ヒラリー・クリントンの2016年大統領選はソーシャルメディアが鍵?【アメリカのネット選挙事情】

2016年の選挙戦において、ソーシャルメディアがいかに重要かが示されています。その一方で、当然ながら、諸刃の剣ともなり得ます。

大統領選立候補を公に発表した4月12日(日)に新しいFacebookページを公開してから24時間も経たないうちに、60万以上のいいね!数と200万回以上のビデオ再生数を突破したヒラリー・クリントン。(※4月20現在のいいね!数は約74万。) 彼女の2016年の大統領選にとって、ソーシャルメディアは成功の鍵を握るものとなるのでしょうか?

https://www.facebook.com/hillaryclinton

ヒラリー氏がインターネット上で存在感を強めようと動画やFacebookでの選挙運動を早速開始したことからも、2016年の選挙戦において、ソーシャルメディアがいかに重要かが示されています。

米国内では「2016年大統領選に向けて、ビッグデータとソーシャルメディアの役割が、選挙の際の決定に多大な影響を与えることは無視できません。ソーシャルデータが2008年の大統領選を動かし、ビッグデータが2012の年の選挙を動かした。2016年にはそれらの二つの組み合わせが、次期大統領選を決定することとなるでしょう。」(参考:wired) とも。

2016年大統領選には最も注目されるヒラリー氏以外に、共和党から、テッド・クルーズ(テキサス州上院議員)ランド・ポール(ケンタッキー州上院議員)、マルコ・ルビオフロリダ州上院議員)の3人が出馬を表明。

既にこれらの共和党の候補者は、ソーシャルメディア攻勢を活発化してきています。テキサス州上院議員テッド・クルス氏は、今年3月にTwitterを通じて大統領選出馬を発表してすぐ、多くのTwitterユーザーとの交流を狙いとする、#ハッシュタグ#MakeDCListen(#ワシントンDCに耳を傾けさせよう)機能を使ってソーシャルメディアキャンペーンを始めています。

Facebookでのいいね!数戦においてはケンタッキー州上院議員ランド・ポール氏が優位に進めており、4/20現在のいいね!数は約190万。テッド氏のいいね!数は約120万人、マルコ氏のいいね!数は79万にとどまっています。

「大統領立候補について、積極的に検討するつもりだ。」と語った前フロリダ州知事、ジェブ・ブッシュ氏は、

Facebookページで約16万いいね!と出遅れているところですが、ここ最近ではその遅れを取り戻すためか、インスタグラム上での存在感を強めようと、英語だけなく、スペイン語での動画投稿をして、多様な国民の票獲得に励んでいます。

当然ながら、ソーシャルメディアは諸刃の剣ともなり得ます。ヒラリー氏の大統領選出馬発表は、既にTwitter上で非難の対象に。「#なぜ私はヒラリーに投票しないか #WhyImNotVotingForHillary」というハッシュタグは、悪い意味で大きな注目を集めてしまっています。

「ヒラリーは彼女の質素な家で、貧しい人々の苦境について考えている。」といった嫌味たっぷりのツイートも。

他にも「#なぜ私がヒラリーに投票しないか」のハッシュタグにより、数多くの反・ヒラリーを訴えるツイートが繰り広げられています。

このような悪評の危険性はさておき、ソーシャルメディアが人々の注意を引き、有権者に働きかける強力なツールであることに変わりはありません。ソーシャルメディアは、少なくともヒラリー氏にとって「政治家家族の一員」と色づけられたイメージを払拭するためのツールとなるだろうと言われています。

アメリカ国内での、前回の選挙前春(2011年)における有権者のスマートフォン(またはそれに類するもの)保有率は35%ほどでしたが、現在では人口の約64%が保有していると言われており、前回の選挙戦時の約2倍に増えています。

この「モバイルツール」の存在は、多くの人々気軽にビデオやサウンドノート(録音機能)が使用できる現代において、選挙運動に予測不能なワイルドカードの要素をもたらすと言われています。有権者によるモバイル端末使用の増加によって、近年の政治運動の結果を大きく左右する「国民レポーター」の数も増えます。そしてまた、誤った発言の映像は、どんなに歴史的な報道よりも、政治運動に大きな打撃を与える結果をもたらすでしょう。

夫ビル・クリントンの大統領時代から、国務長官時代に至るまで、有名であるが故にネガティブに注目されがちなヒラリー氏が、2016年の大統領選の選挙活動において、ソーシャルメディアを有効に賢く使い切れるかどうか。2016年の選挙戦まで1年半、ヒラリー氏の動きが注目されます。

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