PRESENTED BY クラウドクレジット

どんな経済危機でも生きていく。山一證券の経営破綻、リーマンショックを経て起業した2人のキーパーソン

クラウドクレジットの杉山氏と、ソニーフィナンシャルベンチャーズ石井氏が対談
(左から)ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長・石井茂氏、クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長・杉山智行氏
(左から)ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長・石井茂氏、クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長・杉山智行氏
宮下マキ/HuffPost

「新プロジェクトを応援したい」「成長を後押ししたい」――そんな理由から、クラウドファンディングに興味を持つ人が増えてきた。

1万円から世界に貢献する投資「クラウドクレジット」は、貸付型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)という仕組みを使って、さまざまな国への投資機会が得られるサービスだ。

資産運用の中でも、ファンドの利回りが年利約 2.5%~13.5%と高いことが特徴で、個人投資家から注目を集めている。

同サービスを提供するクラウドクレジット株式会社は、2018年11月にソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社の参加するSFV・GB投資事業有限責任組合(以下、「SFV・GBファンド」)など複数社から出資を受け、「日本の個人投資家と世界の信用市場をつなぐ」というミッションを加速させている最中だ。

今回ハフポストは、ソニー銀行を立ち上げ、現在はソニーの金融グループを率いるとともに、その傘下でベンチャーキャピタル事業を行うソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社の代表取締役社長も務める石井茂氏、そして、ソーシャルレンディングのプラットフォームを提供するクラウドクレジット株式会社の代表取締役社長・杉山智行氏に話を聞いた。

実は二人とも、歴史に刻まれた世界的経済危機を経験してきた。どんな大企業で働いていようとも、突然身に降りかかるかもしれない経済危機。そんなときどうしたのか。

大変さを知らないから飛び込めた。起業は巻き込み力

―――お二人とも創業者ですが、起業するに至った経緯を教えてください。

石井:私は前職が山一證券です。ご存じの通り、山一證券は1997年11月に自主廃業しました。その後、ソニーへ入社しましたが、ちょうどインターネットが盛んになり始めた時期で、ソニーはコンテンツ事業に力を入れていました。そこで「金融」をインターネット上のコンテンツとして捉え、これに注力していこうということになり、2001年にソニー銀行を設立するに至りました。

ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 石井茂氏
ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長 石井茂氏
宮下マキ/HuffPost

―――当時のソニーからすれば全くの異業種ですよね。

石井:そうですね。銀行を作るには当然、多額の資本が必要になります。当初、それだけの金額を、R&D(研究・開発)ではなく畑違いの銀行に使うことについて理解を得るのはなかなか難しかったです。

ただ、銀行を営む上でソニーの信用を使えたのは非常にありがたかった。ソニーだからこそ実現できる面白い、そしてワクワクする銀行を作ることができるのではと感じていました。

杉山: 私は起業する前、ロイズ銀行という、イギリスのメガバンクにリーマンショック直前に入社しました。ロイズ銀行は中小企業や個人を主な顧客とするいわゆるリテール銀行でしたが、私はその中で銀行の余裕資金の運用や、本業から生まれる資金や為替のポジションの管理を担当しました。

入社して、ほどなくしてリーマンショックが起きました。一般に思われているのとは異なり2009年の中頃にもなるとイギリスの市中経済の活力は回復して資金需要も旺盛だったのですが、ロイズ銀行は日本の銀行ほど預金がなかったため、自分たちでもっと多くの預金を集める施策を考える必要がありました。

ネット銀行を日本で設立する構想も出ました。その構想は、ロイズ銀行を介して、日本の預金者のお金をイギリスの資金需要者の方に融資するというもので、日本とイギリスを繋ぐ極めて魅力的なプロジェクトでしたが、途中で断念せざるを得なくなってしまいました。それならば自分で「世界を繋ぐ金融」をやってやろうと思い、2013年にクラウドクレジットを立ち上げました。

クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長 杉山智行氏
クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長 杉山智行氏
宮下マキ/HuffPost

知らないから挑戦できた。アイデアだけでは事業は進まない

―――最初から今の事業形態で?

杉山:現在、クラウドクレジットは、個人の投資家からクラウドファンディングで集めた資金を世界の企業に融資していますが、実は元々は銀行を作ろうとしていたんです。日本で預金を集め、世界中に貸すというネット銀行です。でも試算したら創業期に資本金が最低100億円は必要だと分かり、石井社長のように創業期に300億円を集めることは自分には無理だと思い一度起業を諦めかけました。

その後、クラウドファンディングという仕組みを知ったんです。この仕組みを使えば、預金を元本保証するために求められている100億円の資本金が不要になり、創業時の必要資本金はせいぜい1~2億円になる。これならば挑戦できるぞと。

クラウドファンディング事業を行っていると、世界の中でも新興国の成長企業の資金需要が非常に強く、その市場規模がぐんぐん拡大していることにすぐ気づきました。一方で新興国の中小企業への貸付は当然リスクも高くなります。そのため、銀行よりもクラウドファンディングという仕組みの方がリーチできる人口は潜在的には多く、当社の場合は銀行ではなくクラウドファンディング事業を行うことにしてよかったと思っています。

創業の前後はてんやわんやでした。事業モデルが固まったと満を持して会社に退職届を提出したら、金融商品取引業登録をとるにはだいたい1年くらいかかると知りまして(笑)。振り返ってみれば、大変さを分かっていなかったからこそ起業できたと思います。

(左から)クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長・杉山智行氏、ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長・石井茂氏
(左から)クラウドクレジット株式会社 代表取締役社長・杉山智行氏、ソニーフィナンシャルベンチャーズ株式会社 代表取締役社長・石井茂氏
宮下マキ/HuffPost

石井:勇気がありますよね。私が起業できたのはソニー内部にサポートしてくれる人がいたからです。起業は結局のところ、巻き込み力です。一人だけでなし得ないわけですから、いかにアイデアやパッションをもとに多くの人を巻き込み、賛同してもらい、話に乗ってもらうか。これに尽きると思います。

―――ソニーフィナンシャルベンチャーズが参加するSFV・GBファンドはクラウドクレジットに出資されていますよね。決め手はなんだったのでしょうか?

石井:SFV・GBファンドの投資判断はGP(無限責任組合員)であるグローバル・ブレインが行いますが、当社としてはクラウドクレジットさんのビジネスモデルと人に魅力があると考えています。杉山さんがおっしゃる通り、合理的に考えてお金は余っているところから足りないところへ行くのが自然な流れです。お金を持っている人で投資をしたいと思っている人はたくさんいます。ただ、そうは言っても投資するには最低限の審査が必要になります。

国が違えば、お金を持ち逃げされるリスクも大きくなります。だからこそ、きちんとした審査体制でそのリスクをカバーしているビジネスモデルが必要でした。しかし、いいビジネスモデルがあってもチームがバラバラだと、そもそも形になりません。ビジネスと人を総合的に見てクラウドクレジットさんのサービスは魅力的だと考えています。

―――ソニーフィナンシャルグループでもクラウドファンディングを扱っていますよね。

石井:ソニー銀行が、2017年から投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」を始めています。世間の人々の知識は広がっていますから、投資先企業の情報を全てオープンにすることで情報格差をなくせば、お客さまに投資の決定権を委ねることが可能になります。

私たちはお客さまが賢いことを知っています。きちんと十分な情報を提供すれば分かっていただける。ソニー銀行はもともと、人に言われてやるのではなく、自身で考えて実行する、自立した個人のための資産運用銀行を目指してスタートしたのです。

何が起きても、結局いらないものが剥がれていくだけ

―――これからの金融業界で求められるビジネスパーソンはどのような人でしょうか?

石井:求められる人材は今も昔も変わっていません。自分できちんと仕事を見つけてやっていく人は、どの業界でもやっていけます。それは課題発見力であり、課題発見後の巻き込み力です。もう一つは、自分にないものをきちんと把握していて、それを素直に言える人です。金融は基本的に組織で動いていくので、組織でしっかりと活躍できる人が求められています。

杉山:実は私も全く同じことを常々メンバーと話しています。まずバリバリ働いて圧倒的な結果をだして組織に突破口を提供する人がいる。どんなに優秀な人でも得手不得手があるため、メンバー同士がそれを分析してカバーし合い、チームとしては不得意な分野を可能な限り小さくすることが大事です。

あとは月並みですが、やはりこれからは英語力がさらに必須になると思っています。たった一つの言語を学ぶだけで世界中のビジネスパーソンとコミュニケーションがとれる時代になってきているので、英語は必ずやっておいたほうがいいと思います。

宮下マキ/HuffPost

―――もし今後、リーマンショックのような大きな変動が起きたら、お二人ならどう立ち向かいますか?

石井:ビジネスという観点で言うならば、ニーズがあるところでビジネスを展開すればいいので特に心配はしていません。結局のところ、仮に経済危機が起きても、いらないものから剥がれていくのです。重要なのはコアなものをしっかり提供し続けることです。

あとは、金融というのは「道具」であると考えています。道具を上手く使う術(すべ)を知っていたほうがいいことは今も昔も変わりません。

自分の夢を実現するにはお金が必要で、そのための準備も大事ですが、日本はお金に対する意識が両極端に分かれています。「お金は汚い」という世界と「儲けてなんぼ」という世界です。そして、どちらもお金に振り回されているという一点において共通しています。何か起きた時に乗り越えるためには、お金を道具としてとらえて、その使い方を知ることが重要だと考えています。

宮下マキ/HuffPost

杉山:まず、クラウドクレジットという会社はソニーフィナンシャルグループさんと異なり、まだリーマンショックのような経済状況を経験していません。その中で、石井社長の「必要なものは残る」というお言葉は今ずっしりきました。

リーマンショックの時、私はロイズ銀行にいましたが、ロイズ銀行が提供していた海外送金サービスは実需に根差していたため、円高で送金規模は大きくなりました。金融市場が大パニックで世の中は不況という中、売上は逆に上がりました。

当社の日本のお客さまは全員投資家の方であり、お客さまからみた当社は資産運用会社です。これまで5年近く運営をしてきて、ここ最近はお客さまの平均リターンは順調に6~7%程度で推移しています。

しかし、今後リーマンショックのようなものが起きたら、単年ベースだとファンドのパフォーマンスが厳しいときが来るかもしれない。それでも当社を通じて5年、10年またはそれ以上と投資を続ける価値があるとお客さまに感じていただけるか。それが一つの勝負になってくると思います。

そこを乗り越えられたら、クラウドクレジットというサービスは一層早いスピードでより多くの方に利用して頂けるのではないかと思います。そういうときこそ、社会にとって必要なものかどうかを試されるときなのでしょうね。

宮下マキ/HuffPost

(写真:宮下マキ 文:西本美沙 編集:川崎絵美)

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