RADIOHEAD のフロントマン、トム・ヨークのソロアルバム「Tomorrow's Modern Boxes」が、BitTorrent Bundle を使った配信開始からわずか1週間で100万ダウンロードを超えました。無料のプロモーションビデオや無料の曲もダウンロード数に含まれるため正確な売上を示すわけではありませんが、それでもかなりの伸びを見せています
「Tomorrow's Modern Boxes」は、ほとんど告知を行なわず、しかも BitTorrent Bundle というあまり知られていない配信サービスでの販売開始でした。しかし、さすが RADIOHEAD /トム・ヨークのファンの反応は素早く、発売初日で11万6000ダウンロードを超えたことが話題となっていました。
各方面のメディアが取り上げたこともあり、その後もダウンロード数は落ちることなく、発売開始からまる1週間が経過した10月3日には100万ダウンロードにまで到達しました。記事執筆時点では、すでに150万を超えています。
「Tomorrow's Modern Boxes」のダウンロード価格は6ドル。RADIOHEAD が、購入者に価格を決めさせるという異例の形式で販売した2007年のアルバム「In Rainbows」の平均購入価格が6ドルだったことを考えると、もしかすると MP3 でアルバムをダウンロード販売するのに、最も効率よく売れる価格設定なのかもしれません。
ただし、ダウンロード数には、無料トラックおよび無料プロモーションビデオのダウンロードもカウントされています。BitTorrent によるとアーティスト側の要請で売上数などは非公開としているため、実際のアルバム売上げがどの程度になるのかは明かされていません。
ちなみに、米ビルボードは、「Tomorrow's Modern Boxes」の販売数量に関して正確な数字がわからない以上、チャートに反映されることはないとしています。
ただ、BitTorrent Bundle はアルバムの売上手数料を10%としており、この数字は iTunes の30%に比べるとはるかに少なく、アーティストにとっては(仮に iTunes と同じ数だけ売れるとすれば)より多くの収入が得られる販売方法と言えそうです。
蛇足ですが、RADIOHEAD メンバーは「In Rainbows」のダウンロード販売当時、「アーティストとしては、より音質の良いアナログ盤または CD を買って欲しい」と本音も漏らしていました。現在のところ「Tomorrow's Modern Boxes」は CD の発売はありませんが、特別仕様のアナログ盤は発売中。こちらには FLAC /WAV 形式および MP3 形式でのダウンロード権も付属しています。
(2014年10月06日Engadget Japan「トム・ヨークの新作アルバム、1週間で100万 DL 突破。BitTorrent の取り分は売上げの10%」より転載)