彗星表面に大量の酸素分子を発見、太陽系形成の常識を覆すかも?

通常、彗星に酸素はないと考えられてきたことから、太陽系の形成に関する常識を覆す可能性も指摘しています。

米ミシガン大学およびスイス・ベルン大学の研究者が、欧州宇宙機関(ESA)の彗星探査機ロゼッタの観測データから 67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星 の周囲に大量の酸素分子の存在を発見したと発表しました。通常、このような彗星に酸素はないと考えられてきたことから、太陽系の形成に関する常識を覆す可能性も指摘しています。 スイス・ベルン大学の研究者 Kathrin Altwegg は彗星探査機ロゼッタが観測したチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星周囲のガスから発見した多量の酸素分子に「そこにあるとは思っていなかったので非常に驚いている」とコメントしました。

酸素は一般に他の元素と反応しやすいため、その多くは一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)、そして水(H2O)となります。しかし、純粋な酸素分子(O2)としてはなかなか発見することができません。

これまでは原始の太陽系において酸素分子や水が一時的に存在したとしても、惑星が形成される過酷な条件下ではそのまま存在しつづけることはできなかったと考えられてきました。

ところが今回発見された酸素分子は、彗星が形成された数十億年の昔からそこにあったと推測されます。つまり、初期の太陽系はこれまで思われていたような天体どうしの接触や高温に晒されたりといった環境よりももう少し緩やかかつ穏やかだったかも知れないわけです。

また、地球外生命の探索においても、これまでは原始生物が排出する酸素とメタンの存在が重要な手がかりとされてきました。ところが酸素分子が原始太陽系の時代から存在し続けているとすれば、それを生命存在の根拠とするのも難しくなるかもしれません。

ちなみに、8月13日に太陽に最接近した 67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星 は、現在は太陽から遠ざかる方向へと進んでいます。また彗星表面に着陸したあと行方不明となっていた着陸機フィラエは、6月13日に一時的に通信を回復。7月10日にも再び通信可能となり基調なデータ収集に貢献しました。一方、探査機ロゼッタはミッション期間を延長し、2016年9月まで67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測を続けることになっています。

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