安倍首相、柳瀬元秘書官と加計側の面会は「GW中に聞いた」〈集中審議〉

衆参の予算委員会で集中審議が開かれました。
朝日新聞社

【速報】柳瀬氏と加計側の面会 首相「GW中に聞いた」

■衆参の予算委員会で、安倍晋三首相らが出席し、集中審議が開かれました。対北朝鮮外交などのほか、加計学園問題で柳瀬唯夫・元首相秘書官の参考人招致を受け、論戦。タイムラインで速報するとともに、政治部で取材している二階堂勇、星野典久、斉藤太郎各記者が解説。

■参院予算委終わる(16:42)

安倍晋三首相らが出席する参院予算委員会の集中審議は午後4時42分、散会した。焦点となった加計学園の獣医学部新設をめぐり、首相は旧友である学園理事長とやりとりしたことはなかった、と重ねて否定。柳瀬唯夫・元首相秘書官と学園関係者らとの首相官邸での面会について自らに報告はなかったものの、柳瀬氏の対応に問題はなかったとの考えを繰り返した。

野党の議員たちは首相の答弁を「不自然」と批判。「加計ありき」で計画を進んだ疑いを引き続き追及しようと、柳瀬氏や当時の藤原豊・地方創生推進室次長、今井尚哉・首相秘書官ら関係者の証人喚問を次々と要求。面会について柳瀬氏と食い違う説明をしている愛媛県の中村時広知事の参考人招致を求める声も相次いだ。

■柳瀬氏と加計学園側の面会 首相「GW中に今井秘書官から聞いた」(16:20)

【加計学園問題】安倍晋三首相は参院予算委員会で、柳瀬唯夫・元首相秘書官が加計学園関係者と2015年4月2日に面会していたことについて、「このゴールデンウィーク中、今井(尚哉・首相)秘書官から聞いた」と述べた。社民党の福島瑞穂氏への答弁。

柳瀬氏は大型連休明けの今月10日の参考人招致で、昨年7月の国会質疑の前に、今井氏に面会について説明していたことを明かした。その後、今年の大型連休まで今井氏から報告がなかった理由について、首相は「口裏を合わせることはあってはならないので、やりとりは私に伝えない方がいいという判断だったのだろう」と述べた。

■加計学園ライバルの京都府に圧力? 共産・田村氏が疑惑指摘(15:50)

【加計学園問題】国家戦略特区による獣医学部新設を1件に限定する方針が決まる前に、政府は加計学園の計画のライバルだった京都府側に対し、構想を断念するよう圧力をかけていた――。共産党の田村智子氏が参院予算委員会の質疑で、このような疑惑を持ちだした。

田村氏によると、山本幸三・地方創生相(当時)が2016年10月、京都府の副知事から獣医学部新設の要請を受けた際、「1校しか認められない。難しい状況なので理解してほしい」と求めたとされる。実際に1校に絞る方針が正式に決まったのは、17年1月だった。

山本氏の後任の梶山弘志地方創生相は事実確認を求められ、「承知していない」と繰り返した。田村氏は「こういうのを『加計ありき』と言う」と厳しく追及した。

■「一点の曇りもない」発言、自分の言葉でないと付け加えた心境は(寸評)

(星野典久記者) 加計学園による獣医学部新設をめぐる問題について、安倍晋三首相は「『(選定)プロセスに一点の曇りもない』というのは、私が申し上げたわけではなく、(特区ワーキンググループの)八田(達夫)座長が答弁されている」と述べました。無所属の江田憲司氏に対する答弁。

江田氏が「2点も3点も曇りがあるじゃないか」として指摘したのは、2015年6月5日に行われた特区ワーキンググループによるヒアリングについてでした。このヒアリングに加計学園関係者が出席、発言していたにもかかわらず、内閣府の議事要旨や議事録には記録されていません。

事業参入を希望する利害関係者が、公募で選ばれる以前にヒアリングを受けていた。そしてその事実が座長である八田氏の一存で非公開になっているわけです。八田氏は、加計学園関係者は今治市の「説明補助者」だったとして、出席や発言は記録する必要はないとの見解を示しています。

昨年来、安倍首相は八田氏の「一点の曇りもない」との発言を国会やメディアで何度も引用してきました。時にはこうした八田氏の発言を「朝日新聞は報道もしておられない」と決めつけたこともありました(実際には朝日新聞は複数回紹介しています)。

今日になってわざわざ、「わたしが申し上げたわけではない」とした首相。その背景には、どんな心境の変化があったのでしょうか。

■麻生氏、森友の交渉記録公表「できるだけ速やかに」(14:50)

【森友学園問題】麻生太郎財務相は参院予算委員会で、森友学園への国有地売却問題で財務省の佐川宣寿(のぶひさ)・前理財局長が「廃棄した」と答弁してきた学園側との交渉記録について、「できるだけ速やかに対応したい」と述べた。存在していると明言することを避けつつ、調査結果を早期に公表する考えを示したものだ。立憲民主党の小川敏夫氏への答弁。

麻生氏は「取り急ぎ(公文書の)書き換えの調査を先にやり、交渉記録も引き続き調査している。さまざまな問題があるので作業に手間取っている」と語った。

■非核化の政府方針、「短期間」か「20年までに」か(寸評)

(二階堂勇記者) 北朝鮮問題のキーワードの一つ、「完全、かつ検証可能で不可逆的な廃棄」。核兵器を含む全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルを指しますが、「いつまでに」実現させようとしているのでしょうか。

安倍晋三首相は「短期間」としました。自民党の塚田一郎氏に対する質疑でこう答弁しました。塚田氏はさらに具体的な期間を問いましたが、「期間は日米で具体的に話し合っているが、差し控える」と言い、腹合わせをしていることだけは明かしました。

ところが、政府内では、河野太郎外相が7日の参院決算委員会で北朝鮮の非核化について「2020年までに様々なことを終わらせるべきだ」と答弁しています。「短期間」か「2020年までに」か、どちらが本当の政府方針なのでしょうか。

委員会には、河野外相も閣僚席に座っています。塚田氏が問いただすこともできますが、そうはしませんでした。同じ政府の一員なのにどちらが本当なのか。国民に明確な方針は分からないままです。

さて、その河野外相。今年3月末に、北朝鮮について「次の核実験の用意を一生懸命やっている」と発言しましたが、その後、米国の北朝鮮研究グループが河野氏の発言を否定し、波紋を呼んだことがありました。

「ディール(取引)」を得意とするトランプ米大統領を例に出すまでもなく、世界の国々の思惑が交錯する中、北朝鮮問題は動いています。日本も例外ではありません。政治家の発言は重いものです。思わせぶりな発言は惑わせるだけです。

■首相、旧友の加計氏と「ほとんど私がしゃべっている」(14:00)

【加計学園問題】安倍晋三首相は参院予算委員会で、旧友の加計孝太郎・加計学園理事長から事前に獣医学部新設計画を知らされていたかについて、「まさに話はしていない」と否定した。「ほとんど私がしゃべっている。みなさんはむしろ私の仕事に興味がある」と、首相としての一般的な面会時のスタイルにまで言及して強調した。

首相は「(加計氏は)友人だが、仕事の頼みをされたことはない。彼は意図的に話さなかったのだろう」とも述べた。国民民主党の大塚耕平氏への答弁。

■なぜ加計学園だけが内閣府や官邸の門をたたけたのか(寸評)

(星野典久記者) 加計学園による獣医学部新設をめぐる問題について、国民民主党の玉木雄一郎共同代表は「岩盤に穴を開けることではなく、開いた穴に総理のお友達しか通れないのではないかが問題になっている」と指摘しました。

これに対し、安倍首相は「構造改革特区の時は今治市と加計学園しかいなかったのは事実だ。十数年、岩盤に穴を開けようとずっとやってきた。京産大(京都産業大)というのは最近だ」と指摘しました。

しかし、京産大も十年以上前から獣医学部新設の準備をしていました。2006年には鳥インフルエンザ研究の第一人者である大槻公一氏を招いて「鳥インフルエンザ研究センター」を設立。近畿地方で発生した事案に対応した実績もありました。

大槻氏は朝日新聞の取材に対し、「私たちは『内閣府に行け』というアドバイスを以前に受けたことはなかったから、もっぱら文部科学省に相談に行っていました」と説明しました。京産大は学部新設の許認可権を持つ文科省の門をたたき続け、内閣府や首相官邸の門をたたく発想を持っていなかったようです。

では、なぜ加計学園は内閣府や首相官邸の門をたたけたのでしょうか。

立憲民主党の川内博史氏が「柳瀬(唯夫・元首相秘書官)さんを誰かが加計学園につながないと、柳瀬さんが国家戦略特区担当だと知りようがない」と指摘すると、安倍首相はこう答えました。「私も妻も(柳瀬氏を)紹介するということはないんだろうと思うし、今井(尚哉)秘書官も紹介はしていない」

■首相に精神的余裕? 大塚氏だけに「新党おめでとう」(13:45)

「新党を結成され、おめでとうございます。これからも切磋琢磨(せっさたくま)していきたい」――。安倍晋三首相は参院予算委員会で、質問に立った国民民主党の大塚耕平共同代表に対する答弁の冒頭、「儀礼のあいさつ」を述べた。この日の午前の衆院予算委の質疑では、同党の玉木雄一郎共同代表が質問に立っていたが、首相はこのような言葉を贈らなかった。

玉木氏は1問目から加計学園問題を追及。一方、大塚氏が「対決より解決」という国民党のスタンスを示しながら、外交問題から質問に入ったため、首相に精神的な余裕がうまれた様子だった。

■首相「忖度されたか否かは、される側にはわかりにくい」(13:00)

【加計学園問題】安倍晋三首相は参院予算委員会の集中審議で、加計学園の加計孝太郎理事長が首相と旧友であることから学園の獣医学部新設計画が進んだとの指摘に対し、「忖度(そんたく)されたか否かは、される側にはわかりにくい面がある。私はおもねる意味での忖度を(役人たちに)求めていない」と述べた。自民党の塚田一郎氏への答弁。

首相は「忖度があったとの批判は真摯に受け止めたい。行政府の長として責任を感じる。全容解明し、再発防止に全力をあげる」とも強調した。

■北朝鮮の核実験場廃棄は議論されるか(寸評)

(二階堂勇記者) 午前中の衆院予算委員会が行われている中、首相官邸では菅義偉官房長官の記者会見もあり、北朝鮮問題が取り上げられました。北朝鮮が核実験場を23~25日の間に廃棄すると発表したことに対する反応です。菅氏は「前向きな動きとして歓迎」と評価しました。

しかし北朝鮮は核実験場の廃棄について、米英中ロ韓5カ国の国際記者団に取材を認め、日本メディアは除外されました。菅氏の会見ではこの狙いや分析についても質問が出ましたが、菅氏は「意図について答える立場にはない。北朝鮮の言動の一つ一つに振り回されることなく、我が国の立場に基づき、毅然として対応すべきだと考える」と答え、刻々と変わる情勢を冷静に見きわめる姿勢に徹しました。

北朝鮮の非核化が具体的にどう進められるか。その一つの機会といえる核実験場の廃棄について、午後の参院予算委員会では質問があるでしょうか。

■参院予算委スタート(13:00)

安倍晋三首相や麻生太郎財務相が出席する参院予算委員会の集中審議は午後1時、質疑が始まった。加計学園問題の獣医学部新設をめぐり、首相が午前の衆院の質疑で手続きの適正さを主張したのに対し、野党は引き続き「加計ありき」で計画が進んだ疑いを追及する構えだ。

1時40分ごろ、国民民主党の大塚耕平共同代表が野党のトップバッターとして質問に立つ予定。国民は衆参両院で党首が首相を追及する構図となる。続く2時20分ごろからは元検事で立憲民主党の小川敏夫氏。7日の希望の党との合流による「国民」結成に反発、大塚氏とたもとを分かった民進党の元参院議員会長だ。社民党の福島瑞穂氏らの質問を経て、4時半ごろに散会する予定。

■首相の言う「選定プロセス」、どこからどこまでなのか(寸評)

(星野典久記者) 加計学園による獣医学部新設をめぐる問題について、安倍晋三首相は「特区プロセスは民間有識者が主導して進めており、(特区)ワーキンググループの八田(達夫)座長から、『柳瀬元秘書官から何の働きかけも受けたことはない』との発言があった」などとして、加計学園の選定プロセスの正当性を改めて主張しました。立憲民主党の本多平直氏への答弁。

確認しますが、問題になっている加計学園による2015年4月2日の官邸訪問というのは、今治市と愛媛県が国家戦略特区に正式に手を上げる約2カ月前の出来事です。つまり、正式な「特区プロセス」のレールに乗る前の話になります。正式に提案する前から民間有識者が主導してプロセスを進めていたら、選定する側と選定される側が、事前にやりとりしていたことになり、それこそ問題になってしまいます。

そもそも首相が言う「選定プロセス」がどこからどこまでを指しているのか不明です。野党側にはその確認もしてほしいと思います。

■衆院予算委終了 セクハラ問題では麻生氏と首相が陳謝(12:12)

安倍晋三首相らが出席する衆院予算委員会の集中審議は午後0時12分、散会した。首相は午前の質疑で、獣医学部新設に向けた柳瀬唯夫・元首相秘書官と加計学園側との面会について「報告を受けなかった」と強調。獣医学部新設に向けた自らの恣意(しい)的な関与を否定したが、野党は「加計ありき」で計画が進んだ可能性を追及した。

財務省の福田淳一・前事務次官のセクハラ問題をめぐっては、「(女性記者に)はめられたという可能性は否定できない」と発言、撤回した麻生太郎財務相が野党に問いただされた。麻生氏は謝罪し、首相も「被害者に寄り添った対応、発言が求められるのは当然だ」と陳謝した。

参院の予算委は1時ごろに始まる予定。

■中短距離弾道ミサイルの議論、閣僚席からのヤジで中途半端に(寸評)

(二階堂勇記者) 北朝鮮の非核化に向けて国際社会がどう動くかに耳目が集まっていますが、日本にとっては気になる問題があります。北朝鮮が日本を射程に収める中短距離弾道ミサイルの扱いです。

北朝鮮は、米国を狙える飛翔(ひしょう)距離が長い大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試射中止に言及していますが、中短距離弾道ミサイルには触れていません。仮に6月の米朝首脳会談で、米朝首脳がICBMだけの廃棄で合意した場合、日本は中短距離弾道ミサイルの射程内に取り残されたままになってしまいます。

国民民主党の玉木雄一郎氏はこの懸念について政府の姿勢をただしました。中短距離弾道ミサイルが温存されれば、安全保障上の問題がある、との指摘です。

安倍首相はすべての弾道ミサイルの廃棄も「日米で完全に一致している」と答えましたが、同時に「全ての手の内を申し上げる訳にはいかない。外交とはそういうものだ」とも。真っ正面からの答えはありませんでした。

玉木氏は「日本の利益と米国の利益は必ずしも一致しない」とたたみかけましたが、閣僚席からヤジが飛んで委員会が紛糾。審議が一時、中断しました。

与野党の予算委理事から詰め寄られた河村建夫委員長は「閣僚席からの発言について厳重に慎んでいただきたい。同時に、議員席の皆様方も答弁中の不規則発言は十分注意していただきたい」との仕切り。両者「不成敗」でおさめた形です。

質問を再開した玉木氏は、ヤジを飛ばしたのが麻生太郎副総理だったとして、「自分が言いたいことを言っている、というヤジを飛ばすのは、麻生(太郎)大臣やめてください」と訴えました。

結局、時間切れで質疑は終了。中短距離弾道ミサイルの廃棄まで確約できるかどうか、という明確な政府答弁はありませんでした。ヤジをきっかけに、質疑が中途半端に終わった形です。

■玉木氏、柳瀬氏面会「あのとき官邸にいた全員の証人喚問で解決」(11:30)

加計学園問題をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官と愛媛県側の主張が食い違っている問題について、国民民主党の玉木雄一郎氏は「2015年4月2日午後3時、あのとき官邸にいた関係者を全員一堂に集めて、うそをついたら罰せられる証人喚問で事実をしゃべってもらえれば、すべて解決する」と述べた。午前の衆院予算委員会での質問を終え、記者団に語った。

玉木氏はさらに「総理がうそをつくことによって、秘書官がうそをつかなければいけなくなり、多くの人を巻き添えにしていく。もう安倍総理しかこの混乱を収拾できない」とも訴えた。

玉木氏は午前の質疑で、中村時広・愛媛県知事の委員会への参考人招致が与党の反対で認められなかったことを強調。多数をもつ与党を中心とした全会一致でなければ招致が決まらない国会のルールを見直すよう求めていた。

■首相、加計学園の決定プロセス「形式上は私が座長」(11:30)

【加計学園問題】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、自らが議長を務める国家戦略特区諮問会議による獣医学部新設の事業者を加計学園に決定した行政プロセスについて、「形式上は私が座長」と述べ、恣意(しい)的な関与を否定した。無所属の江田憲司氏への答弁。

首相は「私が座長をしているのは事実だが、実際は有識者が決めていく。私がいちいち事業者をみて選定することは全くない。決まったことを覆したことはない」と強調した。首相が学園の加計孝太郎理事長と旧友関係にあるため、江田氏ら野党議員は加計学園を優遇した可能性があるとみて追及している。

■下村元文科相夫妻と加計学園の関係も焦点(寸評)

(星野典久記者) 加計学園による獣医学部新設をめぐる問題について、立憲民主党の本多平直氏が「下村(博文)元文部科学大臣と加計(孝太郎)理事長が個人的に親しいことはご存じか」と安倍晋三首相に問いました。安倍首相は「下村さんと加計さんが面識があることは承知している。親しさはどれぐらいかよく分からない」と答弁しました。

下村氏と加計学園はどんな関係があったのでしょうか。

下村氏が文科相だった2013年と14年の2回、下村氏を支援する政治団体「博友会」が加計学園の秘書室長から政治資金パーティーの費用として計200万円を受け取っていたことが分かっています。また、加計学園グループの「広島加計学園」が運営する英数学館小学校が13年9月に「グローバル教育説明会」を開いた際、宣伝資料に首相夫人の昭恵氏とともに下村文科相夫人が写真入りで登場。下村夫人は「私がアメリカの小学校と英数学館のイマージョン教育同士の姉妹校提携の調印式に参列してから7年」などとして、同小学校と長い関わりがあったことを明らかにしています。

下村夫妻と加計学園との関係も事実解明への重要なポイントになりそうです。

■元首相秘書官の江田憲司氏が登場(寸評)

(星野典久記者) 国民民主党の玉木雄一郎氏に続いては、首相秘書官を経験したことのある江田憲司氏(無所属)が登場しました。江田氏は柳瀬唯夫・元首相秘書官や、首相の最側近で政務秘書官を務める今井尚哉氏と同じ経産省出身で、2人の先輩にあたります。1996年1月から98年7月まで橋本龍太郎首相の政務秘書官を務めました。

10日の予算委員会では、参考人の柳瀬氏に対し「総理秘書官は総理大臣と一心同体。将来、補助金の対象事業者である方と会うと、それは総理に累が及ぶ。普通、総理秘書官はそんなことしない」などと、自身の経験をもとに厳しく追及しました。

官邸スタッフの役割や政治家との関係を熟知する江田氏が、安倍首相にどんな質問をぶつけるのか。そして首相はそれにどう答えるのか、注目です。

■「日本は蚊帳の外」論、予算委でも議論(寸評)

(二階堂勇記者) めまぐるしく動く北朝鮮情勢が、今日の委員会審議で取り上げられています。目下、6月12日にシンガポールで開かれるトランプ米大統領と、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)氏朝鮮労働党委員長による史上初の米朝首脳会談に注目が集まっているためです。

中朝、南北に続き、米朝と「対話」の流れができつつある中、「日本は蚊帳の外に置かれているのではないか」という指摘があります。

自民党の岸田文雄政調会長は質疑で、この「蚊帳の外」論について「関係国の置かれている立場が違う。それぞれの強みを生かして、どう貢献していくのか。どの国も同じことをしていないから、日本は蚊帳の外にあるというのは当たっていない」と指摘し、政権を擁護しました。

日本政府は「核兵器を含む全ての大量破壊兵器とあらゆる射程の弾道ミサイルの完全、かつ検証可能で不可逆的な廃棄」が実現するまで、最大限の圧力を維持する方針を掲げています。

この方針のもとに、安倍政権は並行して日朝首脳会談を探っており、水面下で北朝鮮との接触を続けていることも認めています。

安倍首相は米朝首脳会談について、公明党の中野洋昌氏の質問に対し、「拉致問題を解決していく上できわめて重要な機会と捉えている」と述べ、米朝会談の結果を見守る構えです。トランプ氏や正恩氏が拉致問題にどう触れるか、首相も国会議員たちも注視しているのです。

■首相がトイレ、約3分中断(11:00)

衆院予算委員会の集中審議は野党議員の追及が続くなか、安倍晋三首相がトイレに行きたいと河村建夫委員長(自民)に申し出て、3分間ほど中断した。国民民主党の玉木雄一郎氏が加計学園問題について追及を強める中、首相は委員室からの退出を申し出た。

■見えてきた、政権の「防衛ライン」(寸評)

(星野典久記者) 柳瀬唯夫・元首相秘書官に対する10日の参考人質疑で、安倍政権が死守しようとする、答弁の「防衛ライン」が見えてきました。

柳瀬氏は「えこひいき」と批判を浴びかねない加計学園関係者との面会を認める一方、首相への報告は「一切ない」と明確に否定しました。また、愛媛県の文書にあった「加計学園から、先日安倍総理と同学園理事長が会食した際に、下村文科大臣が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があったとのことであり、その対応策について(柳瀬氏に)意見を求めたところ、今後、策定する国家戦略特区の提案書と併せて課題への取り組み状況を整理して、文科省に説明するのがよいとの助言があった」との記述について、柳瀬氏は「記憶がない」と述べました。

これは、安倍晋三首相が獣医学部新設計画を知ったのが、加計学園が特区の事業者として正式に決定した「2017年1月20日」だと首相自ら説明していることに関係がありそうです。

首相への報告を認めたり、愛媛文書の内容が事実だったりすると、加計学園の提案を17年1月20日に初めて知ったとする首相の国会答弁が虚偽となる可能性が強まります。さらに首相が加計学園の提案を17年1月20日以前に知っていたとなると、13年から16年にかけて十数回、加計氏と会食やゴルフをともにしたことが、関係業者とのつきあいについて定めた大臣規範に抵触するも恐れも出てくるのです。

今日の予算委員会は、このような「防衛ライン」を意識して観戦すると面白いかもしれません。

■首相「柳瀬氏は『名刺を渡していない』とは言っていない」(10:50)

【加計学園問題】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、柳瀬唯夫・元首相秘書官と愛媛県側の間で面会内容の説明が食い違う問題について、「柳瀬氏は3年前の記憶をひもときながら、正直に話していたと思う」と述べ、柳瀬氏を擁護した。国民民主党の玉木雄一郎氏への答弁。

県側が面会の証拠として柳瀬氏の名刺を公開したことに対し、首相は「彼(柳瀬氏)は『名刺を渡していない』とは言っていない。愛媛県と今治市については『記憶の限りでは会っていないのではないか』と言っている」と説明。県側が作成した面会の記録文書については「誠心誠意、仕事をしてメモをとったと思う」と述べるにとどめ、論評を避けた。

柳瀬氏が学園関係者との面会をめぐり「愛媛県の方がいたか記憶にない」と答弁したことに対しては、同県の中村時広知事は「県職員は県の立場を説明するために行った。県の信頼に関わる」と反発している。

■首相、BBQでの柳瀬氏と加計学園の仲介や昭恵氏関与を否定(10:05)

【加計学園問題】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、柳瀬唯夫・元首相秘書官が加計学園側と初めて接触したとされる2013年5月のバーベキューの状況を説明した。首相自身がこの場で、柳瀬氏と学園側の仲介をしたことは「ない」と強調。さらに妻・昭恵氏の関与については、「100%」との言葉を使いながら否定した。

首相によると、バーベキューは河口湖に近い自らの別荘で開催。「20名以上が来られるにぎやかなもので、仕事のミーティングではなかった」。会の雰囲気については「いちいち(参加者同士を)紹介しないで、楽しくやってください、とやっている。私が具体的な仕事の話をすることは全くない」と説明した。

また、昭恵夫人が、柳瀬氏と学園関係者の間を取り持った可能性について、首相は「うちの妻はそもそも柳瀬氏が特区担当だと知りませんから。それはまず100%ないと言えるのではないか」と強く否定した。立憲民主党の川内博史氏への答弁。

■「ちょっと、委員長。ふつうの会話じゃないのですから...」野党の突っ込みに首相(寸評)

(斉藤太郎記者) 「ちょっと、委員長......。ふつうの会話じゃないのですから......」。衆院予算委員会の質問時間が野党議員に移り、安倍晋三首相が思わずたじろぐ場面がありました。答弁していたところ、質問者の立憲民主党の本多平直氏から「突っ込み」を入れられ、河村建夫委員長(自民)に注意してもらうよう促したわけです。

柳瀬唯夫・元首相秘書官の加計学園関係者との面会をめぐり、首相が「秘書官はたくさんの来客を受けている」と説明したことに対し、本多氏は「秘書官は本当にたくさんの人と会っているのか」と質問。首相は自分自身の日常の多忙さを延々と説明したため、本多氏は席に座ったまま「答えていない!」と何度も声を上げました。

委員会では委員長の指名があって、初めて質問なり答弁なりができる仕組みになっています。席に座っている人が勝手に質問し、首相が答えるようになってしまったら、収拾がつかなくなってしまうからです。首相が河村委員長にヤジの制止を求めたのは当たり前とも言えます。

ただ、委員長は質問内容とずれた答弁をする閣僚らを注意することもあります。河村委員長は首相と本多氏、どちらに分があるか悩んでしまったのではないでしょうか。

■BBQやゴルフ代は誰が? 首相はどう説明するのか(寸評)

(星野典久記者) きょうの衆院予算委員会で、野党側は加計学園の獣医学部新設をめぐる問題を取り上げています。

10日には「首相案件」と当事者らに伝えたと愛媛県の文書に記されている柳瀬唯夫・元首相秘書官への参考人質疑がありました。柳瀬氏は現経済産業審議官。加計学園関係者らが官邸を訪問した2015年4月2日当時、安倍晋三首相の秘書官として面会に対応した人物です。

10日に参考人として出席した柳瀬氏による発言のポイントは、(1)15年2月~6月ごろにかけて計3回、首相官邸で加計学園関係者と面会(2)首相への報告を否定(3)愛媛県が作成した文書に記載されていた「本件は、首相案件」については「趣旨とは違う形で伝わった」と説明、の3点でした。

ほかにも13年5月に首相の別荘でのバーベキューで加計学園の加計孝太郎理事長と初めて会ったこと、昨年7月に首相の政務秘書官である今井尚哉氏に、加計学園関係者との面会の事実を報告していたことも明らかになりました。

きょうの予算委員会のポイントは、事実関係の詳細を安倍首相に直接問うことにあります。例えば、13年5月は、柳瀬氏はバーベキューだけでなくゴルフにも参加しています。バーベキューやゴルフの代金は誰が支払ったのでしょうか。また、安倍首相は柳瀬氏の対応を「全然問題じゃない」としていますが、職務怠慢の疑いがある中、どうして「問題じゃない」と言い切れるのでしょうか。昨年7月に柳瀬氏から今井秘書官に報告があったにもかかわらず、政権として今日まで対応しなかったのはなぜか、も焦点の一つでしょう。

野党側としては、幕引きを図ろうとする政権に対し、与党に拒否された中村時広・愛媛県知事や加計氏の国会招致につなげることができるか。愛媛県や今治市の公文書の徹底調査と公開につなげることができるかが、勝負どころとなりそうです。

■岸田氏、政府方針の引き出しに徹底 「発信力」示せたか(寸評)

(二階堂勇記者) 与野党8人が立つ質問者のトップバッターは、自民党の岸田文雄政調会長。ハト派の伝統派閥「宏池会」を率いて、「ポスト安倍」の有力候補の一人に名前が挙がっています。ただ、「存在感がない」との指摘もあり、発信力が試されています。

岸田氏は前外相らしく、9日に2年半ぶりに開かれた日中韓首脳会談の成果を取り上げました。岸田氏は日中韓の協力などを確認できたことを「歓迎」と評価。今年は日中平和友好条約締結40周年にあたることから、「新たな時代」における日中関係のあるべき姿を問いただしました。

外交成果をアピールしたい首相にとっては、格好の質問です。首相は早速、「競争から協調の時代」と応じました。岸田氏は政府・与党の外交方針を引き出したにすぎません。

続いて、北朝鮮による拉致問題や日朝対話の可能性についてもただしましたが、首相は既定路線通りの答弁。岸田氏は「ポスト安倍」としてアピールするより、自民党の政調会長として政府方針を「引き出す」役割に徹したようです。

30分強の質問時間で、内政に触れたのは、冒頭4分ほどだけ。公文書問題について「政治の信頼を損ねかねない大変深刻な事態」と指摘したものの、自らが具体的な対応策を打ち出すことはありませんでした。「深刻な事態」と考えるならば、どう考えるか知りたいところです。政府側に答弁を求めなかったのも、物足りなさがあったと言わざるを得ません。

■首相「秘書官の来客まで報告を受けない」(09:10)

【加計学園問題】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、柳瀬唯夫・元首相秘書官が獣医学部新設をめぐる加計学園側との面会を「総理に報告したことも、指示を受けたことも一切ない」と答弁していることについて、「秘書官の来客まで私が報告を受けることはない」と述べ、柳瀬氏の主張と足並みをそろえた。公明党の中野洋昌氏への答弁。

首相は「秘書官は日々、多くの来客を受けていると思う」と強調。「秘書官が報告するのは私が判断する必要がある時が基本だ。途中段階ではほとんどない」と述べ、柳瀬氏の対応は問題ないとの認識を示した。

■首相「米朝会談の結果、トランプ氏から直接聞きたい」(08:55)

【米朝首脳会談】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、6月12日に予定される史上初の米朝首脳会談について「トランプ米大統領から直接、結果を聞きたい」と述べた。日本政府は、会談直後のトランプ氏来日を米政府に要請している。だが首相は「どのような形にするかは今後の調整」と述べ、日米間の調整が終わっていないことをうかがわせた。

首相は米朝首脳会談について「諸問題の解決の前進となる会談にしていくよう、我々は全面的に協力しなければならない」と強調。日本人拉致問題の解決の重要性については「トランプ大統領に説明し、認識は一致していると思う。トランプ氏は米朝会談で提起すると言っている」と述べた。自民党の岸田文雄氏への答弁。

■首相「日中韓首脳会談は新たなスタート」(08:35)

【北朝鮮問題】安倍晋三首相は衆院予算委員会の集中審議で、9日の日中韓首脳会談について「隣国であるがゆえに課題があるが、課題があるからこそ話し合うのが大事だ。それが大切だと確認し合う新たなスタートになった」と会談の意義を強調した。自民党の岸田文雄氏への答弁。

首相は北朝鮮による日本人拉致問題の解決について「必要性の共通認識を持つよう強く訴え、(中韓)両首脳の理解を得ることができた」と述べた。

■加計問題巡る首相説明が焦点 衆院集中審議スタート(08:29)

安倍晋三首相や麻生太郎財務相が出席する衆院予算委員会の集中審議は午前8時29分、開会した。加計学園の獣医学部新設をめぐり、柳瀬唯夫・元首相秘書官と愛媛県側の間で面会内容の説明が食い違うなか、首相がどのような説明をするかが焦点。柳瀬氏は首相の関与を強く否定したが、野党は昨年1月の計画決定の前から首相が学園の構想を認識していたとみて追及する構えだ。

北朝鮮の非核化や日本人拉致問題の解決に向けた9日の日中首脳会談の成果や、6月12日に予定される米朝首脳会談の展望もテーマとなる。財務省の前事務次官セクハラ問題、決算文書改ざんをめぐっては、麻生氏が野党の批判にさらされそうだ。

最初の質問者は「ポスト安倍」の一人と目される自民党の岸田文雄政調会長。野党の質問は9時半ごろから。加計問題をめぐり、国民民主党の玉木雄一郎共同代表や、橋本内閣で首相秘書官の経験がある無所属の江田憲司氏らが厳しい追及を展開しそうだ。正午ごろに散会し、午後1時からは参院予算委に移る。

(朝日新聞デジタル 2018年05月14日 17時10分)

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