「Vogue」ブラジル版、パラリンピック広告に非難轟々:セレブの手足をフォトショで消去

女性ファッション誌「Vogue」のブラジル版は8月24日、パラリンピック関するキャンペーンを発表。だが、これが「判断力を疑う」と、炎上騒ぎになっている。

女性ファッション誌「Vogue」のブラジル版は8月24日、パラリンピックに関するキャンペーンを発表。だが、これが「判断力を疑う」と、炎上騒ぎになっている。

「Vogue」ブラジルは、9月に開幕するリオパラリンピックのキャンペーン「私たち全員、パラリンピアン(We Are All Paralympians)」向けに、2人のメロドラマ俳優、クレオ・ピレス氏とパウロ・ビレーナ氏を起用した。大会への注目を集めることが目的だったが、この画像がバイラルに拡散したのは、別の理由だった。

問題は、パラリンピアンでもないモデル(健常者)に、手足を欠損したような画像加工を施してあったことにある。

ピレス氏は右腕をフォトショップで消され、ビレーナ氏は義足を装着して写真に納まっていた。以下が当該のインスタグラム画像だ。

「Vogue」ブラジルがこの画像をインスタグラムに投稿するやいなや、インターネット上には不快感を表明する意見が相次いだ。

「キャンペーンは歓迎だけど、なんで出場選手を呼ばないんだ?」と、Twitterユーザーの「@setebiz」は以下で述べている(※ポルトガル語)。

右腕を消された画像で問題になったピレス氏は、このキャンペーンについて、ブラジルパラリンピック委員会メンバーである卓球チャンピオン、ブルーナ・アレクサンドル氏に敬意を表してのものだと、(両手でキーボードを打ちながら)釈明した。

「Vogue」ブラジルのアートディレクター、クレイトン・カルネイロ氏の説明によれば、俳優2人の手足が欠損したようにフォトショップ加工するアイデアはピレス氏が出したという。誰でも知っている有名人を新たな姿で見ることの衝撃によって、大きなインパクトを与えられると考えたと、カルネイロ氏は言う。

ピレス氏は「Vogue」ブラジルサイトで次のように述べた。「この画像は人々に衝撃を与えるだろうことはわかっていた。だが、我々のキャンペーンにはちゃんとした目的があった。はっきり言って、パラリンピックの観戦チケットはほとんど売れていないのだ」。

彼らの善意とは裏腹に、この写真は意図しない別の感情に火をつけた。

公開翌日までに、「Vogue」ブラジルに関する英語のデジタルコンテンツは、週の前半と比べてトラフィックが470%増加。モバイルアドテク企業アモビーのブランドインテリジェンス分析(Amobee Brand Intelligence)によれば、この広告に言及した英語のエンゲージメントは、すべて「Vogue」ブラジルに対して否定的なものだった。

「大失態だ」と述べるのは、エージェンシーのキャロット・クリエイティブ(Carrot Creative)でエンゲージメント・ディレクターを務めるアンジー・エンガー氏だ。「『Vogue』は、最先端の良いものを表現すべきブランドだ。多様性の美を表現するなら、モデルではなく本物のアスリートを起用するべきだった」。

エージェンシーであるミルム(Mirum)のクリエイティブデザインディレクター、ユーニー・クウォン氏も、このキャンペーン方針は的外れだと考えている。

「アイデアの根本からして、パラリンピックの意義と精神に反している」と、同氏は指摘する。「このキャンペーンからは、大会の理念と美徳が失われている。選手自身の顔を写さないのは冒涜だ」。

多くの人々がこれに賛同した。

これはクールじゃない。「Vogueのキャンペーン、パラリンピック選手の代わりに健常者のモデルを起用」

これはひどい! #アクセシビリティ #パラリンピック #リオ2016 @voguemagazine のフォトショップ失敗、ブラックフェイス(※訳注:非黒人が顔を黒塗りにして黒人役を演じること)並みのヒドさだ!

問題のパラリンピック・プロモーションに関する続報によれば、彼らはパラリンピック出場選手を撮影スタジオに呼んで「インスピレーション」をもらっておきながら、キャンペーンにはモデルの画像だけを使ったそうだ。

「いい加減にしてよ、Vogueとクレオ・ピレス。フォトショップで手足を失くすだけなんてラクなものだわ... 失格!」

Yuyu Chen(原文 / 訳:ガリレオ)

(「DIGIDAY[日本版]」より転載」)

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