外見にとらわれない「ボディ・ポジティブ」な子供を育てるため、親ができる10の方法

まず自分がお手本になろう。
鏡を見る女の子 イメージ写真
JGI/Jamie Grill via Getty Images
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子供がどんなボディ・イメージを持つかについて、親の姿勢が大きく関わっていることは驚くべきことではないだろう。研究結果 (そしていくつもの個人的なエッセイ )がこのことを裏付けている。

西イングランド大学外見研究所のエイミー・スレーター准教授は、「子供が自分の体についてどのように考えるかは、様々な点で親が大きな影響を与えています。例えば、親が自分の体や外見に対して持っている感情、態度や会話。そして子供の体や外見に対する親の発言が影響します」と述べた。

もちろん他にも重要な社会的要因はあるが、子供が小さな頃から、親は子供にポジティブあるいはネガティブな考えを伝える重要な存在だ。

「子供がポジティブなボディ・イメージを持つように育てることは非常に重要です。なぜなら、ポジティブなボディ・イメージは自尊心を高め、健全な行動をすることに繋がっており、一方でネガティブなイメージは低い自尊心、鬱、摂食障害、成績低下、健全な行動の欠如等、様々なネガティブな結果の要因となるからです」とスレーター氏は説明した。

これらのネガティブな結果が生まれないようにするため、ハフポストUS版はスレーター氏や他の専門家に話を聞いた。取材により明らかになった、子供に健全なボディ・イメージを持たせるために親が日々できる10の方法をここでお伝えする。

1. 体に関してネガティブなことを言わない

「子供は周りの大人が言うことを耳にすることで、自分の体に対してどのように考え、感じるべきかを学びます」と、ノースウェスタン大学の心理学教授、ルネー・エンゲルン氏は述べた。「大人が体に関してネガティブな発言 (不満がある部分についての話 )をしているのを子供が聞くと、子供は今のままの体では十分でないと考えるようになります。大人が他人の体を中傷しているのを耳にすると、子供は鏡を見たときに自分に対して同じような批判をするようになります」

子供が生活する中で、友人や他の大人が体に関してネガティブな発言をするのを聞くことはほぼ避けられない。しかし、家庭でそのようなことを言わないようにすることで、親は子供が耳にしたネガティブなメッセージを打ち消すことができる。

親は子供に対して、また子供のいる前で体重や体型について話すときは慎重になり、批判するような発言は控えるべきだ。そういった発言は、個人の価値が外見によって決まるというメッセージを子供に与えてしまう。

2. 自分の体を批判しない

親は他人の体についてネガティブなことを言うのをやめるべきだが、自分の体についても同様のことが言える。スレーター氏は、親は自分の体や外見に関する態度や考えに意識的になるべきだとアドバイスした。

「自分の体に対してネガティブなことを考えたり、言ったりするのはやめましょう」とスレーター氏は述べており、「私はとても太っている」や「体のサイズのせいで~〜が着れない」等の発言を例として挙げた。

コネチカット大学人間開発・生活科学部の教授であり、食品政策・肥満研究所の副所長でもあるレベッカ・プール氏は、「自分の体重や外見について、子供に対して、そして子供の前でどのように話すかを考えてください」と述べた。

「親として、私たちは様々な体形の人々を尊重する必要があります...これは、自分自身のボディ・イメージに向き合い、自分の体について心地よく感じ、そういった感情を子供たちに対してどう表現するかを気に掛けるということです」

3. 体に関するポジティブなメッセージを伝える

体に関してネガティブなことを言わないことが重要であるのと同様に、それをポジティブな言葉に置き換えることも大切だ。

「私たちは親として、自分と子供に自身に寛容になる必要があります。体形や体の大きさ、外見にかかわらずです」とプール氏は述べた。

全国摂食障害協会の政策・コミュニケーション担当であるジョスリン・スミス氏は、「私はよく娘に、あなたも含めどんな人の体型も素敵なのよ、と伝えています」と語った。

家族がストレッチをする様子 イメージ写真
Hakase_ via Getty Images
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4. 他の価値を強調する

エンゲルン氏は「ボディ・トーク・ゼロ」の家庭環境を持つことを提案した。つまり、子供に自分や他人の外見よりも、ずっと重要な会話があると伝えることだ。

「体に関する話をやめれば、より健全で肯定的で、面白い会話ができるようになります」とエンゲルン氏は述べた。「こうすることで、人は外見ではなく、行動や発言が重要であるというメッセージを子供に伝えることができます」

スレーター氏はこの考えに同意し「良き友人である等、外見に関係のない点を重要視することを促しましょう」と語った。

5. 体の可能性を知る

「外見ではなく、何ができるかという点で体に感謝するよう教えましょう」とスレーター氏は述べた。「体があるからできる全てのすばらしいことに対して自分の体に敬意を払い、大切にすることで子供たちの手本となることができます」

体重や体形について話す代わりに、外見ではなく、体が何ができるか、どう感じるかについて話すべきだ。

「娘が私に『お腹が出てきた』とか、『ママ、太ってる』といったことを言うとき、私は彼女に『そうね』と言います。娘は成長中だからお腹も大きくなるし、私は太っていると自覚している、と」とスミス氏は述べた。「自分が成長し歳を重ね、強くなっていることに気づくのは良いこと。いろんな体型があって、体は常に何かしら変化している。他の人の体ではできないことができる体を持っている人もいる。どの人の体も素晴らしく、価値がある、と娘には伝えています」

6. 健全な行動の手本となる

「子供の食習慣や座ってばかりの生活を心配に思っている親もいるかもしれません。しかし、このような心配を体重や外見に関することとして伝えてしまうと、悪影響を及ぼしたり裏目に出てしまったりすることがあります」とプール氏は説明した。

代わりに、家族全員が健康的な食習慣や運動等を取り入れやすい家庭環境を築けば、子供たちもそれを実践しやすい。

「親はみんな、子供に健康であってほしいと願っていますが、それを実現するためには、親が手本となるべきです」

7. 食べ物や運動についての話を意識する

体重の話をするのではなく、それを避けることで、親は子供に健康的な習慣を取り入れるよう促すことができる。

「柔軟性があり強い体を保つために運動がいかに重要であるかを話してください。そして、運動がストレス解消にもなることを。空腹か満腹か、体の声に耳を傾けるよう教えてください」とエンゲルン氏は語った。「良い食べ物と悪い食べ物があると教えるのではなく、子供が直感的に食べ物を選べるよう教えてください」

親が食べ物、健康、運動についてどう話すかは、体重や体形について直接話すのと同じぐらい子供のボディ・イメージの発達に大きな影響を与える。

「私たちの食習慣や運動習慣は精神的な健康にも影響するので、ポジティブなボディ・イメージを発達させるには、これらの問題を受け入れ、落ち着いた態度を取ることが必要です。例えば、親は子供に様々な種類の食べ物を楽しませ、彼らの自尊心に影響を及ぼすことなく、自分で食べ物に関する選択や行動ができるよう手助けすることができます」と、オーストラリアのラ・トローブ大学で心理学と公衆衛生を研究するローラ・ハート氏は述べた。

「親が体重について言及せず、一緒に体を動かしアクティブであることを楽しむ方法を見つることができれば、子供は生涯にわたって体重について罪悪感や恥じらいを感じることなく、健康的な活動を楽しむことができます」

りんごを食べる親子 イメージ写真
Hill Street Studios via Getty Images
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8. 他人の言動に注意する

家庭で体に関するネガティブな話をやめるだけでは十分ではない。子どもが生活する中で他人が悪影響を与える場面もあるかもしれない。

「体重を批判したり、太っていることを馬鹿にしたりする例を見つけたら、なぜ体のことで人を傷つけるのがいけないことか、また、なぜそれを見逃してはいけないのかを子供に説明してください」とプール氏は述べた。「体重のことをからかったり、他人の体に対するネガティブな発言を自分の家族にさせてはいけません」

9. メディアに気を付ける

家の外で子供たちは、細さや体のたくましさに関する極端な理想を強調するメディアやファッション・ダイエット業界からのメッセージに悩ませられている。

「子供たちが触れているメディアのメッセージについて考えてみてください。どんなメディアに影響を受けていますか?そのメディアは体や外見に関してどのようなメッセージを送っていますか?」とスレーター氏は述べた。「多様な外見を良しとし、単に美しさや外見を意識しているだけではないメディアに触れさせるようにしましょう」

10. 多様性を教える

子供にとって、自分が健全な体型への自尊心を持っている模範となることは、外見に関わらず自身や他人を尊重することも含まれる、とプール氏は述べた。彼女は「多様な体型で成功している人、親切な人、運動が得意な人、野心がある人、才能がある人等を子供に教えてあげてください」とアドバイスした。

こうすることで、様々な外見を受け入れ、多様性を大切にすることを子供に教えることができる。

「他人や自分を批判しない練習をすることは簡単なことではありません。練習が必要です。結局、私たちは様々な体形を認め、受け入れることに慣れていません」とスミス氏は語った。「しかし、私たちがどんな外見でも体に感謝するよう頭を切り替え、子供のために他人や自分を受け入れる模範となるよう努めれば、子供たちがありのままの姿で受け入れられ、同じように人を受け入れることができる、より開放的な世界を作る手助けとなることもできるでしょう」

ハフポストUS版の記事を翻訳、編集しました。