モバイルネットワークで制御し、「空の3次元地図」に沿ってどこまでも安全に自律飛行する。そんな「スマートドローン構想」をKDDIなど3社が発表しました。
KDDIは、産業用ドローンを手がけるプロドローン、および地図制作大手のゼンリンと業務提携。ドローンを使ったソリューションビジネスの展開を目指し、機体・3次元地図・運行管理・クラウドで構成される「スマートドローンプラットフォーム」の開発に取り組みます。またKDDIは今回の提携により、プロドローンが第三者割当増資により発行する株式を約3億円で取得しています。
携帯の通信でドローンを遠くに飛ばす
ドローンの危険性が騒がれていたのも今は昔。飛行ルールが整いはじめたことで、ドローンは宅配や医療などへ、活用の幅を着実に広げています。
一方、ドローンは制御にラジコン電波を使うことが一般的で、電波が届く距離などの制約から、飛行できるエリアが限られていました。また、人の目で常に監視する必要があるといい、広域のエリアにおけるドローンの効率的な運用には大きな課題があったといいます。
そこで登場したのが、携帯電話のモバイルネットワークで機体を制御する「スマートドローン」です。全国をカバーするKDDIの携帯通信基地局をフル活用することで、広いエリアで安定した通信や自律飛行が可能になるとのこと。
つまり、従来は難しかった遠隔地からのドローンの制御が可能になるわけです。
ドローンの遠隔制御には別の課題があった
モバイルネットワークを活用して、ドローンを遠くまで飛ばせるとはいっても、そこには新たな課題が生じます。それが安全性です。気象条件や建物、電線などの障害物、そして飛行禁止区域をうまく避ける必要があるためです。
このドローンの安全な遠隔飛行を実現するために、KDDIなど3社が開発を目指すのが「スマートドローンプラットフォーム」です。
このプラットフォームは「ドローン機体」「3次元地図」「運行管理」「クラウド」で構成されます。機体は4Gあるいは5Gのモバイルネットワークに繋がり、気象条件を考慮しつつ、障害物と衝突を回避しながら、安定した飛行を可能にすることをめざします。
スマートドローンプラットフォームは機体から3次元地図、運行管理、クラウドまでカバー
「空の3次元地図」活用、ドローンビジネスに本腰
具体的には、ゼンリンが開発する「空の3次元地図」を活用。これは地形・建物情報をベースに空域情報を3次元化したもので、機体を安全に誘導するための基盤になるとしています。
ドローンが安全に飛行できる最適ルートの設定が可能
また、複数のドローンを制御する運行管理システム、そして、ドローンが得たデータをクラウドに蓄積し、ビッグデータとして解析する仕組みもプラットフォームに組み込みます。
そこから得られた知見をもとにKDDIは、農業や測量、検査、災害、配送など、などのB2Bソリューションから、個人向けの撮影サービスといったB2B2Cサービスに至るまで、ドローンを使ったさまざまなソリューションビジネスに繋げたいとしています。
(2016年12月19日 Engadget日本版「どこまでも飛ぶドローン、実現へ──「空の3次元地図」で安全な自律飛行、KDDIら3社が提携」より転載)
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