委託先の女性自殺とパワハラの因果関係が主な争点に。遺族らがビ・ハイアを訴えた訴訟

原告の主張に対し、被告はことごとく争う姿勢を示した
記者会見する清水有高社長=東京地裁
記者会見する清水有高社長=東京地裁
Rio Hamada

ゲームやアニメ業界の求人広告を手がける会社の業務を請け負っていた女性(当時30)が自殺したのは、同社社長によるパワーハラスメント(パワハラ)が原因だったとして、女性の両親や元同僚の男性2人が会社と社長を相手取った損害賠償請求訴訟は1月11日、東京地裁で第1回口頭弁論があった。

被告側はパワハラで女性が自殺したとする原告の主張は「事実無根」と否定した。パワハラの有無と女性の自殺との因果関係が主な争点になる見通しだ。

訴えられているのは、「ビ・ハイア」(東京)と、同社社長の清水有高氏。訴状によると、女性は仲介会社を通じてビ・ハイアから営業業務を請け負っていたが、2018年2月下旬、ビ・ハイアの事務所が入っていた東京都内のマンションから飛び降り自殺した。

原告は、女性は清水社長に対する多額の借金を返す名目で、報酬が天引きされていたと主張。家賃が払えないことからビ・ハイアの事務所で暮らすようになったが、ここでの生活はウェブカメラなどで監視されたり、食事制限を受けたり、清水社長から人格を否定されるような暴言を浴びたりするなどのパワハラ行為が続き、それが原因で自殺した、と訴えている。

一方、被告側は、女性は清水氏に対して借金を負っていたが、報酬は仲介会社から現金で渡されていたなどとして天引きを否定した。

ウェブカメラについても、来訪者を記録するために玄関に設置したことは認めたが、女性らを監視するためではないとした。

食事制限については、清水社長と頻繁に外食していたほか、事務所にもレトルトカレーや米、乾燥大豆など備え付けの食べ物があったと反論。暴言についても否定した。

この日の弁論では、女性の父親と元同僚男性2人が原告として意見を述べた。元同僚の一人は清水社長について「表と裏の顔を持っていた」と主張。対外的にはわからないようパワハラを繰り返していたと述べた。

これに対し、清水社長ら被告側は口頭弁論後に記者会見を開き、原告側の主張について「事実無根」と改めて主張。その上で、「記者会見で語られた内容も虚偽に満ちたつくり話であるということを訴え、質していく」ためとして、名誉毀損で原告を反訴したと説明した。

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