【用語解説】ESG投資を理解する上でキーワードとなる用語をまとめてみました

多くの企業が、気候危機やジェンダー不平等の是正を目指す施策を次々と打ち出しています。その背景には「ESG投資」など世界的なお金の流れの変化があります。ESG投資を理解するためのキーワードをまとめてみました。
ESG投資とは
ESG投資とは
Yuki Takada /HuffPost Japan

6月24日(木)夜9時から配信のハフライブ「SDGs時代、お金で世界は良くなるのか?」では、お金や金融システムは本当に世界をより良い場所に変えていく力があるのか、機関投資家とZ世代をゲストに迎えて話し合いました。

番組を見る上で参考になりそうな、ESG投資に関連する用語について、以下にまとめてみました。

社会的責任投資(SRI)

財務面だけでなく、企業として社会的・倫理的責任を果たしているか、という観点から投資を行うこと。雇用や労働条件のほか、環境問題にどのような取り組みをしているか、などが判断基準となる。

機関投資家

顧客から集めた多額の資金を株式や債権で運用する大口投資家の総称。生命保険会社や信託銀行、年金基金、共済組合など。資産を保有するアセットオーナーと、実際に運用するアセットマネージャーに大別される。

アセットオーナー

年金基金など多額の資産(アセット)を保有する機関投資家のこと。アセットマネージャーに資金を預けて運用を委託する。

アセットマネージャー

投資家から資産(アセット)を預かり、効率的に運用・管理する機関投資家のこと。信託銀行や投資顧問会社などが該当する。

スチュワードシップ・コード

「責任ある機関投資家」の行動規範。投資と対話を通じて、企業の持続的成長を促すための原則で、2010年に英国でつくられた。日本では14年に金融庁が中心となって「日本版スチュワードシップ・コード」を策定した。

PRI(責任投資原則)

Principles for Responsible Investmentの略。投資家に対し、企業の分析や評価を行う上で、長期的な視点を持ち、ESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮した投資を行うことを求めている。

コーポレートガバナンスコード

上場企業が行う企業統治(コーポレートガバナンス)において、ガイドラインとして参照すべき原則・指針のこと。東京証券取引所は2021年6月11日にコーポレートガバナンスコードの改訂版を施行した。

議決権行使

株主の権利の一つで、株主総会での決議に参加し、会社の経営方針や取締役の選任、定款の変更などの議案に対して賛否を投票すること。ESGの観点から、女性取締役のいない企業などでは決議に反対する機関投資家も増えている。

人権デューデリジェンス

企業が自社だけでなく、原料調達先や製造委託先を含め、労働者の人権侵害リスクを把握し、予防や解決策を講じること。情報開示も重要となる。サプライチェーンにおける強制労働や児童労働が国際的な課題となっている。

ハードローとソフトロー

「ハードロー」は法律や条約などの制定法のこと。「ソフトロー」は努力義務などの規範。法的拘束力はないが、個別の状況に合わせた作成や運用ができるため、時代の変化に対応した柔軟な変更ができる。

サプライチェーン(供給網)

原材料や部品の調達から製造、物流、販売まで、複数の企業が関与する一連の流れを指す。商品を素早く効率的に届ける、安定したサプライチェーンの構築が、企業の利益を最大化させる。

ステークホルダー

企業などが活動することで影響を受ける「利害関係者」のこと。株主や経営者、従業員、顧客、取引先などが該当する。

気候正義(Climate Justice)

化石燃料をあまり使ってこなかった途上国が、気候変動の被害を被っている「不公平さ」を正そうという考え方。先進国にはその責任を果たすため、人権や生態系に十分配慮した取り組みが求められる。「気候の公平性」とも言われる。

パリ協定

2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組み。15年のCOP21で合意され、約190の国・地域が批准する。世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べ1.5℃に抑えることを目標とし、温室効果ガスの排出削減などを目指す。

Build Forward Better

「社会をより良く前進させよう」という意味。復興などのスローガンには「Build Back Better」(より良い再建を)が使われてきたが、 「再建(修復)」よりも「前進」しながら改善をめざすという意味を込めて「forward」(前へ)が用いられる。

リジェネレーション

「再生」という意味。持続可能性を追求するだけでは地球環境は保てないという危機感のもと、損なわれたものを「再生」しながら生態系を繁栄させていこうという、より積極的な考え方。

6月24日(木)夜9時からのハフライブでは、SDGs時代に、お金や金融システムは本当に世界をより良い場所に変えていく力があるのか、機関投資家とZ世代をゲストに迎えて話し合いました。

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