「モオオ〜〜〜」という鳴き声で、牛は感情を表現していた。新研究で明らかに

「まるで牛のGoogle翻訳を作っているよう」という評価の声も

牛が「モォォ〜」と鳴いた時、我々は耳を傾けるべきかもしれない。

牛たちはそれぞれ声に特徴を持っており、その特徴を状況によって使い分け、感情を表していると、学術誌「サイエンティフィック・リポーツ」で研究者たちが発表した。

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群れを作って生きる牛たちが、社会性を持った動物であることはよく知られている。ただ、研究によると、牛たちの声によるコミュニケーションを調べた正式な研究は、これまでは母牛と子牛の間のものに限られていたという。

今回の研究は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の牧場で放し飼いにされている若いホルスタインの牛の群れを対象にして行われた。

研究者たちは5カ月にわたって、18頭の牛の声を録音。そのうち13頭の333回の声を分析した。

研究者たちは、ポジティブな状況(発情期や食事時)とネガティブな状況(食事を与えられない、仲間から隔離されるなど)に置かれた時の声をそれぞれ調べた。

その結果、牛たちがそれぞれのユニークな声の特徴を持っていること、そしてその特徴を嬉しい時や悲しい時など、異なる状況で出していることがわかった。

「牛たち一頭一頭の声は、それぞれ区別できるものでした。しかしそれだけではなく、彼らは声の特色を、異なる状況下でも使っていたのです」と研究者の一人で、シドニー大学の博士課程で学ぶアレクサンドラ・グリーン氏はオンラインマガジン「アトラス・オブスキュラ」に話す。

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この結果は、グリーン氏らにとって必ずしも驚くものではなかったという。

同氏はシドニー大学のウェブサイトで、「牛は社交的な性格を持った、社会的な動物です。ある意味では(研究結果は)驚くものではありません。牛たちはそれぞれのアイデンティティを、母と子の間だけではなく、群れの中で生きていく中でずっと主張しています」と説明する。

同大学のキャメロン・クラーク准教授は研究について「牛のGoogle翻訳を作っているようなもので、とても興味深い」と高く評価する。

グリーン氏らは、牛たちが声を使ってコミュニケーションをとっていることを、特に酪農業に携わる人たちに知ってもらいたいと願っている。

「牛たちの声の使い方について知ることで、農場の経営者たちに牛たちの心の状態に注意を払ってもらい、そして牛たちの生育環境が向上されることを私たちは願っています」

ハフポストUS版の記事を翻訳しました。

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