サッカーW杯、デンマークがユニフォームで人権問題に抗議。黒いデザインを発表

「黒。これは追悼の色で、今年のワールドカップのデンマーク3枚目のユニフォームとして、完璧な色です」
サッカー男子デンマーク代表(2022年9月25日)
サッカー男子デンマーク代表(2022年9月25日)
Jean Catuffe via Getty Images

カタールで11月に開催されるFIFA男子ワールドカップで、デンマーク代表は、人権問題への抗議のメッセージを込めたユニフォームを着る。

チームのユニフォームのサプライヤーであるヒュンメルは9月28日、赤と白、そして黒の3色のユニフォームを発表し、デザインに込めた意味を伝えた。

同ブランドによると、このデザインは1992欧州選手権優勝時のモデルにインスパイアされたものであると同時に、カタールの人権状況に対する抗議のメッセージが込められている。

ヒュンメルはInstagramで「私たちは、何千人もの命を犠牲にしたトーナメント中に、目立ちたくありません」「スポーツは人々を結びつけるべきだと信じており、そうではない時には声を上げる」と強調した

さらに黒のユニフォームについて、「黒。これは追悼の色で、今年のワールドカップのデンマーク3枚目のユニフォームとして、完璧な色です」と説明している。

「私たちはありとあらゆる方法でデンマーク代表チームをサポートしますが、それが何千人もの命を犠牲にした大会へのサポートと一緒にされるべきではありません。私たちはカタールの人権状況と、同国のワールドカップスタジアム建設での移民労働者の扱われ方について、声をあげたいと望んでいます」

ヒュンメルのロゴやデンマークサッカー協会(DBU)のエンブレムもユニフォームと同色で、目立たないデザインになっている。

開催地カタールの人権問題

ワールドカップが開催されるカタールでは、スタジアム建設工事などに携わる外国人労働者たちの死亡や、搾取的な労働環境、給与未払いが報告されている。

ほかにも、同性間の性行為が犯罪とされている点や言論の自由の弾圧も、問題視されている。

デンマークサッカー協会(DBU)は2021年11月に、「ワールドカップでは人権問題に抗議するユニフォームを着る」と表明していた。

それだけではなく、カタール国内で利用するホテルやその他のサービスが労働者の権利を守っているかを確認するなど「人権デューデリジェンス」を徹底するとしている。

FIFAは、ワールドカップではユニフォームに政治的なメッセージを記載することを禁じているが、デンマークはこの規定に触れない方法で、無言の抗議をする形だ。

一方、AP通信によると、カタール2022の大会組織委員会である「Supreme Committee for Delivery & Legacy」はワールドカップのために何千人もの命が失われたというヒュンメルの訴えを否定し、「我々は、FIFAワールドカップスタジアムとその他プロジェクトの建設に携わる3万人の労働者たちの安全を守るために真摯に責任を果たそうとしており、それを矮小化することを全面的に否定する」とコメントしている。

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