声を文字にするマスク?ニューノーマルをサポートする「C-FACE」が期間限定で販売

通話は話した内容を少し離れた場所のスマホで再生する、トランシーバー的な機能。密閉空間の会議室などで、声を大きくしなくてもコミュニケーションできるというものになります。
声を文字にする「スマートマスク」
声を文字にする「スマートマスク」
Engadget日本版

新型コロナ禍での新しい生活様式をサポートするスマートマスク「C-FACE」が8月13日、Makuakeにて販売開始されました。

このスマートマスクを開発した日本のスタートアップ企業donut robotics(ドーナッツ ロボティクス)社の小野泰助社長にお話をうかがいましたので、その模様をお伝えします。

スマートマスク「C-FACE」
スマートマスク「C-FACE」
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■スマートマスク「C-FACE」とは

スマートマスク「C-FACE」は、マスクの上から取り付けるコンピューター。マイクとBluetooth通信装置を内蔵しており、スマホと連携してマスク越しでの会話を手助けします。

Makuakeでの価格は4378円。2個同時購入で5%挽きの7562円となるなど、割引も用意されています。販売期間は10月29日まで。

C-FACE自体に衛生用品のマスクとしての機能はなく、不織布マスクや布マスクの上に装着して利用します。マスクに触れる部分はシリコーン製で、マスクの側面に機器を集約。重さ約130gに抑えられ、負担なく使えるようになっています。

スマートマスク「C-FACE」
スマートマスク「C-FACE」
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スマートマスク「C-FACE」
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発売時点では「通話」「チャット」「翻訳」「議事録」といった機能が利用可能です。

通話は話した内容を少し離れた場所のスマホで再生する、いわばトランシーバー的な機能。密閉空間の会議室などで、声を大きくしなくてもコミュニケーションできるというものになります。

さらに、話した内容を音声認識で文字化することも可能。それが「チャット」「翻訳」「議事録」で、チャット機能では会話の内容が逐次テキストとして表示されます。翻訳機能では8か国の言語に対応し、話した内容を双方向で翻訳してくれます。

診療や会議など、マスクをつけた状態での会話をサポートする機能が盛り込まれています
診療や会議など、マスクをつけた状態での会話をサポートする機能が盛り込まれています
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話した内容のテキスト化や翻訳といった機能はスマホ単体でもできますし、珍しい機能というわけでもありません。ただ、マスクにこの機能を組み込むことで、声が小さくてもコミュニケーションが取りやすいというメリットがあります。

C-FACEは今冬の発売後も機能が拡充される方針で、ビデオ会議機能の搭載も予定されています。なお、テキスト化や翻訳やビデオ通話といった機能は、月額100円から1000円前後の有料オプションとなる見込みです。

■ロボット開発のノウハウを素早く横展開

C-FACEを開発したdonut robotics社は2016年に福岡で創業したスタートアップ企業。中心的な開発メンバーは小野社長を含めて3人という小さな会社です。

▲ドーナッツ ロボティクス 小野泰助社長
▲ドーナッツ ロボティクス 小野泰助社長
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donut robotics社はスマートマスクという新分野の製品を6月末までのわずか2か月という短期集中でプロトタイプ開発まで進めてきました。スピード開発を実現できた理由は手がけてきたロボット開発のノウハウを上手く応用できたことにあったと、小野社長は語ります。

小野社長は「マスク」についてのアイデアはコロナ禍以前から着想を温めていました。小野社長が面接した開発メンバーの1人は「筋電センサー付きのマスクで音声認識をする」という研究を東京大学で行っていました。C-FACEはこの筋電マスクにインスピレーションを得て開発されてされたといいます。

C-FACE
C-FACE
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ただし、C-FACEには筋電マスクではなく、一般的なAIによる音声認識や翻訳といった技術が使われています。その背景には同社がロボット開発に携わった経験がありました。

ドーナッツ社は2018年、翻訳機能付きガイドロボット「cinnamon(シナモン)」を開発し、羽田空港に納入しています。この翻訳ロボットの機能をそのままスマートマスクに応用したことで、開発期間の短縮につながりました。音声のテキスト化や翻訳に使うエンジンを選定するノウハウや、マイクなどのハードウェアの設計に関するノウハウをもっていたため、それをマスクに横展開したのです。

▲接客応対ロボット「cinnamon」
▲接客応対ロボット「cinnamon」
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■第二弾の製品も展開予定

C-FACEは今冬、まずはMakuake向けの出荷を開始。一般発売は2021年春以降となる予定です。日本国外ではすでに世界の25か国から引き合いがあり、世界に幅広く展開して、新しい生活様式の中でのサービス拡大を狙います。

小野社長はインタビューの中で次期スマートマスク製品の展開を予定していることも明らかにしました。C-FACEシリーズの展開を通して小野社長が目指しているのは「スマホの次のコミュニケーションデバイス」の確立です。また小野社長は、第二弾のスマートマスクが視覚的なコミュニケーションをより重視した製品となるとも予告しました。

2020年8月13日Engadget 日本版「声を文字にする「スマートマスク」、Makuakeで販売開始」より転載

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