仏紙「ル・モンド」、Snapchatで偽ニュース対策を指南:大統領選を前に注目高まる

ル・モンド、ジャン=ギヨーム・サンティ氏「疑わしい情報に出くわした場合の反射神経がよくなるようにオーディエンスを教育するのだ」

フランスの国政選挙が迫り、日刊紙「ル・モンド(Le Monde)」はフェイクニュース対策にSnapchat(スナップチャット)の「ディスカバー(Discover)」を活用している。

ル・モンドには13名からなる事実確認チーム「デコドゥール(Les Dcodeurs)」があり、自社資産、Facebook、およびTwitterにおいて、記事とWebサイトの両面で嘘の断固とした暴露に取り組んでいる。これに対し、Snapchatでのアプローチはより啓蒙的だ。ル・モンドのディスカバーチームが解説者となり、フェイクニュースにdダマされない方法を案内している。

「フェイクニュース記事は大量にあるので、それをひとつひとつ指摘しようというものではない。そうではなく、疑わしい情報に出くわした場合の反射神経がよくなるようにオーディエンスを教育するのだ」と語ったのは、ル・モンドでSnapchatのディスカバーの編集者を務めるジャン=ギヨーム・サンティ氏だ。

「対話をしていきたい」

間違ったニュースの見つけ方や、画像の信頼性を検証するのに使えるツールを若者たちに教えることに特化した投稿もある

ル・モンドは半年前からディスカバーでの公開を行っており、これまでに約200本を投稿している。Snapchatディスカバーのチームは7名からなり、週に7日、毎日1本、新しいエディションを作っている。投稿の中身は、12のスナップでひとつの話題を伝えるものもあれば、さまざまな情報を伝えるスナップを取り混ぜたものもある。

あるいは、たまたま見つけた画像が信頼できるものなのかそれとも捏造なのかをチェックする方法を説明し、そのために使えるツールを提案するスナップばかりをまとめたものもある。

サンティ氏は、Snapchatのオーディエンスの規模については、Snapchatとの取り決めを理由に明かさなかったが、読者からはSnapchat経由で頻繁に質問が寄せられていると語った。「トランプ氏が選出された際は、さまざまな共謀説についてたくさんの問い合わせがあり、確かな事実や記事について本当なのかを尋ねる質問もあった」と同氏。

ディスカバーチームは多くの場合、メインとなる質問を選び、その投稿者の名前を添えて、ル・モンドによる回答をひとつの投稿にまとめる。「回答がわかりきったものならチャットルームで直接回答する。対話をしていきたいのだ」と、サンティ氏は言う。

政治への注目が高まっている

WhatsApp(ワッツアップ)のメッセージのようなデザインのスナップ

WhatsAppのメッセージのようなデザインのスナップがある。選挙の候補者の発言が間違っている場合には、このメッセージ形式で説明する。たとえば、国民戦線の党首であるマリーヌ・ル・ペン氏はフランスに700万人の失業者がいると主張したことがある。これに対し、ル・モンドが「間違っている」と返信し、実際の数字(350万人近く)を説明した。ほかには、監獄の閉鎖に関するエマニュエル・マクロン候補の発言が間違いである理由について、WhatsAppデザインのスナップで詳しく説明している。

Snapchatのディスカバーのコンテンツは、いわゆるカーダシアン一家の領域(セレブゴシップ)へと向かうことが多い。しかし、ル・モンドでは、ディスカバー上の政治コンテンツのパフォーマンスが数カ月前より高まり始めており、サンティ氏はこれを、選挙が近づいてきているためだとしている。

選挙キャンペーンに関する情報は、楽しめるインフォグラフィックやクイズにして、候補者や候補者の提案の違いを読者が理解しやすいようにしていく。また、「世俗主義」のような政治用語を取り上げるスナップも作成するという。

ほかに、議論の条件を提示し、意見を動画スナップで送るようSnapchatユーザーに求める形式もうまく行っている。意見はル・モンドがまとめて数日後に公開している。

Jessica Davies (原文 / 訳:ガリレオ)

(2017年4月21日「DIGIDAY[日本版]」」より転載)

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