場に入ったとき、そこにあったのは「新しい」「特別な」ものではなく、むしろ「目先の仕事」だったよ。

もちろん、前出のように、複業にはさまざまなメリットもあるから、期待を抱くのは悪いことではない。だが、「複業すればハッピー」なのではなく、複業は働き方の、一つの「手段」にすぎない。

もし、複業の情報に触れるなら、実際にやっている人か、信頼できる出どころの情報にふれるようにしたい。

イラスト:マツナガエイコ



サイボウズ式」は、サイボウズ株式会社が運営する「新しい価値を生み出すチーム」のための、コラボレーションとITの情報サイトです。本記事は、2018年10月3日のサイボウズ式掲載記事副業10分で50万円? ネット情報の多くは複業の実体験と違いすぎてモヤモヤするより転載しました。