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100年つづく製造業の「ポテンシャルを開放する」 キャディが挑むモノづくり日本の再建

廃れていく町工場を見過ごすわけにいかない
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「『CADDi』を多くの人に届けることは、私にとってある意味使命のようなものなんです」こう語ってくれたのが、キャディ代表取締役の加藤勇志郎さん(28)だ。100年続く、製造業の歪な構造を変え「モノづくり産業のポテンシャルを開放する」。彼らの挑戦の物語に迫ったーー。

30年で町工場の半数が廃業している

2017年11月に創業したキャディ。2018年12月に、累計10億円を超える資金調達を達成するなど、国内で最注目のスタートアップの一つだ。

高い評価を獲得する背景には、180兆円の市場規模を誇る「製造業」に変革をもたらすという期待がある。

挑むのは、100年手つかずのまま取り残されていた、歪な「下請け構造」だ。

「板金の国内加工会社で言えば、従業員9人以下のいわゆる零細企業が8割以上。その多くが自社の売上の大半を1社、2社の顧客に依存している現状があります。そのため、コストカットに転じたとたんに、経営は立ち行かなくなってしまう」

こう語ってくれたのが、キャディ代表取締役の加藤勇志郎さん。事実、こうした町工場はここ30年で半数以上が廃業に追い込まれ、75%が赤字経営に陥っているそうだ。

「優れた技術力を持った町工場はたくさんあります」

ただ、今は十分に技術力を活かせる環境にない、というのが課題だ。

「たとえば、町工場への発注のほとんどは相見積もりによって行なわれています。ただ、8割は失注となってしまうんです。少ない人員の中で夜遅くまで見積もり業務を行ない提出しても、多くは徒労に終わってしまう」

また、得意先からの依頼であれば、得意でない製品を受注することもあるそうだ。

「そうすると、納期の遅延や質の低下、コストの高騰などを招き、お互いにデメリットが生じてしまう」

そして今、こうした構造を変えようとしているのが同社が提供する「CADDi」だ。

独自開発の原価計算アルゴリズムが自動で見積りを行ない、品質・納期・価格が最も合う会社同士をマッチング。町工場は見積もりを行なう必要がなく、黒字を保証されたカタチで発注を受けることができる。

「CADDiは、ただ見積もりを効率化するだけが目的ではありません。それぞれが本当に強みを持った分野で、技術を最大に発揮できるようにしていく」

彼らの志、挑戦を追ったーー。

2017年11月リリースされた、品質・納期・価格が最も適合する会社とのマッチングを可能にする金属加工品の受発注プラットフォーム。発注側が、3D CADデータをアップロードし、数量や材質、塗装などのパラメータを指定すれば、価格と納期が約7秒で算出・表示される。受注側である町工場においては、独自で設定した数百のカテゴリでどこに強みがあるのかを精緻に判断。強みのある分野で発注が受けられる仕組みもある。受注側はもちろん、発注側としても安定して希望通りの加工品を手に入れることができるメリットがある。リリースからわずか1年強で、すでにサービスの利用社数は3,500社、提携する町工場は150社を超えた。
2017年11月リリースされた、品質・納期・価格が最も適合する会社とのマッチングを可能にする金属加工品の受発注プラットフォーム。発注側が、3D CADデータをアップロードし、数量や材質、塗装などのパラメータを指定すれば、価格と納期が約7秒で算出・表示される。受注側である町工場においては、独自で設定した数百のカテゴリでどこに強みがあるのかを精緻に判断。強みのある分野で発注が受けられる仕組みもある。受注側はもちろん、発注側としても安定して希望通りの加工品を手に入れることができるメリットがある。リリースからわずか1年強で、すでにサービスの利用社数は3,500社、提携する町工場は150社を超えた。
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東京大学卒業後、外資系コンサルティングファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に入社。入社2年で、マネージャーに昇進(当時同社史上最年少)。製造業メーカーに対し、購買・調達改革をサポートする。Appleアメリカ本社でシニアエンジニアを努めていた小橋昭文さん(キャディCTO)とともに、2017年11月にキャディを創業。
東京大学卒業後、外資系コンサルティングファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」に入社。入社2年で、マネージャーに昇進(当時同社史上最年少)。製造業メーカーに対し、購買・調達改革をサポートする。Appleアメリカ本社でシニアエンジニアを努めていた小橋昭文さん(キャディCTO)とともに、2017年11月にキャディを創業。
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廃れていく町工場を見過ごすわけにいかない

「CADDiというサービスをより多くの人へ届けていく」

加藤さんにとって、ある種の使命感があるという。

「忘れもしないですね。じつは半年ほど取引をしていた企業さまが倒産してしまったんです。30人くらいの関西の会社だったのですが、もともと8割から9割の仕事が大手からの受注に依存していた。そのほとんどが赤字だった。キャディが入ることで売上の2割くらいは黒字にはできたけど、遅かった。銀行に融資を断られ、最終的には消費者金融で借り入れをしたと聞きました」

会社を畳む社長に言われた言葉が今も忘れられないという。

『2年前に来てくれていたら、こんな風にならなかったかもしれない』

加藤さんはこう続けてくれた。

「今こうしている間にも、従来の業界構造によって倒産の危機に追いやられてしまう企業がたくさんある。私たちは、そのしがらみによって本来企業が持っている強みにフォーカスできず、可能性(ポテンシャル)を発揮できていない業界の歪さをフラットにリバランスすることを目指します。それは一方的に” 業界を変革したい! ”ということではなく、業界を良くしていきたいと志を同じにするプレイヤーみんなで日本のモノづくりを再建するということ。それをけん引していくことが、私たちに課せられた”使命”だと思うんです」

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そして今、多くの町工場がCADDiによって変わりつつある。

「2018年3月ごろから利用いただいている企業さまでは、先日5000万円の新しい設備の導入をしようと思っていると連絡がありました。従業員は5人ほどで、売上高は年間5000万円ほどの規模。CADDiを使うことで、未来への投資ができるようになった」

「CADDiなら、新しい設備を導入することでどれだけの発注が出せるかということを、あらかじめ提示することができる。安定して受注できる目処が立ち、銀行などの融資も受けやすくなることもあります」

町工場の経営者、働く人たちにとって、CADDiは「希望」だと言えるかもしれない。

「以前、テレビ番組の取材でキャディについて『板金業界の救世主ですね』と言っていただいたことがありました。また、『キャディがいなかったら今つぶれていた」とおっしゃる企業さまもいて。まだまだ微力かもしれない。でも、少しでもこうして役に立てたと感じられることは、素直にうれしいですよね」

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2021年、アジアNo.1の加工品取扱量へ

そして今、キャディにはコンサル、メーカー、商社…あらゆる業界からメンバーが集まっている。出身企業としても、マッキンゼー、Apple、三菱商事といった名前が並ぶ。

こうした人たちに共通するのが、課題解決に対するアグレッシブな姿勢だ。

「キャディのメンバーは、チャレンジ意欲が高い人ばかりなんです。課題が大きければ大きいほど燃えるし、絶対に解き切りたいと思っている。まだまだスタートアップフェーズ、ビジネスとしても組織としても解決しなければいかない課題は山積みです。新しく迎えるメンバーにも、この難題を楽しんでもらいたいですね」

そして最後に伺えたのが、キャディが描く未来について。

「企業も人も、ポテンシャルがありながら、環境のせいで能力が発揮できない社会はすごくもったいない。特に製造業はこういった課題は大きいと思っています。技術力がありながら、つぶれていったり、縮小していく町工場をなくしていきたい。その先に、彼らが世界で技術力を発揮できる環境もつくっていきたいと思っています。そのためにまずは、2021年の、アジアNo.1の加工品取扱量を誇るサービスを目指していきたいですね」

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