アストンマーティンがF1に復帰へ フォース・インディアと提携交渉中

アストンマーティンがF1のグリッドに帰ってくる。といっても、英国の高級GTメーカーが自ら新チームを立ち上げたり既存のチームを買収するわけではない。

アストンマーティンがF1のグリッドに帰ってくる。といっても、英国の高級GTメーカーが自ら新チームを立ち上げたり既存のチームを買収するわけではない。アストンはフォース・インディアF1チームと新たに提携を結ぶことになり、正式な発表間近の段階にあると報じられているのだ。

モータースポーツ情報サイト『Autosport』によれば、この提携に伴い現行のインド国籍を示しているチーム名が「アストンマーティン・レーシング」に変更されるという。命名権がアストン側にあるとはいえ、技術面では両者とも協力体制を敷く構えを示しているようだ。さらに、マクラーレンF1チームと長年提携しているウイスキーブランド、ジョニー・ウォーカーが、この新たなブランド名を冠するチームのスポンサーに加わるとみられている。これまでフォース・インディアのスポンサーには、ウイスキー・ブランドのロイヤルチャレンジやホワイト&マッカイ、ダルモアが名を連ねていた。現在のエンジン・サプライヤーであるメルセデス(アストンマーティンの株式の一部を所有)は、今後もエンジン供給を継続すると思われる。

実はアストンマーティンがパートナーに考えていたとされるチームは、フォース・インディアだけではない。以前の報道では、レッドブルと提携に向けて協議中とか、ウィリアムズについても検討していると言われていた。しかし、アストンは最終的に、財政問題を抱えながらも好成績を収めているフォース・インディアをパートナーに決めたようだ。

自動車メーカーがF1チームの運営ではなく支援を行うというのは奇妙に感じられるかもしれないが、似た例がないこともない。日産が展開する高級車ブランドのインフィニティは、日産と資本提携を結ぶルノーからエンジンの供給を受けているレッドブルF1チームのスポンサーを何年も務めている。その日産の元副社長アンディ・パーマー氏が、アストンマーティンの現CEOである。なお、スポーツカー・レースでの輝かしい戦績とは異なり、アストンはF1には1959~1960年に数戦しか参加していない。

今回の提携が実現すると、フォース・インディアは、2007年末にインドの実業家ビジェイ・マリヤ氏に買収されて以来使ってきたチーム名に別れを告げることになる。マリヤ氏はユナイテッド・スピリッツ社の会長であり、同社はフォース・インディアのスポンサーを務めてきた前述のウイスキー・ブランドを全て所有しているという関係だ。このチームは元々1991年にジョーダン・グランプリとして設立され、2005年まで同名で参戦していたが、その後オーナーとチーム名がミッドランド、続いてスパイカーへと変更された。2011年にはマリヤ氏がチームの株式の半分近くを、複合企業サハラ・インディア・パリワールに売却している。フォース・インディアとなってからのコンストラクターズ・ランキングは、下位の10位から始まって近年では中ほどの6位前後、今シーズンはここまで5位と安定している。とはいえ、ジョーダン・グランプリ時代に通算4勝を挙げているのに対し、フォース・インディアとしては表彰台にすら3回しか上っていない。

翻訳:日本映像翻訳アカデミー

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(2015年11月5日「Autoblog」より転載)

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