サイボウズ式:効率的な議事録作成でチームを加速させよう

さて、新入社員がまず任されがちなのが「議事録作成」。わたしも新人だった頃に任されて四苦八苦しましたが、今となっては大好きな作業です。

【サイボウズ式編集部より】この「ブロガーズ・コラム」は、著名ブロガーをサイボウズの外部から招いて、チームワークに関するコラムを執筆いただいています。今回ははせおやさいさんが考える「チームの力を向上させる議事録の作成」について。

こんにちは、はせおやさいです。

さて、新入社員がまず任されがちなのが「議事録作成」。

わたしも新人だった頃に任されて四苦八苦しましたが、今となっては大好きな作業です。なぜかというと、議事録をうまく作れるようになることで、会議の進行をスムーズにし、チームの仕事のスピードを加速させることができるから。

ということで、今回は「議事録」について書いてみようと思います。

議事録って、なんで必要なの?

そもそもですが、人間とは、忘れる生き物です。「俺はそんなことない、記憶力はいいほうだし、重要なことを忘れるわけがない」と思うかもしれませんが、他の人もそうとは限りません。

「自分が覚えていても、相手が忘れている可能性がある」この問題を解決するには、議事録がベターアンサーかと思います。そしてこれは、会議への参加者が多ければ多いほど機能します。参加者それぞれが覚えているパートが異なったりした場合に、議事録がないまま話を進めるとちぐはぐになり、「あのときはこう言っていた」「そんなこと言っていない」の水掛け論になってしまいがち。なぜならば、みんな自分の記憶が正しい、と思ってしまうから。

そのためにも、「議事録」という共通のフォーマットでフェアに記録を残しましょう。

そしてこのフォーマットの優秀なところは、その場にいなかった参加者へも情報を共有しやすく、いちいち「あのときの会議ってどうだったの、何が決まって、どうするの」と聞かれて説明する手間が省けるというところ。特に今なら、オンラインドキュメントで作成し聞かれた瞬間にURLをシェアすれば、説明の時間をかなり削減できるのではないでしょうか。

もちろん、議事録をドキュメントとして残しておいたとしても、それを読まずに口頭で説明を求めてくる人もいます。それでも、口頭で説明した内容の補足資料として存在させておくのは、とても有意義です。この場合も同様に、「あのときそんなこと言ってたっけ?」と難癖つけられた際に、「議事録も共有してあるので」と反論しやすくなるため、自分を守る武器としてぜひ活用すべきツールかと思います。

議事録は「必要項目」を埋めるものと考えよう

公的な資料として談話を記述するものもありますが、今回は「一般的な民間企業で行われる会議の議事録」と定義して話を進めます。この場合、基本的に会議とは「何らかの議題があり」「それについての意見交換・議論が行われ」「議題についての結論を導き出す場」と定義しますが、上記の項目を踏まえて、「議事録に記録されるべき内容」を箇条書きのフォーマットにしてしまいましょう。

一例として、以下を挙げます。

1.会議はいつ/どこで/誰が参加したのか

2.話し合われた議題はなにか

3.議題について挙がった意見や疑問はなにか

4.それらについての結論はなにか

5.各結論に紐付くスケジュール

あたりでしょうか。

まず、1.誰がいつどこで参加したか。これはそのままですね。「2015年4月21日(火)13時~15時@○○社 参加者:Aさん、Bさん、Cさん」という感じで、冒頭に入れておきましょう。日付がないと後々振り返ったときの管理が煩雑になりますし、誰が参加していたかを明記しておくことで「あのとき俺はいなかったから知らない」という勘違いを防ぐことができます。

そして2、いわゆる「アジェンダ」と言われるものですが、逆にこれは議事録前に決まっていなければいけないものなので、あらかじめ記載しておくことも可能な項目です。むしろ、議題というのは会議招集者が事前に共有しておくべきものなので、もし議事録作成を任命されたとして、直前になっても議題の共有がされなかった場合、招集者に「この会議の議題は何ですか?」と自分から聞いてみてください。会議の質も上がりますし、議事録作成が楽になります。

3と4については業務に慣れるまではかなりハードかもしれませんが、議題を把握し意識しておくことで大きく外す可能性を抑えることができるようになります。その意見がポジティブなのか、ネガティブなのか。議論を収束させて結論を導くものなのか、意見を拡散させ可能性を広げるものなのか、の違いを意識しておくと良いかもしれません。話者の様子をよく観察し、述べている意見の意図を推測する訓練として、最高のチャンスです。

そして5、議論で疲れてしまいここが抜けてしまうことも多いですが、気を抜かずに記載しましょう。おそらく3と4が議論される過程で「じゃあこれはこうしようか」という結論が出るはずなので、それを「誰が」「いつまでに」「どのような形で」担当するのか、を必ず控えましょう。これがない議事録は、最終的にまったく意味を成さない「日記」となってしまいます。例えば、

「会議のムダを省こう」(議題)

「そのためには議事録を作成し、全員で情報を同期しよう」(結論)

「それは参加者のうち、××さんに作成担当をお願いすることにしよう」(誰がやるか)

「では会議終了後3日以内に、メールで、各参加者あてCc:で送信することで決着」(いつまでに、どのような形でやるか)

という感じになるかと思います。こうすることで、「結局あれって誰がどうするんだっけ?」「頼まれたあれってどうしたらいいんだっけ?」がなくなり、決められたことの進捗確認にのみタスクを振ればいいので、かなりの手間が省けます。

議事録の形式については、おそらくそれぞれのやり方があるかと思いますが、個人的には「オンラインドキュメントでシェアする」が現時点ベストかと思います。オンラインでドキュメントをシェアする方法はいろいろあると思いますので、より手間がかからないもの、好みのものをチョイスすればよろしいかと。

議事録がうまく作れると仕事が楽しくなる

今まで経験した中でベストかと思われる議事録作成は、全員が見える場所にプロジェクタでドキュメントの編集画面を投射し、全員でそれを見ながら議論をする、というやり方でした。会議をしながら、全員の意見を反映して議事録を作成するイメージです。

こうすることで、参加者全員が「この会議は議題についての結論を出し、それを実行に移すための話し合いを持つ場所」という認識合わせが出来、さらに目の前でドキュメントが編集されていくので、「そんなこと言ってない」「聞いてない」ができないため緊張感と責任感が生まれたのではないかと思います。全員で同じドキュメントを見ながら話ましょう、という建前のもと、個人のノートPCを閉じてもらったのもポイントだったのかもしれません。

おすすめしたいのは、「議事録リサイクル」です。

週に何本も定例会議があったときに編み出したのですが、その日の議事録を書き終えた時点で、同時に次の会議の議題を作成してしまう、というもの。なぜかというと、議事録が仕上がれば、その日に決まらなかったこと、次また話し合うべきことが明確になるので、それをそのまま次回の議題として使いまわせるんですね。

そして前述の項目、1~5をコピペできるフォーマットとして持っておき、会議が始まったらその空欄を埋めていけば自動で同じ形式の議事録ができるようにしてしまうのです。こうすることで、議事録をとりつつ同時並行で議論にも参加できるようになり、さらに議事録をとっていることで自分の頭の中で未決の議題を常に意識できるようになるので、議論の抜け漏れを防げるようになりました。

このことからも、「議事録を残す」というのはあくまで作業であり、仕事ではありません。「議事録」は資料であり、充実した議論を行うためのもの、また、その後の仕事の精度をあげるためのツールです。そして議事録作成のスピードと精度を上げることで、あなた自身の仕事の精度も上げることができ、本質的な仕事に割く時間を増やすことができます。

今回書いた内容は、単なるテクニックですが、テクニックを覚えることで本質的な仕事を充実させ、チームのスピードを加速させることができます。そのためにも様々な工夫をして、ぜひ、あなただけの議事録作成テクニックを編み出してほしいと思います。

今日はそんな感じです。

チャオ!

イラスト:マツナガエイコ

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本記事は、2015年4月21日のサイボウズ式掲載記事効率的な議事録作成でチームを加速させようより一部編集して転載しました。

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