白血病の赤ちゃん、世界初の試みで快方に向かう

英国にあるグレート・オーモント・ストリート小児科病院が、遺伝子操作した細胞を使った白血病治療方法を開発したと発表しました。

英国にあるグレート・オーモント・ストリート小児科病院が、遺伝子操作した細胞を使った白血病治療方法を開発したと発表しました。

現在、わずか1歳の白血病患者レイラ・リチャーズちゃんに臨床試験を施しており、順調な経過を見せています。 レイラちゃんは生後14週間で急性リンパ性白血病を発症、まだ1歳の現在までに抗がん剤の投与や骨髄移植を受けたものの、ことごとく再発してしまいました。

通常ならここであきらめ、終末期医療に切り替えるところですが、医師が2016年の開始に向け準備が進められていた遺伝子操作治療の臨床試験を受けることを提案しました。

方法は、健康なドナーの白血球とT細胞に遺伝子操作で白血病細胞を攻撃する性質をもたせ、患者に投与するというもの。これまでマウスを用いた実験では効果を発揮していたものの、人を対象とする臨床試験は世界初の試みです。

両親の了解を得た医師は、用意した約1ミリリットルの"対白血病武装細胞"をレイラちゃんの静脈へ点滴投与しました。数週間後、病院にはレイラちゃんの白血病細胞が減少していることを示すとする検査結果がありました。投与から2ヶ月が過ぎた現在、レイラちゃんは退院し、自宅に戻れるまでに回復しています。

医師はこの事例の発表で「先例がなかったので、我々はどのような結果が出るのか想像もつきませんでした。うまくいったとわかった時、我々は月の向こうまで飛んで行ったような気分を味わいました」とコメントしました。

とはいえ、実際のところまだ1回の投与が成功しただけです。医師は「繰り返し投与ができるか、効果が続くかといったことの確認が必要だ」としつつ、「極めて有効な治療方法になる可能性がある」と語りました。

ちなみに、遺伝子操作した"武装細胞"には2つの性質が備わっています。1つめは他の細胞を攻撃する白血病細胞から見えなくなること。2つめは白血病細胞だけを狙って攻撃すること。性質だけを見ると、まるで光学迷彩を駆使して人間を狩る『プレデター』のようです。

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