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2015年04月09日 16時31分 JST | 更新 2015年06月08日 18時12分 JST

広報・PRパーソンが4月に取り組みたい3つの仕事

4月に入り、新たに広報マネジャーに就任した人も少なくないだろう。実のある実務と効率的なマネジメントのために、期初に取り組みたい仕事を3つのポイントで紹介する。

4月に入り、新たに広報マネジャーに就任した人も少なくないだろう。生粋の広報部育ちであっても、畑違いからの着任であっても、新任・広報マネジャーとなれば、新たな気持ちでスタートを切りたいところ。より実のある実務と効率の良いマネジメントのために、期初に取り組みたい広報・PRの仕事を3つのポイントで整理、特集します。

<期初に取り組みたい、広報マネジャーの3つの仕事>

①自社の広報の強みと弱みを把握しよう

②経営とリンク、社会とリンクさせた広報戦略・計画を策定しよう

③ソーシャルメディア時代に合わせた危機管理体制を見直そう

強みと弱みを把握

広報部の仕事といえば、マスメディアの取材を受けること、仕掛けること。そう思っていたら、広報マネジャーは務まらない。マスメディアはあくまで企業のステークホルダーのひとつであって、インフルエンサーやブロガーとのリレーション構築や、そのためのコンテンツづくりはもちろんのこと、消費者や株主、地域社会、行政など、企業が向き合っているすべてのステークホルダー(パブリック)と、よい関係(リレーション)をつくることこそが、広報の仕事なのだ。

といっても、すべてのステークホルダーに全精力をつぎこむことは現実的ではない。広報マネジャーならば、まず、自社の広報の強みと弱みを把握し、注力すべき業務領域の優先順位をつけたいところだ。もちろん、昨年の活動レビューは、重要な判断材料になるが、それだけで広報業務を俯瞰的かつ客観的にチェックすることは難しい。そこで、オススメできそうなのが「企業広報戦略研究所」の開発した「広報オクトパスモデル」という指標(下図参照)。自社の広報活動を8つの軸で分析することができ、業界平均値などと比較することができる。こういった外部指標などもうまく活用して、まずは自社の広報活動を棚卸しし、今年度の広報活動指針を決めたいところだ。

(図)「広報オクトパスモデル」によって導かれる、広報活動に必要な8つの広報力

活動指針の策定は、自社の広報活動の強みを伸ばし、弱みを補完することに他ならないが、前出の「企業広報戦略研究所」の三浦健太郎所長によると、期初に積極的に取り組んだほうがいいポイントは大きく2つ挙げられるという。1つは、経営戦略とリンクさせた広報戦略を構築し、社会の動きとリンクさせた広報計画を策定すること。2つ目は、今のソーシャルメディア拡大期に合わせて危機管理体制を見直すことだ。

経営とリンク、社会とリンク

期初ともなれば、新しい経営戦略が発表されるタイミング。場合によっては経営陣が刷新されることもあるだろう。経営と広報は一体化しているべきなので、広報マネジャーは「経営トップと膝づめで話し、トップの考え方、方針、年間の経営戦略などを把握した上で、年間の広報戦略を立てるべき」と三浦所長。また、実行には他部署との連携強化・協力体制の構築、加えてトップや社内のスポークスパーソンのキャラクターを把握しておくことも欠かせない、という。

さらに、立てた広報戦略を細かい年間計画に落とし込む際は、安倍晋三首相の訪米・日米首脳会談(4月末)、ミラノ万博(5月~)、地方創生の基本方針策定(6月)といったことが予定されているように、今後起こりうる社会の動きを把握・予測して、策定に取りかかりたい。あらかじめ社会の動きを把握・予測しておけば、関連付けてPRストーリーを構築したり、必要なファクトを事前に揃えることができる。すると、情報戦で優位な環境をつくれるので良好なリレーションを生みやすく、攻めの広報が可能になるのだ。8つの広報力のうち、日本企業は特に「戦略構築力」「情報創造力」「関係構築力」「危機管理力」の4つが弱いことが明らかになっていると話す三浦所長。経営戦略とリンクさせた広報戦略を構築し、社会の動きとリンクさせた広報計画を策定することで、「戦略構築力」「情報創造力」「関係構築力」の3つの力の基盤強化につながるという。

SNS時代の危機管理

日本企業の広報力の4つの弱みのうち、「危機管理力」の強化は後回しになりがちだが、広報マネジャーとしては期初に優先的に見直したい課題だと三浦所長。かつて、リスク発生時に最も社会への影響力があったのはマスメディアによる報道だったので、広報部は企業へのダメージを最小限にすべく、マスメディアへの対応を最優先に考えればよかったが、今はそれだけでは企業ダメージを防げない。消費者の間でソーシャルメディアが浸透した今、ソーシャルメディアを通した消費者自身による告発が最も早く、そしてインパクトの大きい情報伝達手段になっているため、これまでのテレビや新聞だけを対象とした危機管理広報では対処しきれないのだ。リスクは、どんな企業にも起こりうる上、消費者ひとりひとりがメディアを持った今、リスク発生の可能性は以前と比較して格段に高まっている。したがって、危機管理体制や発生時の対応手順は環境変化に合わせて見直し、期初のうちにリスクトレーニングなどの計画を立てておきたい。

メディア環境の激変により、消費者を代表とするステークホルダーの多くは今や、情報の「受け手」にとどまらず、情報の「発信者」にもなった。これに伴い、ステークホルダーの価値観や行動形態は一層多様化し、複雑化した。企業がそれらのステークホルダーと良い関係を構築し、最終的に好業績を挙げるためには、もはや広報部なくしては、成し得ないのだ。広報部は企業経営の「要」となる部門。「良い経営環境」をつくるために、この春、新しい広報活動の一歩を踏み出してみよう。

(取材・文:イザワ)

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■三浦健太郎プロフィール

企業広報戦略研究所所長。1981年入社。国内外の企業(特にIT系)に対し、コーポレートPRからマーケティングPRまでを多数経験。

【参考図書】自社の広報力をセルフ診断できる!

書籍『戦略思考の広報マネジメント~業績向上につながる"8つの広報力"の磨き方~』 が4月6日(月)に全国主要書店で一斉に発売(発売元:日経BPマーケティング)。

企業広報戦略研究所とは

企業広報戦略研究所(Corporate communication Strategic studies Institute : 略称C.S.I.)とは、企業経営や広報の専門家(大学教授・研究者など)と連携して、企業の広報戦略・体制等について調査・分析・研究を行う電通パブリックリレーションズ内の研究組織(2013年12月設立)。

(2015年4月9日「週刊?!イザワの目」より転載)