『また今月も通信制限...』高止まりするパケット料金の未来を探る。米国ではスマホでYouTube見放題のプランも実現

今後のパケット料金はどうなるのか、参考になりそうな米国の先進事例から探ります。

スマートフォンの悩みの一つが、月末に待ち受ける通信速度制限です。月初にはTwitterのトレンドに「速度制限解除」が入るくらいなので、経験のあるユーザーは決して少なくはないでしょう。国内3キャリアのパケット料金が一向に安くなる兆しを見せないなか、今後のパケット料金はどうなるのか、参考になりそうな米国の先進事例から探ります。

高止まりする国内3キャリアのパケット料金

国内の大手携帯3社の場合、1GBの追加データを1000円で購入すれば制限を解除できます。NTTドコモによると、この追加データ購入率はなんと3割に達するとのこと。ユーザーにとって通信速度制限がかなり身近な存在であることが示されています。

一方、ここ最近は、TwitterやFacebookのタイムライン上に、動画が当たり前に流れるようになりました。Facebookでは視点をグリグリ動かせるVRチックな360°動画も投稿できます。このようにコンテンツがリッチ化し、これまでと同じ使い方でもパケット通信量が増えるなか、ユーザー目線で求められるのはパケット料金の値下げです。

ただ読者の皆さんも感じているかもしれませんが、キャリアは携帯料金をなかなか下げようとしません。格安スマホへのユーザー流出が本格化すれば潮流は変わるのかもしれませんが、1人あたりの通信料収入アップを目指すキャリアにとって、収益の柱であるパケット料金の値下げには踏み切りにくいというのが実情です。

「速度制限解除」がTwitterのトレンド入り(2015年12月1日未明)

NTTドコモによれば1GBの追加データ購入率は約3割に達する

(※1GB追加率:1GB追加データ購入回数÷パケットパック数 2015年度第三四半期)

YouTubeも見放題、米国では動画を無料にする動き

一方で海外に目を向けると、たくさん動画を見たいというニーズに、パケット料金の値下げ以外の方法でも対応している事例があります。例えば米国の通信キャリアVerizonは、自社の動画配信サービス 「go90」において、自社ユーザーのパケット料金を無料にしています。

さらに大盤振る舞いなのが米T-Mobileです。同社は「Binge-On」というサービスを提供中。これは画質を最適化する代わりに、NetFlixやHulu、そしてYouTubeといったメジャーな動画サービスのパケットを無料にするという内容です。ただ自社ユーザーなら誰でも無料というわけでもなく、3GB以上(プリペイド以外は6GB以上)のデータプランへの加入を条件とすることで、1人あたりの通信料収入の底上げを図っています。

T-MobileではHuluやYouTubeなどもパケット無料

一方日本でも、MVNO事業を展開するJ:COMが、自社の動画サービス J:COMオンデマンドの視聴時のデータ通信を無料にしています。国内3キャリアに今のところそのような動きは見られませんが、NTTドコモはdTV、KDDIはauスマートビデオ、ソフトバンクは米NetFlix提携。揃って動画サービスに参入しており、今後同様のサービスを展開する可能性もあります。

コンテンツ提供者がパケ代を肩代わりする仕組みも

また、海外では「スポンサードデータ」という仕組みも始まっています。これは、例えるならフリーダイヤル(0120)のパケット版。ユーザーが特定コンテンツを利用する際のデータ通信料を、コンテンツ提供者が肩代わりするという内容です。

こちらも動きが早いのは米国で、AT&TはDate Perksというアプリを提供中。ユーザーが同アプリ上で商品購入に至ったり、アンケートに答えたりすることで、半ばポイント的に追加のデータ通信容量を獲得できます。その分のパケット代はコンテンツ・商品提供者が負担します。また米Vrizonもスポンサードデータを2016年上期に提供予定とも報じられています。

買い物するとパケットがもらえるAT&T Data Perks。パケ代は商品提供者が負担

ここまで主に米国の事例を紹介しました。なお、通信会社が特定のコンテンツやサービスを通信料金で優遇するのは「ネットワークの中立性」の観点から問題視する声もあります。ただキャリア側からすれば、ユーザーが持つパケット容量をコンテンツと組み合わせることで、独自の価値を提供できる点は大きな魅力です。日本でもこのようなサービスが広がれば、うまく活用することで月々のパケット代の節約に繋げられるかもしれません。

(2016年3月19日「engadget日本版」より転載)

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