2019年03月04日 12時02分 JST | 更新 2019年07月16日 10時53分 JST

普及期に入った?DELLが、中小企業の「働き方改革」や「BCP対策」にクラウド活用をお薦めする理由

中小企業を取り巻く人材不足などの諸問題に対応

世界的なPCメーカー、デル株式会社 広域営業統括本部プレゼンツの同社上席執行役員の清水博さんによるブログが連載中です。第12弾は、DELLのクラウドサービスを従業員100名未満の中小企業のお客様に拡大することの概要についてです。 

クラウドが登場してから

「クラウド・コンピューティング」、短縮して「クラウド」とは、今は一般的な言葉となりましたが、その発祥は2006年8月、グーグルの最高経営責任者のエリック・シュミット氏が、「雲(クラウド)のような、巨大なインターネットにアクセスすれば、その利益、恵みの雨を受けられる時代になっています」というスピーチから始まりました。
もう13年前のことです。確かに、ぼんやり覚えている13年前の自分の携帯電話を思い出すと、今と全く異なることを感じます。スマートフォンなどまだありませんので、現在のように、暇があると無意識にスマートフォンを触ってSNSを見たり、訪問先の地図を見て行き方をシミュレートしてみたり、電子書籍を見たりすることは出来なかったはずです。その頃の自分はどうやって待ち合わせの時間をつぶしていたのかは、思い出せません。かすかに思い出すのは、何処に行くにも文庫本や新書を持っていたように思います。知らず知らずの内に、個人としても、情報アクセスは革命的に変化してきているのを感じます。自分の生活でさえ、「クラウド」が無い時代を想像したくないほど、その便利さに甘んじています。

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本が30冊出てから

IT分野では、新しい技術をどのタイミングで自社に導入するかはとても頭を悩ますことです。先行者利益はわかっているものの、初期の導入の手間はかかります。しかし、同業他社の中ではバスに乗り遅れたくなく、極端には導入は遅らせたくない。「早くも無く、遅くも無い」ことは、私たちが日常で取りがちな行動です。
IT業界では、「その本のタイトルが30冊出たら購入するタイミングだ!」とよく言われています。クラウド関連の本は、本屋さんでは多く見かけます。一体何冊ほど出ているのでしょうか?
『ITにお金を使うのは、もうおやめなさい』で有名な著述家のニコラス・G・カーの『クラウド化する世界~ビジネスモデル構築の大転換』が日本国内では初期の「クラウド」関係本です。2008年のことです。確かに今読み直すと、時代の変化を予見していて怖いくらいです。その後、10冊目は2009年の1月の下旬です。わずか1年4カ月後のことです。26冊目で「今さら聞けないクラウドの常識・非常識」城田 真琴著が出版されています。30冊目は、2009年11月でした。この2009年の国内クラウドサービスの市場規模は、他のIT市場が低迷する中で、クラウドサービスのビジネスの急激な市場拡大が伝えられた年でした。2010年前後が大きな転換期だったと言えます。しかし、それから10年経っているのです。皆様の実感はいかがでしょうか?

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 普及期に突入?

DELL広域営業統括本部は、従業員100名以上1000名未満の大・中堅企業のお客様を担当する部門ですが、毎年お客様のIT投資動向調査を実施しています。(今年度版は、こちら)その中で、クラウドは大きな関心事なのですが、今までの導入ユーザーは15%前後で推移していました。新しい技術に慎重な状況がうかがえます。この調査では、主にIaaSにフォーカスしています。IaaS とは、ITの稼働に必要な仮想サーバーをはじめとしたハードウェア機材や、ネットワークなどのインフラ、増大化するデータを拡大するストレージ等を、インターネット上のサービスとして利用する形態です。
しかし、今年になって調査結果を見ると、飛躍的にクラウドを利用する割合が増えてきたことがわかりました。クラウドの利用経験が20%を超えたのです。キャズム理論は、いろいろな意見があって必ずしも全てのプロダクトやサービスには適合しないとも言われています。しかし、このように普及・流行していくプロセスを、小学校のクラスで考えてみると面白いです。

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イノベーター理論は、1962年にスタンフォード大学教授のエベレット・M・ロジャースによって提唱された、イノベーションの普及に関する理論で、購入者を5つのグループへと分類したものです。第一段階は、イノベーター(革新者)の2.5%です。現在の小学校の標準クラスは、40人なので、40人×2.5%で、ちょうど1人です。どのようなクラスでも、圧倒的に優秀な子や、特定分野で特別な才能を持っている人がいたりして、何か変わったものを持っていたりしたことはあると思います。しかし、一人だけなので、自分自身はそれほど影響を受けないものではないかと思います。
次の段階は、アーリーアダプターと呼ばれる、初期採用者です。13.5%存在します。40人クラスでは、5人に相当します。クラスに5人位は、いつもトレンドに敏感で新しいもの好きなオシャレなクラスメイトがいたかと思います。とても影響力がある「オピニオンリーダー」や「インフルエンサー」と呼ばれる人達です。この頃には、そろそろ自分も欲しくなりますが、そわそわするだけで、何も行動を起こせなかったりするのではないでしょうか?
その次に来るのは、アーリーマジョリティと呼ばれる前期追従者で、このゾーンに移る溝(キャズム)を超えると普及期と言われます。成長期において様々な制約条件に負けて溝(キャズム)に落ちて消えていくという現象を捉え、キャズムを乗り越えると本格普及だとしているマーケティング理論です。著書「キャズム」(原題Crossing the Chasm)の中で、ジェフリー・ムーアが提唱したものです。
今回、私たちの調査では、クラウドの利用が20%を超えました。このアーリーマジョリティと呼ばれる前期追従者のゾーンです。クラスには、よく話をする比較的仲の良い友達の4~5人にいたりしますが、その中の一人が新しいものを持っていたりすると、近くで見ることが出来たり、触ったりさせてもらって、強烈に欲しくなったりしたのではないでしょうか?身近な人からの使用感覚の意見なども聞けることにより、購買意欲がどんどん高まります。家にすぐ帰ってお母さんにおねだりしたくなる状況です。20%を超えてくるこの段階は、やはり普及期の入り口に入ってきているのではということが体感できます。
アリババクラウドは、IaaS型クラウドサービスにおいて世界第3位のシェアを獲得しているクラウドサービスです。今月、日本におけるクラウド市場に関しては「クラウド化はまだ20%程度にとどまっている」と述べて、これから拡大するマーケットに照準を合わせています。この20%は、私たちの調査に合致しています。

 

クラウドの適用範囲

総務省が実施している「平成29年通信利用動向調査」において、現在利用しているクラウドサービスの内容が発表されています。

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上位7項目は、①ファイル保管・データ共有、②サーバー利用、③電子メール、④データバックアップ、⑤社内情報共有・ポータル、⑥スケジュール共有、⑦給与、財務会計、人事であり、中堅企業においてはクラウド利用の83%を占めます。中小企業と中堅企業の差はあまり無いものの、微妙にニーズが異なることがわかります。ファイル保管、データバックアップなどは、中小企業の方が高いニーズとなっています。ITに関わる人材が中小企業の方が一般的に少ないと予想されますので、クラウドサービスを用いて大切なデータを管理していることが想像されます。また、給与、財務会計、人事について、中小企業の方が積極的なことも興味深いです。成長の途上であれば、人的投資よりも、新しい技術で人手をカバーできることなどには投資はし易いことがうかがえます。

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DELLでは中堅企業のお客様に対して、この上位7項目に具体的に着手できるクラウドサービスを2017年より構築してきました。提携先は、エックスサーバー株式会社、カゴヤ・ジャパン株式会社、株式会社ラクス、株式会社ネオキャリア、株式会社エフアンドエムの5社で、中堅企業の83%のニーズに対応できます。中小企業においても78%のニーズをカバーしていますので、初期のクラウドニーズを検討するには最適です。

 

中小企業のお客様にも窓口を新設

今までは、従業員100名以上1000名未満の大・中堅企業のお客様にクラウドサービスを提案してきましたが、多くの実績と利用形態の経験値が増してきたことと、クラウドの普及が中小企業にも拡大していることを受けまして、従業員100名未満の中小企業のお客様にもこのDELLクラウドサービスを提供することにしました。

 

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 しかしながら、一般的には中小企業のお客様には検討する時間はあまりかけられないのが現状です。そこで我々の体制強化として、クラウド利用診断サイトを構築し、お客様の現状やご希望を選択していただくことにより、どのクラウドサービスから着手すべきかなど、他社の動向をパターンなどから考慮して、提案することができるようになりました。今はクラウドが必要ないというお考えであっても、もし着手するならどういう取り組みがベストなのかというユースケースなども得ることができますので、お気軽にクラウド利用診断を行ってみてはいかがかと思います。

中小・中堅企業クラウド利用診断

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クラウドの効用①「BCP対策になる」

毎年毎年、日本列島に今までに経験したことないような災害が発生するような気がしています。予期しない豪雨や地震などが、オフィスに大きな損害を与えています。今や、どんな企業でもPCやサーバーにビジネスのデータが格納されています。これらのデータに、明日からアクセスできないと考えると空恐ろしくなります。顧客管理データベース、取引状況など、ビジネスの継続性を考えると会社で最も大切な資産といえるのではないでしょうか?これらのデータのバックアップがクラウド上にあれば、システムの復旧も出来ます。また、SaaSなどのクラウドアプリケーションを用いて情報共有している場合は、場所はどこからでもアクセス可能ですから、災害時でもビジネスを止めることは避けられます。

クラウドの効用②「働き方改革を支援」

働き方改革に着手する会社は予想よりと多いと言えます。一部の企業からは、「家族と過ごす時間が増えた」「休養が十分とれるようになった」などの効果を感じられています。これは大きな変化だと思います。しかし、「何も変わっていない」方が私たちの調査では40.5%もいることがわかりました。ノー残業デーとか休日出勤の抑制などのルールを強化した勤務時間の制限などで、仕事に関わる時間は減少させることをコントロールしている企業が増えてきていると思います。
しかし、「何も変わっていない」という企業は、時間というハード面での改善だけではなく、真の意味の働き方改革というソフト面での充実が実現されていないことです。確かにこれは、簡単なことではありません。 

働き方改革を推進する施策の一つとしては、「テレワーク」であると言えます。テレワークとクラウドはとても親和性が高く、自宅からでも、営業先でも、リゾート地であっても、PCやスマホからアクセスして仕事をすることができます。本格的なテレワークを導入しなくても、「奥様に所用が発生し、子どもを幼稚園に送らなくてはいけない」「マンションの点検で、数時間家に待機していなければならない」など、やむを得ず会社に行けない時もあるかと思います。このような場合は、半休を取得するしかないと思うのですが、実際にその所用は1時間程度の場合が多いと思います。このような場合は、その前後の時間に自宅や出先で仕事を継続できることで、仕事も家事もストレスが低減することが期待できます。

クラウドの効用③「IT人材不足に対応」

クラウド化することのメリットのひとつとして、ITを管理、運用保守する高レベルのスタッフの存在を心配しなくていいことが挙げられます。クラウドの裏側には、クラウド事業者の専門スタッフが常時サービスを監視し安定した運用を提供しています。クラウドは、サーバー運用管理、保守や障害対応などのアウトソーシング的なマネージドサービスとも言えます。今までは、何かあるとIT担当者が呼び出されることもあったかと思います。特にひとり情シスの方は、休みの日は遠くには行けないなどの話もあります。社内システムの一部をクラウド化して、運用工数をクラウドとシェアするなどして、人材不足の対応策の一つとして検討出来るかも知れません。

新しいIT技術に対応すること

クラウドには、様々な効果に目を奪われますが、やはり慎重に検討すべき要素もあります。クラウド化してプロセスを標準化してシステムを整理して、その後オンプレミスに戻すお客様もいらっしゃいます。クラウド化することが目的ではなく、ITを経営に活かすことが目的で、その途上にクラウドの適用があるかと思います。
例えば、クラウド化の一歩手前のサーバー仮想化を自社で行っているか?いないのか?の違いにより、企業の状況が大きく変わることが調査の結果でわかりました。仮想化をしている企業は、していない企業と比較して、28%も「業績が良い」と回答していますし、IT予算も17%多いということがデータからわかりました。新しいことにチャレンジすることは苦難も伴いますが、IT部門の革新はビジネスに影響するのは勿論のこと、IT部門が新技術に悪戦苦闘して頑張る背中も会社全体にプラスの影響を与えることもわかりました。クラウドは、試運用や段階的運用拡張は得意なものです。新しい技術に挑戦するには適しているものと思えます。

中小企業のお客様(従業員100名未満)で、クラウドを検討されているお客様はこちらに(JP_SB_Seminar@Dell.com)、問い合わせください。

大・中堅企業のお客様(従業員100名以上1000名未満)で、クラウドを検討されているお客様はこちらに( NTS_Desk@Dell.com )、お問い合わせください。

 デル株式会社 上席執行役員 広域営業統括本部長 清水 博

横河ヒューレット・パッカード入社後、日本ヒューレット・パッカードに約20年間在籍し、国内と海外(シンガポール、タイ、フランス、本社出向)においてセールス&マーケティング業務に携わり、アジア太平洋本部のダイレクターを歴任する。2015年、デルに入社。パートナーの立ち上げに関わるマーケティングを手がけた後、日本法人として全社のマーケティングを統括。現在、従業員100名以上1000名未満までの大企業、中堅企業をターゲットにしたビジネス活動を統括している。自部門がグローバルナンバーワン部門として表彰され、アジア太平洋地区管理職でトップ1%のエクセレンスリーダーに選出される。産学連携活動とし、近畿大学と共同のCIO養成講座を主宰する。著書に「ひとり情シス」(東洋経済新報社)。AmazonのIT・情報社会のカテゴリーでベストセラー。早稲田大学、オクラホマ市大学でMBA(経営学修士)修了。