PRってタダじゃないんです。

決してパブリシティがタダ=ノーコストでできるわけではありません。実際には、パブリシティには、さまざまなコストがかかります。

いつの頃からかPRもブームで、広告クリエイティブの世界的な賞にPR部門が創設されたり、PR専門の雑誌ができたり、いろいろなところでPRの2文字を見る機会も増えました。

が、知ってる人も多くなったぶん、誤解する人も増えてしまったかもしれません。

その中でも最大の誤解が、「PRはタダでできる」という考え方。

確かに、書店などに行き、PRに関する本を探すとこのようなタイトルの本に多く出会うかもしれません。

が、これは大きな間違い。

PRは決してタダではできないんです。

じゃあ、なんでそういった本には「PRはタダでできる」などと書いてあるのでしょうか。

それは、PRの代表的な活動であるパブリシティと、宣伝の代表的な活動である広告を比較すると、パブリシティのほうに「媒体費=告知するためのスペースを買うお金」がかかっていないからなのです。

決してパブリシティがタダ=ノーコストでできるわけではありません。

実際には、パブリシティには、さまざまなコストがかかります。

広告のように、媒体費を使って告知するためのスペースを買うことをしない分、スペースを確保するための企画立案や交渉を行わねばなりません。広告のようにあらかじめ決められた表現がそのまま世の中に出ていくわけではありませんので、出た結果に関する分析を行う必要もあります。

パブリシティでは、広告では発生しない、これらの活動にコストを投下していく必要があります。

中でも近年、特にコストがかけられるのが、「情報流通構造設計」でしょうか。

インターネットが普及し、掲載面が事実上無限になり、オウンドメディアという考え方が一般的になった現在、パブリシティ活動において、かつてほど掲載面の確保に苦心する必要はなくなったかもしれません(もっとも、これは比較の問題で、パブリシティの掲載獲得にかかる労力がゼロになったわけではありませんが)。

その半面、パブリシティにおける大きな課題として浮かび上がってきたのが、企業が発信する情報を受け取ってもらうための仕組みの設計です。

情報の絶対量が増えたことによって、「受け取られない情報」の量も飛躍的に増加しています。その中で、情報をしかるべき人々に効率的に受け取ってもらうための接点の設計と、受け取られやすい情報の内容の設計が、パブリシティには不可欠になりました。

「○×新聞に掲載されました!」「△□という雑誌で取り上げられました!」で、パブリシティが完結する時代ではなくなったのです。

現代のPRでは、情報流通構造設計、すなわち、情報と人々との接点の設計と、より受け取ってもらいやすいコンテンツ作りの2点に大きなコストをかけることが当たり前になっています。

決してタダでできることじゃないんですよ。

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