イタリアの仮想通貨取引所で、約211億円分の“Nano”が流出⇒取引所CEO「全額補償は不可能」

仮想通貨“Nano”全体の13%が行方不明になった計算。
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日本の仮想通貨取引所コインチェックから580億円相当の仮想通貨NEMが盗み出されてまだ1か月も経過していませんが、こんどはイタリアの仮想通貨取引所BitGrailから、アルトコインの一種Nano(XRB)が盗まれる被害が発生しました。被害額はNano 1700万XRBで、直前の価格1250円/XRBで換算すると約211億円が流出したことになります。

BitGrailはすべての入出金を停止しており、BitGrail創業者でCEOのFrancesco "The Bomber" Firano氏は早々に、Nano保有ユーザーに対し100%の払い戻しは不可能とTwitterで通知しています。なお、Nano以外の仮想通貨に関しては被害は発生してないとのこと。

NanoとはもともとRaiBlocksと呼ばれていた仮想通貨で、独自のブロックチェーン構造によってノード実行コストが発生せず、スケーラビリティも備えるなどといった特徴があります。ただ、盗まれてしまってはそれらの特徴に何の意味もありません。

Nano開発者チームは声明を発表し、この問題に対してNanoプロトコルに問題があったわけではなく、BitGrailの管理ソフトウェアに問題があったようだと指摘しました。また直ちに法執行機関に連絡するとともに、捜査に完全に協力するとしています。一方で、Firano氏が損失を"なかったこと"にするためNanoの台帳部分の修正を提案してきたものの、チームには(不透明な)BitGrailの経営に責任を負う必要はなく「我々の追求する方向性ではない」としました。

さらに、Nanoチームは「Firano氏は、BitGrailの経営状態について、長い間Nanoチームとコミュニティを欺いてきた来たという確信がある」としており、「Firano氏個人の投稿や告発には対応しない」と、BitGrailおよびFirano氏への不信感を露わにしています。

これに対しFirano氏は「Nanoの言い分こそ根拠のない主張にすぎず、私的会話の公表で逆に捜査を妨害していると警察に伝えざるを得ない」とツイートし、もはや事態収拾に向けた両者の協力は期待できそうもありません。

Nanoチームの主張が本当ならば、BitGrail(というかFirano氏)は危機対応の姿勢もさることながらも、経営のありかたにも問題を抱えているようにも思えます。いま最優先すべきは何をおいても顧客の資産保護に全力をつくすことのはずですが、CEOからはそういった趣旨の言葉は聞かれず、掲示板サイトのRedditなどではFirano氏による狂言疑惑が囁かれ始めています。

今回の件は金額こそコインチェックの被害に及ばないものの、Nano全体の13%が行方不明になった計算になります。いまや仮想通貨窃盗は犯罪者にとって最も効率的な仕事になりつつあります。取引所はユーザーに誠実なのは当然として、不正アクセスに対する鉄壁のセキュリティ体制構築もしっかり徹底してほしいところです。

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