「あなたの味方です」バイデン氏、LGBTQ当事者を守るための大統領令に署名

バイデン大統領、性的マイノリティに敵対的な法律に真っ向から対立。権利を擁護し平等を促進するよう求めました

アメリカのバイデン大統領は6月15日、LGBTQ当事者たちを守るための大統領令に署名した。

バイデン氏はこの大統領令で、性的マイノリティに敵対的な州法にはっきりと対抗する姿勢を示している。

プライド月間を祝う式典に出席したバイデン大統領と活動家ハビエル・ゴメスさん
プライド月間を祝う式典に出席したバイデン大統領と活動家ハビエル・ゴメスさん
NICHOLAS KAMM via Getty Images

大統領令で求めたこと

バイデン氏は、LGBTQの権利尊重を訴える「プライド月間」である6月を記念して大統領令に署名。連邦省庁に対し、LGBTQ当事者の権利や安全を守るための様々な行動を取るよう促した。

その一つは、コンバージョン・セラピーの撲滅だ。 コンバージョン・セラピーとは、性的指向や性自認を、ヘテロセクシャルもしくはシスジェンダー(身体的性別と性自認が一致している人)の基準に変えることを目的とした行為だ。アメリカの医師会などは、この行為はLGBTQ当事者を危険に晒すと警告している。

ホワイトハウスの声明はコンバージョン・セラピーを「子どもたちを、自殺やトラウマの危険に晒す」と批判。保健福祉省などに、市民にこの行為の危険性を伝え、終わらせるための行動を求めた。

他にも、里親制度を利用するLGBTQの親や若者たちが差別されないための施策強化や、性別適合治療など必要な医療支援の促進、ホームレスを防ぐためのワーキンググループの立ち上げ、安心して学べるための教育環境づくりなど、性的マイノリティ、特に若者たちが安心して暮らすための様々な行動を促している。

大統領令に署名するバイデン氏
大統領令に署名するバイデン氏
NICHOLAS KAMM via Getty Images

「ここにいる全員があなたの味方」

アメリカでは近年、共和党が主導する州を中心に、LGBTQの若者に敵対的な法律が導入されている。

LGBTQ権利擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、2022年だけで、320以上の反LGBTQ法案が提出された。

フロリダ州では、幼稚園から小学3年生までの間、公立校で性的指向や性自認についての議論を規制する、通称「ゲイと言ってはいけない法案」が成立。

また、テキサス州のアボット知事は2月に、子どもたちの性別適合治療を「児童虐待」として調査するよう、州の家族・保護サービス局に指示した。

他にも、トランスジェンダー女性の学生アスリートの女子スポーツチーム参加を妨げる法律なども作られている。

大統領令は、こういった反LGBTQの州法に対立する内容になっており、バイデン氏はスピーチの中で、「私たちは国の魂をかけた闘いの中にいる」と訴えた。

署名後に行われたプライド月間を祝う式典には、バイデン大統領や妻のジル・バイデン氏のほか、カマラ・ハリス副大統領、同性パートナーと子育てをしているピート・ブティジェッジ運輸長官、LGBTQ活動家らも出席。

バイデン氏はスピーチの最後で、LGBTQの若者たちに次のように呼びかけている。

「私がすべての若者に伝えたいことは、ただあなたらしくいてくださいということです。ありのままのあなたで愛され、耳を傾けられ、理解され、あなたの居場所があります。あなたの大統領として、このステージにいる全員があなたの味方だと伝えます」

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