「同性婚を認めて」中国の民法改正めぐり要望続出。SNSで異例の盛り上がり、歴史を変えるか?

伝統的に同性愛に厳しい文化の中国で、歴史が変わる可能性はあるか?現地のLGBTQ事情に詳しいジャーナリストはこう答えた。

中国の国会に相当する全国人民代表大会(全人代)が、民法の婚姻に関する規定について国民から意見を募集したところ、同性婚を認めるよう求める声が多く寄せられていたことが分かった。

中国は、台湾で5月に同性婚が認められた際に「追随しない」と表明していたが、多様な家族の形を認める声の高まりが示された格好だ。

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■異例の盛り上がり

これは、全人代の法制工作委員会が12月20日に開かれた記者会見で発表した。委員会では、民法などの改正案審議を進めているが、その過程で10月から11月にかけてネットを通じて国民に意見を募集したところ、あわせて24万件以上のコメントが寄せられた。

北京有力紙・新京報などによると、詳しい内訳は明らかになっていないが、離婚手続きのできる機関の見直しなどのほか、同性婚を認める規定を盛り込むよう求める声も多く寄せられたという。

新京報がこのニュースをウェイボーに投稿すると、23日時点で190万以上の「いいね」を集める異例の盛り上がりを見せた。

寄せられた11万件のコメントを見ると、「あなたが同性愛者と交際しないのは自由だが、他人の権利に干渉しないでいただきたい」「なんということだ、やっと重視される日が来た」などと多様な恋愛の形を支持する声が上位に上がっている。

■高まるLGBTの声

中国では、ネット空間を中心にLGBTQの人たちが声を上げるケースが増えている。2018年には、まさに今回盛り上がりを見せたウェイボーが「同性愛コンテンツを削除する」と決定「#我也是同性恋(私も同性愛者だ)」とハッシュタグをつけた抗議の投稿が相次ぎ、ウェイボーは撤回を余儀なくされた。

この騒ぎの最中に、共産党機関紙「人民日報」が掲載したのが「同性愛は精神病ではない」という文章だ。

この文章では、世界保健機関(WHO)に遅れること11年、2001年に中国国内でも同性愛が「精神障害」の項目から削除されたことに触れている。その上で「同性愛を差別せず、権益を保障することは現代社会の基本原則だ」とまで言及している。

■「偽装結婚をするケースも...」

とはいえ、中国でこのまま同性婚が認められるかといえば簡単ではなさそうだ。台湾では5月に同性婚を認める特別法が成立したが、中国側は8月、台湾に「追随しない」と言明している

中国のLGBTQの実態に詳しいジャーナリストの周来友さんは、ハフポスト日本版の取材に対し「中国では同性愛に対する視線は未だに厳しく、地方によっては精神病院に連れていかれるというケースもあった。親を安心させるために異性のパートナーと偽装結婚をする人もいる」と現状を明かす。

その上で、今後については「台湾でも同性婚が認められ、中国は比較される立場になった。とはいえ、伝統的に同性愛を認めない文化もあり、合法化にはまだまだ時間がかかるだろう。今後は、他の国の動向次第で、動かざるを得なくなる可能性はある」と話している。

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