NEXTセルフィー!? 「シストグラム」主宰・筑城 俊さんインタビュー

以前「イザワの目」(2014年3月13日発行)でもご紹介した、「セルフィー」=「自撮り」。今や全世界的に流行しており、街中で外国人旅行客が「セルカ棒」を使ってセルフィーをしているのを見かけたことがある人も多いかと思います。

以前「イザワの目」(2014年3月13日発行)でもご紹介した、「セルフィー」=「自撮り」。今や全世界的に流行しており、街中で外国人旅行客が「セルカ棒」を使ってセルフィーをしているのを見かけたことがある人も多いかと思います。

こうしたセルフィー人気のなか、ネクストセルフィーとして注目されているのが、「シストグラム」というWEBサービス。シュールな表情とポーズをした女性を"標識"に見立てた画像が話題を呼んでいます。「自分を撮る」ことの新しいスタイルを考え出した、筑城俊(ついきしゅん)さんにインタビューをしました。

★What's シストグラム?

シストグラム』とは、女性を呼称する「シスター」と、非常口のマークでおなじみの視覚記号「ピクトグラム」を掛けあわせた造語であり、"美しき女性による標識"という意味をもつ企画。2012年12月に主宰の筑城俊さんが考案し、サービスをスタート。

各種メディアにおいてネクストセルフィーとして紹介され、その無機質な表情・特異なポージングによる"奇想天外なオリジナル標識"が注目されている。

ポイントは無気質

‐ネクストセルフィーとして注目されているシストグラムですが、スタートしたきっかけは何ですか?

最初のきっかけはすごく簡単で。まずは撮影させてもらえる女の子がいたので、その子たちを使って何か面白いことができないか、と考えたのが始まりでした。でも可愛い女の子たちがかわいく写っている企画って、「美女暦」とか「美人時計」をはじめとして、世の中にたくさんあるじゃないですか。それはそれで良い企画だと思うのですが、そういうのとはちょっと違った何かができないかな、と考えていたんです。

そんな時に、いつもかわいい顔・キメ顔をしている女の子たちが"無機質"なトーンで標識のように立っていたら...と思いついたんです。まさに有機物の中にある無機質な自分を、あくまでポーズと言葉で表現してもらったのが、このシストグラムです。

‐確かにシストグラムを拝見すると、女性たちはみんな無表情なんですね

そうなんです。あくまで無表情でポーズをとってもらうことで、その人の中に眠っている内面や感情について、受け取る側の人が「考える」ようになるんですよね。

最近はファッションやネイルなども含め、セルフィーが大量にあふれているので、ひとつひとつの写真をじっくり考えて見ることってほぼ無いと思うんですが、シストグラムはあくまで無表情・無機質さを貫いたものなので、何を表現しているんだろう?と、写真に対して考えて接するようになると思うんです。

‐筑城さんが考えるシストグラムのポイントはどこですか?

ポイントは、無機質な顔にちょっと変わったポーズと、それを補う一言ですね。実はポーズはすべて、1日がかりで鏡の前で僕が考えているんです(笑)。標識っぽいものからちょっと笑えるものまで、いろいろと考えますよ。

最近ではホームページに掲載しているものだけでも50~60個くらいシストグラムができてきていて、一般の方からも応募がくるんです。こうやって徐々にシストグラムを楽しんでいただける方が増えてくるといいな、と考えています。

ワードセンスで表現力UP

‐どういう人にシストグラムにトライしてほしいですか?

そうですね...、恋人同士で送りあっても面白いかもしれませんね。何を考えているのかわからない表情とポーズで「私の気持ちを受け取ってね」という感じ。そうすればお互いにお互いのことを考えますよね。単に送りあうだけでなく、見た人がその人のことをじっくり考えるのがシストグラムの良いところかと思います。

またシストグラムは、写真に言葉を添えるという、自分なりのワードセンスを披露するのもポイントなので、あえてポージングからは想像できないような違和感のある一言を添えることで、受け取り手が「何だろう?」と思うような一枚を表現してもらいたいですね。

‐シストグラムの今後の展望を教えてください

今後はシストグラムのポーズや無機質なトーンをイメージした商材などとコラボしていけたらいいなと思います。プラモデルやスポーツジムとか。あとはOTC薬とコラボして、頭痛薬や腹痛薬のポーズなどをやってみても面白いかなと考えています。

また、今はあくまでホームページ上での展開のみになっているんですが、閲覧している人との接点の場を設けられたらなとも考えています。実際にシストグラムをやっている人が立っているお店とか。でも実はあのポーズのままずっとキープするのって、意外とキツいんですけどね(笑)。

"内面"セルフィーに注目

‐今後セルフィーはどのようなものになっていくと思いますか?

そうですね・・・もっと自己主張ができるものになっていくのではないかと思います。最近はセルフィー関連のグッズなんかもたくさん出てきているみたいですが、今のセルフィーってみんな同じポーズ、かわいく・きれいに、というのが多いですよね。シストグラムのように、心の中を表しているものはまだまだ少ないのかなと。

今後は自分が今考えていること、伝えたいことを写真に残す、いわゆる『内面セルフィー』がもっとたくさん出てくるのではないかな、と思っています。また、個人のクリエイティビティがもっと外側に表れるようなセルフィーが出てくると思うので、シストグラムのような画づくり+言葉の表現などでセンスを競い合うことによって、よりセルフィーの質を高めあってほしいなと思います。

■筑城俊(ついきしゅん)さん プロフィール

コピーライティングスタジオ ℃ress [ ドレス ] 代表兼シストグラムのプロデュース、クリエイティブディレクション、コピーライティング、デザインを担当。

前職が美容師という異色の経歴にて培われた美的センスを生かしてデザインを手掛けるほか、趣味の大喜利で磨きをかけたコピーセンスにも定評がある。

(原稿:ハセガワ、ノッシー、ショージ)

(2014年12月11日「週刊?!イザワの目」より転載)