「デザイン思考」を使い、10の社会課題に解決アイデア創出

記者が注目する10の社会課題について、参加者とともに問題の本質を探り、解決策を考える「未来メディア塾 イノベーション・キャンプ」が1、2月に開かれた。

記者が注目する10の社会課題について、参加者とともに問題の本質を探り、解決策を考える「未来メディア塾 イノベーション・キャンプ」が1、2月に開かれた。「選挙の日に同窓会や街コンを開き、低投票率を改善する『出会いは総選挙』」や、「仕事と家事の量や消費エネルギーを可視化するウェアラブルツール」、「各国の食を知るワークショップの開催」など、様々な案が発表された。参加者と記者が6人1組で議論し、取材やリサーチしながら考えた。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科の神武直彦准教授がプログラム企画し、よりよいアイデアを出すための「デザイン思考」や「システム思考」を取り入れて進めた。10の解決策は、朝日新聞社の「未来メディアプロジェクト」サイトで公開している。

●様々な業種からの参加者50人が、記者10人と挑戦

参加者は、記者10人のほか、金融機関やメーカー、IT企業、コンサル、メディア、NPO、自治体など、業界も職種も異なるビジネスパーソンや学生ら50人で、6人1チームになり挑戦した。

プログラム初日は、記者10人が低投票率や教育格差、地方再生、ワークライフ・アンバランス、空き家問題、病院・医師不足などの「社会課題」を提示した。その後、チームごとに2035年のビジョンを描き、解決アイデアを考えた。議論2日目までの3週間、参加者と記者はチームごとに、自分たちが考えた解決策が現実的かどうか、ニーズがあるかを、企業やNPOなど関係者に取材して歩いた。2日目は、その取材結果を踏まえ、あらためて「本当に必要とされるアイデア」をユーザー視点で議論し、「実現可能なアイデア」へと練りあげた。

●「『わくわく』が大事」アドバイザーが評価

プログラムの最後には、アドバイザーがそれぞれのアイデアについてコメントした。CNETJapanの別井貴志編集長は「仕事と家事を見える化するウェアラブルツール」のアイデアを出したチームに対し、「ウェアラブルの技術は日々進歩している。一方で、働き方の改善は大きな課題。その二つを結び付けて実行することは意義が大きい。取材や調査を通じて、技術がどこまで進化しているかをきちんと調べてアイデアを出したことも、見て取れた」と講評。ロフトワーク代表取締役の林千晶さんは、「社会課題を解決するためには、『わくわく』が大事」と話し、「選挙日に同窓会で低投票率アップ」というアイデアを評価した。

様々な社会課題の本質を記者と参加者がともに探り、テクノロジーやメディアを活用してソリューションを生み出すワークショップ。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科(慶應SDM)の神武直彦准教授の協力を得て作成。イノベーション創出手法で知られるシステム思考やデザイン思考をベースに、新聞社の資産である記事データベースや取材・リサーチも取り入れたプログラム。

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