航空機を追跡する人工衛星システムの導入が決定。マレーシア航空事故の再発防止を目指す

2014年3月に発生したマレーシア機行方不明事故を受け、こうした事例が二度と起こらないようにするため。

国際電気通信連合(ITU)が、11月11日にスイス・ジュネーブで開催された世界無線通信会議(WRC)にて、人工衛星を利用して民間航空機を常時追跡するシステムを導入すると発表しました。2014年3月に発生したマレーシア機行方不明問題を受け、こうした事例が二度と起こらないようにするため。

2014年3月8日にクアラルンプール国際空港を飛び立ったマレーシア航空370便(MH370)は、6時間後に北京国際空港へと着陸する予定でした。しかし MH370 は離陸から1時間足らずのところで管制局との更新が途絶え、管制レーダーからも消えたまま行方不明となりました。

連日の捜索にもかかわらず機体が発見できないまま月日が流れ、1年以上が経過した今年7月になってようやくフランス領レユニオンで残骸の一部が確認されました。しかし現在も機体と乗客がどこへ消えたのか、詳しいことはわかっていません。

航空機はいつでも管制と交信ができると思われがちですが、現在の管制システムは陸地をベースとして構築されており、実際のところ世界の洋上70%の範囲では管制からの電波が届かず、航空機を捕捉できません。

電波の使用周波数割り当てなどを決定する国連機関である ITU は、世界160か国が集まった WRC で、航空機が地上管制へと送信していた周波数帯(1087.7~1092.3MHz)を航空機と人工衛星間の通信に使うことを決定しました。これによって人工衛星は15分間隔で航空機と通信し、航空機がどこに居ようともその位置を補足可能となります。

また、同じく国連機関である国際民間航空機関(ICAO)は各国航空会社にこの追跡システムへの対応を2016年11月までに済ませるよう指示、2017年のシステム稼働に向けて準備を進めるとしています。

ITU は「このシステムの導入によってあらゆる航空機が常時監視可能になる」としています。

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