コンテンツマーケティングの正体とは?/『WOMマーケティングサミット2014』レポート

少し前の話になりますが、7月11日(金)、東京・青山にあるスパイラルホールで開催された『WOMマーケティングサミット2014』を取材しました。同イベントを主催するWOMマーケティング協議会(The Word of Mouth Japan Marketing Association)は、「注目を集めながらいまだ市場として確立しておらず、業界内の情報共有の場に乏しいという日本のWOMマーケティングの現状認識」をコンセプトとし、WOMマーケティング業界の健全なる育成と啓発を目的として2009年に発足。

少し前の話になりますが、7月11日(金)、東京・青山にあるスパイラルホールで開催された『WOMマーケティングサミット2014』を取材しました。

同イベントを主催するWOMマーケティング協議会(The Word of Mouth Japan Marketing Association)は、「注目を集めながらいまだ市場として確立しておらず、業界内の情報共有の場に乏しいという日本のWOMマーケティングの現状認識」をコンセプトとし、WOMマーケティング業界の健全なる育成と啓発を目的として2009年に発足。

翌2010年にスタートした『WOMマーケティングサミット』は、今年で5回目の開催となりました。

1日を通して行われる多彩なプログラムの中で特に注目したのは、電通iPR局iクリエーティブ部部長の郡司晶子さん、電通iPR局ソーシャルリスニング部のコミュニケーション・デザイナーである坂本陽児さんによる、『コンテンツマーケティングの正体 ~キャンペーンでもなく。バイラル動画でもなく。~』と題されたスペシャルセッションです。

郡司さんのリードで始まったセッションは、「企業がマーケティングコミュニケーションにかけるお金の使い方に新しい場所があると考え、かつてそれを『第3の場所』と呼んでいた」と、コンテンツマーケティングがまだボヤけた存在であった時代を振り返ります。

従来はマスメディアを使った広告が主流で、その後はクーポンを配布したりサンプリングしたりと販促が増えてきましたが、ソーシャルメディアが登場したことによりここ数年は企業から世の中に情報を届けるだけでなく、届けた情報に反応がある、さらに届けた先で情報が回るという時代になってきました。

ソーシャルメディアを主な手段とする顧客と企業との温かい関係構築という、この『第3の場所』の存在を繙いていく中で、「コンテンツマーケティングというキーワードはまさに自分たちがやろうと思っていたものだった」と郡司さんは気付いたそうです。

ここでコミュニケーション・デザイナーの坂本さんがバトンを受け、メインテーマである「コンテンツマーケティングの正体とは何か」についてメスを入れていきます。

まず、よく言われる「コンテンツマーケティングでバズる動画を作ってよ」という言葉を例に挙げ、コンテンツとは動画だけを指すのではなく、また動画を使うからといってバズを目的としているとは限らないのだと、複数の企業コンテンツを用いてわかりやすく解説が行われました。

「顧客や潜在顧客が見たくなるような情報の集合体。それがコンテンツマーケティングにおける『コンテンツ』だと考えれば間違いない」と坂本さんはコメントしています。

コンテンツマーケティングの対象となるチャネルはフェイスブックを始めとしたSNSだけでなく、ブログやウェビナー、モバイルアプリケーション、マガジン、ウェブマガジンなど実に多彩。大切なのはターゲットにしっかり届くチャネルを見極めることなのです。

よく言われる次の例として挙げられた「コンテンツマーケティングで面白いキャンペーンをやりたい」に対しては、「コンテンツマーケティングは短期的に行われるキャンペーンではない」ことをアピール。

コンテンツマーケティングは具体的なコンテンツやチャネルひとつひとつを指すのではなく、またキャンペーンそのものを指しているわけでもありません。

適切なチャネルを使い、コンテンツやキャンペーンを継続的に発信することで自分たちが設定したゴールをいかに達成するかが大切なのです。

そこから逆算した『終わりのない取り組み』こそ、まさに『コンテンツマーケティングの正体』なのだと、坂本さんは分析しています。

では一体、ここで正体が明らかになったコンテンツマーケティングの実践によって何が得られるのでしょうか。再びマイクを手に取った郡司さんが、非常に興味深い話を始めます。

まずひとつ目は、コンテンツマーケティングは広く潜在顧客まで呼び込める可能性があることから『潜在顧客とのつながり』。

次に、コンテンツを蓄積することにより二度三度と世に触れる機会を『資産』と捉え、それを生み出すことができるという理由から『資産となるコンテンツ』。

最後は、コンテンツマーケティングはブランドをリーダー的なポジションへと導いてくれるという期待を込め、ずばり『リーダーポジションという未来』。役に立つ情報源として認知されるということは、裏を返せば常に発信する情報が注目される存在になるということ。その結果、業界のリーダーとして認知され、やがては業界を越えて社会のリーダーとして認知されるのだそうです。

コンテンツマーケティングとはコンテンツを継続的に発信し続けてビジネス目的につなげる終わりのない取り組み全体のことであり、また継続することによって潜在顧客とのつながりや資産となるコンテンツ、リーダーポジションという未来の獲得が期待できるものだということ。

その正体を知ってみれば意外なほどにシンプルで、奥の深いコンテンツマーケティングの世界です。今回の『WOMマーケティングサミット2014』で、一番のキーワードであったのがコンテンツマーケティング。この一年間でどのように実践され、新しい事例が生まれるのか、目が離せないですね。

[ 國枝 至 / DIGITAL BOARD ]

(2014年8月14日 DIGITAL BOARDより転載)

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