極右デモ参加者を、人種差別抗議デモ参加者が救助。「助けが必要な人を私たちは守る」

「フロイドさんのことも周りの警察官に助けて欲しかった」と助けた男性は語っています

人種差別に抗議するデモ「Black Lives Matter(黒人の命は大切だ)」が広がり、かつての奴隷商人らの銅像が撤去されているイギリス。

その一方で、極右活動家らがBlack Lives Matterに対抗するデモを始めている。

緊張が高まる中、ロンドンでBlack Lives Matterデモ参加者が怪我をした対抗デモの参加者を救出し、英雄的な行為だと賞賛が集まっている。

怪我をした対抗デモ参加者を運び出す、パトリック・ハッチンソンさん
怪我をした対抗デモ参加者を運び出す、パトリック・ハッチンソンさん
REUTERS

アメリカでジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられて亡くなったことを発端にして広がったデモは、約3週間続いている。

この人種差別抗議デモへの対抗デモを、極右活動家らが6月13日にロンドンで開催。銅像や記念碑を守るために対抗デモをしたと主張し、その一部が警察と衝突した。

怪我をした対抗デモの参加者を肩に担いで運び出したのは、パーソナルトレーナーのパトリック・ハッチンソンさんだ。

ハッチンソンさんはBlack Lives Matterデモ参加者たちを暴力から守るため、友人たちとグループを結成してデモに参加していた。

BBCによると、デモの途中に小競り合いが起きて、対抗デモ参加者が階段で倒れて怪我するのをハッチンソンさんは目にした。

ハッチンソンさんはイギリスの公共放送Channel4の取材に対し、現場の多くの人が押し寄せていて、男性の命に危険が及ぶ可能性があったため運び出したと説明した。

「大勢の人が殺到していました。男性を助けようとする人たちがいたのですが、うまくいっていなかった」

「何人かが彼の周りに集まって人の流れを遮断し、これ以上彼の身に身体的な危険が及ばないようにしていました。彼は怪我をしており、命の危険がありました」

「『もしあの場所に居続けたら、彼は助からないだろう』と私は思いました。だから彼を担ぎ上げて肩に乗せ、警察の方に向かいました。男性の周りにいた人たちが、私と私が肩に担いだ男性を囲んで守ってくれました」

「男性を運んでいる間、自分の体に誰かがぶつかったり叩かれたりするのを感じました。私の周りにいた男性たちもおそらく、ぶつかられたり体を叩かれたりしたでしょう」

現場を撮影した写真には、ハッチンソンさんらを守るように取り囲む人たちがうつっている。

Luke Dray via Getty Images

Channel4のインタビューでハッチンソンさんはジョージ・フロイドさんについても触れ、彼が警察官に首を押さえ付けられた時、他の警察官がが助けていたならフロイドさんは死ななくてもすんだだろうと語った。

「ジョージ・フロイドさんが殺された時、周りにいた他の3人の警察官が介入して同僚を止めていれば、ジョージ・フロイドさんは今でも生きていたでしょう」

また男性の救出は自分だけなく、現場で助けの手を差し伸べた全員によるものだ強調した。

「私はたまたま、男性を肩に乗せているところをカメラに捉えられました。だけど周りにいた人たち全員が、彼を助けたのです。彼らが私を助けてくれなかったら、私は人混みの下敷きになっていたでしょう。これはチームワークです」

Luke Dray via Getty Images

怪我をした男性の詳細については明らかになっていない。

ハッチンソンさんは男性を助けた後に自身のInstagramに写真を投稿し「Black Lives Matterは黒人対白人ではない」と訴えた。

Instagram: 「これは黒人vs白人ではなく私たち全員vs人種差別主義者です。私たちはお互いを助け合い、助けが必要な人を私たちは守ります」

ロンドンで13日に行われたデモでは、100人以上の人たちが逮捕され、対抗デモ参加者との衝突で6人の警察官が怪我をした。

ボリスジョンソン首相は、対抗デモの参加者たちを「人種差別的な暴力」と強く非難している。

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。

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