「35センチ以上の犬は禁止、自身で処置しろ」北京市の通知が話題に。その真相は?

警察は、安楽死については「求めていない」と否定している。

「体高が35センチを超える犬は飼育してならない」などとする中国・北京市の通知が、現地や日本のネットで話題を呼んでいる。

3日以内に“自身で処置”しろとの文言が「残忍だ」などとの批判を受けているほか、飼い主たちが愛犬を“国外脱出”される動きもあるという。

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Reuters

■“自身で処置”

北京有力紙「新京報」によると、発端となったのはウェイボーの投稿。現地の歌手が12月18日に、北京市・通州地区の警察当局が出した通知の貼り紙をアップした。

貼り紙には「地区内では体高35センチ以上の大型犬は飼育が禁止されているため、3日以内に飼い主が“自身で処置”すること」「3日後に検査が行われ、犬がいた場合には没収し、飼い主にも処罰が下される」などの文言が書かれていた。

なお、この投稿はすでに削除されている。

この貼り紙については、台湾の政党「台湾緑党(Green Party)」も公式フェイスブックで言及「愛犬を自らの手で殺したくない飼い主によって、動物病院では安楽死が相次いでいる」などと投稿した。

また、日本のTwitterでも「残忍だ」などと話題になっている。

■なぜ通知は出されたのか

なぜこのような通知が出されるに至ったのか。新京報台湾メディアが経緯を報じている。

それによると、11月頃から、警察に苦情の電話が寄せられるようになったのがきっかけだという。通州地区の場合は、2006年に施行された規定に基づき、もともと大型犬を飼うことが認められていない。

しかし、規定を無視して犬を飼う住民が増えたほか、放し飼いにしたり、フンを放置したりといったマナー違反が相次いでいたという。

警察は11月に地区を訪問し、認められた地区で飼育するよう指導したが、状況に変化が見られなかったため通知に踏み切ったという。

また、台湾の政党も言及した「安楽死」については「そのようなことは求めていない」と否定している。当初通告した3日という期限についても、すでに延長したとしている。

■国外脱出キャンペーンも

とはいえ、愛犬家たちにとってショックは大きかったようだ。台湾メディアによると、すでにネットで「国外脱出」への手助けを募るキャンペーンが始まった。

キャンペーンのページによると、北京の飼い主がボランティアに犬を預け、犬と共に渡航したボランティアは、現地の空港で保護団体の職員に犬を引き渡す、という内容だ。

北京からアメリカのロサンゼルスとサンフランシスコへ渡航する予定がある人に、ボランティアとしての参加を呼びかけている。

犬を飛行機に搭乗させる手続きは中国国内の動物愛護者が請け負う。「一切の費用や、ご面倒はおかけしません。すでに多くの犬たちがアメリカで新しい家族に迎えられています」と呼びかけている。

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