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2019年04月04日 16時50分 JST | 更新 2019年04月04日 17時00分 JST

同性婚と夫婦別姓、2つの問題の共通点。訴訟の当事者らは「リアルにルールが追いついていない」と訴えた

同性婚や別姓が認められても、日本の家族は崩壊しません。当事者たちがイベントで語ったこと。

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
3月31日に明治大学で開かれたイベント「誰もがHappyになれる『家族のかたち』を考える 」

家族のかたちをめぐる、2つの裁判が日本で進行中です。

1つは同性婚を求める「結婚の自由をすべての人に」訴訟、もう1つは選択的夫婦別姓(別姓婚)を求める訴訟です。

<それぞれの訴訟についてはこちら>

同性婚訴訟:「同性婚を認めないのは憲法違反」 13組のカップルが全国で一斉提訴

夫婦別姓訴訟「最高裁まで上がってこいというメッセージだ」青野慶久氏が控訴へ 夫婦別姓訴訟

同性婚と夫婦別姓の問題には共通点がある、と一部の当事者たちは考えています。

当事者たちがタッグを組み、多様な家族のかたちを考えるイベントが、3月31日に明治大学で開かれました。

パネルトークに登壇したのは、実際に多様な家族を生きる当事者とそのサポーターたち。彼らが語る、変わりゆく家族のかたちとは?

パネルの登壇者

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
(左から)登壇した青野慶久さん、中島愛さん、杉山文野さん、鈴木賢さん、寺原真希子さん、野口敏彦さん

青野慶久さんサイボウズ社長で選択的夫婦別姓訴訟の原告。結婚して妻の名字に変えたことで改姓の大変さを身をもって実感。選択的夫婦別姓を訴える

中島愛さん「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告。レズビアンで、同性パートナーの母国であるドイツで2018年に国際結婚した

杉山文野さん東京レインボープライド共同代表理事。トランスジェンダーで、パートナーと子育て中

鈴木賢さん明治大学法学部教授。同性のパートナーは台湾出身

寺原真希子さん「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護士

野口敏彦さん選択的夫婦別姓訴訟の弁護士

結婚できなくて困っていること

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
中島愛さんのパートナーのティナさんには、日本で配偶者ビザがおりない

パートナーの母国ドイツでは法的に結婚しているのに、日本では結婚が認められない中島さん。そのことが、どんな問題を引き起こしているのでしょうか?

中島さん:私たちは日本で結婚の関係を認められないため、パートナーのティナさんに配偶者ビザがおりません。

そのため、受けられるはずの社会的保障がなく、一緒に家も借りられません。

病院に担ぎ込まれた時に、家族として認められず病室にいけない、手術の同意ができない恐れもあります。

日本人同士の同性カップルにも、結婚を望んでいる人はたくさんいます。

夫婦別姓や同性婚の選択肢ができ、将来の若い世代もみんなが自由で安心して暮らしていけるような社会になって欲しいと思って、原告になりました。

ルールとリアルが違いすぎる!

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
杉山文野さん「生きるために制度があるわけであって、制度のために生きているわけじゃない」

トランスジェンダー男性の杉山さんは、パートナーの女性との子育て中です。精子を提供してくれたのはゲイの友人。出生届を提出しに行った時に、制度が多様な家族のかたちに追いついていないと実感したそうです。

杉山さん:僕たち家族の生活は、普通の夫婦と何も変わらないと思うんですけれど、法的に結婚できないので、彼女は僕の家に一緒に住むシングルマザーとその子供ということになります。

一緒に出生届を提出しにいった時、区役所に「入籍の予定はありますか」と聞かれ「とりあえずありません」と答えました。ただ、一緒に暮らしていると伝えると「男女が同居している場合は事実婚とみなされますので、ひとり親手当は出ないんです」と説明されました。

ところが、実は僕がトランスジェンダーという話になったら、今度は「戸籍上女性同士なんですか、じゃあひとり親手当出ますね」となって。

男女が同居している場合は事実婚とみなされてひとり親手当は出ないけれど、戸籍上が女性同士なら、いいも悪いも事実婚としてみなされず、ひとり親手当が出るんですね。

でも、僕たちはひとり親手当はお断りしました。一緒に暮らしていますし、なんなら一人親より三人親ですから。

こういうところが、ルールとリアルが違いすぎていると思うんです。区役所の方は親身になって対応してくださるんですが、ルールが変わらないので、対応がちぐはぐになってしまう。

性同一性障害の性別変更もそうです。

性別を変更したい場合、ある一定の条件を満たすと戸籍上の性を変えられるのですが、この条件が厳しい。

「生殖機能がない状態でなければいけない」という条件があるのですが。僕は子宮卵巣の摘出をしていないので、戸籍変更はできません。

ホルモン注射もして生理も止まっているので、体の中にあるものというのはあまり気にならないんです。だから、子宮卵巣の摘出手術は望んでいません。

だけど生殖機能を取らないと戸籍上の性別は変えられない。逆に言えば、手術さえすれば戸籍の変更ができる。

彼女のためにも手術をしたほうがいいかなと思ったこともあったんですけれど、でも生きるために制度があるわけであって、制度のために生きているわけじゃない。

手術を望む人は手術を受ければいいと思うのですが、手術を望まない人にも、手術を強要している世の中はおかしいのではと思います。

家族の一体感って何?

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
青野慶久さん。選択的夫婦別姓訴訟の原告でもある

同性婚や夫婦別姓を認めると、「家族の一体感がなくなる」と言う人たちもいます。このことについて、当事者たちはどう感じているのでしょうか?

青野さん:夫婦別姓の話をすると家族の一体感ががなくなると言う人がいますが、姓を別にしたからって、一体感を感じないとは思いません。

最近、仕事で通称を使っている人が多いですよね。私もそうです。私の戸籍姓は青野じゃありません。でも仕事でずっと青野を通しているので、子供は私の名前を青野慶久だと思っているんですよ。そのことで、一体感がないと言われるとね。

親子別姓とかもいるわけじゃないですか。松田聖子の娘は神田沙也加ですよ。そんなに仲悪そうには見えないですよね(笑)。それぞれの家族のかたちがあるから、好きなようにしたらいいんじゃないかなと思います。

中島さん:8年間パートナーと一緒に暮らしていて、家族の一体感は世界どこでも変わらないと感じています。

ドイツでパートナーと結婚した時に、パートナーの親が「娘が一人増えてすごく嬉しい」と言ってくれました。

性別も関係なく、娘が一人増えたと思ってくれた家族に感謝していますし、そういう家族もいいんじゃないかなと思いました。

鈴木さん:家族の一体感とは何でしょう。そしてそれは必ず必要なものでしょうか?必要だと思う人もいれば、思わない人もいると思います。

何を一体感と感じるかは人によって違います。氏を同じにしないと家族の一体感を得られない人は、そうすればいい。氏を1つにしなくても家族の一体感を得られると思っている人は、それぞれの氏を名乗りたいだけです。

ですから(別姓婚や同性婚を認めても)家族の一体感は失われないわけです。

同性婚についても同じことが言えます。異性婚をしたい人は、今まで通り異性婚するから伝統的家族は変わりません。

むしろこれまで伝統的な家族を営めなかった同性カップルが婚姻ができるようになり、ある意味で法律婚が拡大、伝統家族が拡大することになります。

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
鈴木賢さん「何を一体感と感じるかは人によって違います」

多様な家族をどう伝えていくか?

これから社会を作っていく子供たちに、どう多様性を伝えるのかというのも大事な問題です。杉山さん、青野さんの意見は?

杉山さん:LGBT、性的少数者の話を教育現場でするのは早いのでは、という意見があります。

「性的」という言葉が頭につくからかもしれませんが、性的な話だと思われてしまう。だけど「これは、性行為の話ではなくアイデンティティの話なんです」というとああそうなんですか勘違いしていたと言われます。

子ども達に伝えていくというのは大事なんですよ。遅いも早いもないし、いいことか悪いこととかじゃなくて、これは事実なんです。

一定数のLGBTの人たちが暮らしているということを事実として伝え、隠す不自然さを解消していくことは、クラスの中に必ずいるであろう当事者の子供たちを傷つけないためだけじゃなくて、周りの子達を加害者にさせないためにすごく大事なことだと思っています。

青野さん:子供たちに早めに、世の中は多様だと教えてあげたほうがいいと思います。

学校って多様性を感じさせる機会がほとんどないです。6歳になったら必ず小学校1年生になるんじゃないですか。私はずれてもいいような気がするんですね。1年たって2年生になるけれど、これもみんな同じ年齢じゃなくてもいいと思う。

子供ってそれぞれです。これまでに作られてきたシステムが当たり前だと思っているけれど、みんなバラバラでもいい。

チームワークにすればみんな幸せになれるんじゃないかな。テストなんて、みんなで解かしたらいいんじゃないですか。算数が得意な子は算数の問題を解く、みたいな。

それって大人の世界だと当たり前じゃないですか。営業得意な人に開発させないでしょ?もっといろんなやつがいるよ、ということを小さい時から教えてあげたらいいと思います。

多様な家族が、Happyになるために

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
寺原真希子さんは、同性カップルが結婚できないことの違憲性を問う「結婚の自由をすべての人に」訴訟の弁護士

様々なかたちの家族を「生きる」登壇者たち。多様な家族がHappyになるためにはどうしたらいい?という質問で強調したのは「声をあげることの大切さ」でした。

中島さん:多様な家族がHappyになるためのキーワードは、多様性を認めることだと思っています。

ドイツに住んでいたときに、声を上げることで社会が変わっていくのを目の当たりにしてきました。

例えば、原発をドイツ国内から無くそうとした時には、まずはみんなが声をあげて日々の会話で話し、そこからデモやロビー活動につながって、最終的に国が原発をなくすという結論に至った。

日本でも、同性婚や夫婦別姓についてみんなで声をあげて、家族や会社の中で話し、最終的には多様性を実現できるのではないかなと思っています。

青野さん:声をあげるという時に「私にそんな力があるかしら」と思ってしまうかもしれないんですけれど、その声が届く時代になったような気がします。

一例をいうと、3年ほど前に待機児童問題で「保育園落ちた日本死ね!!!というブログがありました。匿名で書いたブログが共感を呼んで話題になった

それをある国会議員が「匿名で誰が言っているかわからない、あんなのは意味がない」と言ったんですよ。

そしたらその後に「私だ」と書いたプラカードを持っている人たちが議会の周りに集まり、社会が動いた。

LGBTの問題と夫婦別姓の問題は一見違うんだけれど、実は同じ。「一人一人、個性を持って生きていけばいいじゃないか」ということです。連携しながら、声をあげていきたい。

杉山さん:僕も(同性婚と夫婦別姓は)本当に共通項が多いなと思っています。

「こうあるべき」の押し付け合いはもうやめて、こうありたいというのをお互いに応援する、という流れを作っていけたらと思っています。

鈴木さん:3月15日に、国が初めて同性カップルに法的保護の必要性を認めた事例が出てきました。

日本人と暮らしている台湾人の同性パートナーに、法務省がビザを出したのです。国は彼を一度退去処分にしましたが、訴訟をして定住者ビザを付与しました。

国はなぜ態度を変えたのか。理由の1つは、訴訟を通じて同性パートナーは異性と変わらないということを初めて知ったんだと思います。

そして社会情勢も変わりました。彼を退去処分にした3年前と今では、社会の状況が変わっているんです。社会の変化を推し進めると国の態度が変わる、という良い事例になったと思います。

もう1つ、私たちは同性パートナーにビザを出さないのはおかしいと、国会議員にロビー活動を続けてきました。

国会議員を通じて繰り返し、市民の声を入国管理局に伝えてきたことが、入管の態度を変えることにつながった。そう考えると声をあげない限り何も変わらないと思います。

寺原さん:今回の別姓婚、同性婚の訴訟は、原告さんと弁護団だけの戦いではないと感じています。

直接は関係ないかもしれない異性カップルや夫婦同姓の人の中にも、社会に「こういう風に生きなさい」という決め事があって生きにくいと感じている人はとても多いと思います。

そういう方々も含めて、一人一人が自分らしく生きていいんだよというメッセージを伝えていけたらと思います。 

Jun Tsuboike/HuffPost Japan
野口敏彦さん「民主主義は、声をあげなきゃ機能しません」

野口さん:民主主義は、声をあげなきゃ機能しません。

私は別姓訴訟の関係で、学校や芸能事務所に協力をお願いしたりするんですけれど「ちょっと政治的なものには……」とお断りされる。だけど世の中は政治だらけですよね。この国をどうやって良くしていくかというのは政治そのもので、子供にこそ考えてもらわなければいけない。

東京医科大学の入試問題なんかあからさま男女差別があります。そんな国に、そのまま住んでいたいですか? 変えるためには声をあげなければいけないと思っています。皆さんが声を上げると、裁判官の判断にも影響します。

青野さん:夫婦別姓と同性婚、問題の根っこは一緒だと思います。

一律の価値観を押し付けあった時代から、多様な価値観を認める社会にしていきたいと思います。

マイノリティ扱いされて聞いてもらえないことが多いですが、力を合わせて行けばドミノ倒しのように変わるかもしれない。

他にも同じような問題がたくさんあると思います。色々な問題の当事者たちが力をあわせて一緒にやっていけたらいいと思います。

(※ 読みやすくするために、会話の順番など一部編集を加えました) 

◇◇◇ 

イベントでは、他にも同性婚や夫婦別姓の当事者たちが登壇し「家族が多様になっている中、法律が社会の実態に追いついていない」と訴えました。

彼らの話から、同性婚と夫婦別姓を求める人たちが、ともに自分の大切にするアイデンティティを保ったままで家族になれない現実が見えてきました。

・同性婚を求める人たちは、自分の性別のアイデンティティを保ったまま、好きな相手と結婚できない。

・夫婦別姓を望む人たちは、自分の名前のアイデンティティを保ったまま、法的な結婚ができない。

同性の二人の名前を書いた婚姻届、別姓の二人の名前を書いた婚姻届は日本では受理されません。

そのために、配偶者の相続人になれない、共同親権が持てない、手術の同意書にサインができないなど、日々不安を感じる生活を強いられています。

同性婚や夫婦別姓を認めると「家族が崩壊する」という言う人たちもいます。しかし同性婚や夫婦別姓を認めている国では、家族崩壊は起きていないと、当事者たちは強く訴えます。

家族のかたちはどんどん多様化しています。そして当事者ではなくても、夫婦別姓や同性婚に賛成する人たちが増えています。

憲法には、全ての国民は法の下に平等であり、「信条」や「性別」によって差別されないと定められています。

新しいかたちの家族が守られ、一人一人が生きやすい社会にするために、一刻も早い法整備が求められています。

家族のかたち」という言葉を聞いて、あなたの頭に浮かぶのはどんな景色ですか?

お父さんとお母さん? きょうだい? シングルぺアレント? 同性のパートナー? それとも、ペット?

人生の数だけ家族のかたちがあります。ハフポスト日本版ライフスタイルの「家族のかたち」は、そんな現代のさまざまな家族について語る場所です。

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