岩田聡・任天堂元社長の熱い生涯。動画で振り返る

映像は、プログラミングへの情熱のルーツ、そしてゲーム業界入り...といった人生の節目に沿って構成された全6パート。

ゲームの歴史について深く掘り下げる海外YouTubeチャンネル「Gaming Historian」にて、任天堂・岩田聡前社長の生涯を振り返る映像「The Life of Satrou Iwata」が公開中です。この動画では、岩田氏が北海道・札幌で生まれてからプログラマーへの道を歩み始めた原点まで遡って総括。故人のゲームにかけた熱い想いや、周囲の人々と社会に与えた影響が豊富な資料によって語られています。

Engadget本誌でも何回かにわたって偲んできた岩田聡氏の生涯ですが、「故人が実際に見て触れてきたもの」を伝える動画はとても強力なメディア。海外の人にとって概念上の存在だった出身地の札幌や、岩田氏が好きだったという中華丼のビジュアルが強く胸に迫ってきます。

映像は、プログラミングへの情熱のルーツ、そしてゲーム業界入り...といった人生の節目に沿って構成された全6パート。概ね今までメディアで語られてきた事実を漏れなく拾っており、既知の情報についての理解がいっそう深まる趣です。

岩田氏の逸話を追ってきた玄人筋であっても、序盤のパートには唸らざるをえないはず。氏が初めて買ったコンピュータであるHP-65や、同じCPU6502を持つ縁からファミコン=任天堂への橋渡しとなったPET-2001 など、過去の愛機の写真もこれはこれで胸熱。

しかし若き日の岩田氏がPET-2001用に開発したレースゲーム『CARRACE2』やHAL研時代にマイコンに移植した『ギャラクシアン』をはじめ、どうやって撮影したんだというお宝影像の数々には頭が下がります。ほか、任天堂での岩田氏の初仕事である『ジャウスト』のファミコン移植にも触れていて(発売は4年後で、その間にコンセプトが良く似た『バルーンファイト』がリリースされました)文脈を知っていればコク深い味わいが楽しめます。

このGaming Historianは、ゲームのことなら何でも見境なく振り返るチャンネルです。名前を出すだけで微笑みを呼ぶファミコン用コントローラー・パワーグローブや、任天堂がソニーとの提携をボツにしてまで採用しようとしたインタラクティブ規格CD-i用『ゼルダの伝説』の作画崩壊というのも生ぬるい動画(「任天堂の三大失敗」に収録)もあり。国境を超えた任天堂ファンの奇妙な絆を確かめられる場を提供しています。

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